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2008年9月号掲載

【特集】全国育樹祭に寄せて 〜第4回〜
 今年10月25・26日に、第32回全国育樹祭が愛媛で開催されます。25日は『久谷ふれあい林』(=松山市久谷町大久保)にて、昭和41年の全国植樹祭で昭和天皇・香淳皇后がお手植えされたスギの木を皇族殿下がお手入れ、26日には愛媛県武道館で式典が挙行されます(詳しくは同ホームページ参照)。

 特集第4回目の今回は、県内一の林業の町・久万高原町を訪ねました。古くから林業を基幹産業としてきた同町では、より「木の町」らしいまちづくりを進めていこうと、昨年「木にこだわりのまちづくり宣言」を行いました。「木を使ってできること」を考え、発信する取り組みを始めています。
林業の町の新たな試み 〜久万高原町〜

 松山ICから国道33号線を通って、車で走ること約30分。久万高原町は、標高720bの三坂峠を超えて、緩やかに下った所に開けています。4年前に4町村(久万町、面河村、美川村、柳谷村)が合併して、愛媛県内最大の面積(584平方キロメートル)を持つ新たな町となりました。面積の9割(5万2000f)が山林で、スギやヒノキの人工林は3万6000fに及びます。
 旧久万町は『育林』で有名な町で、全国でも有数の製材工場を有しています。林業の町の新しい試みを取材してきました。


 国道沿いの久万広域森林組合敷地に、小さなログハウス風の建物があります。よく見掛ける丸太のログハウスとも違うし…と思っていると、『EWティンバーハウス』[=写真@]の看板が立っていました。この建物は、久万スギEW(エンジニアリング・ウッド=集成材)を使って、「久万高原の木と匠の会」が建てた角ログハウスです。久万スギEWは同森林組合で製造されているもので、国内最大級の「愛媛県武道館」にも使用されています。



 久万高原町の「木と住まいの相談窓口」は、このEWティンバーハウスに置かれていました。同相談窓口アドバイザー・田中豊嗣さん[=写真A]に、久万高原町の新しい取り組みについて話を伺いました。


 住まい塾@松山

 田中さんが担当者として手掛けている事業の1つに、『住まい塾@松山』があります。松山市や近郊に住む一般の人、地産地消の家づくりに興味を持つ工務店や建築家を対象に、年8回の予定で開催しています。

森林見学 製材見学 建設中の久万材の家見学

 同町は、木材の消費の最も大きなものが家づくりであることから、林業活性化を図るために地産地消の家づくりを進めていますが、地産地消の家づくりといっても、人口約10000人の同町では年間の新築数が30軒ほどで、住宅関連産業の業者さんの数にも限りがあります。そこで同町が目を向けたのが、近隣の大消費地である松山市という訳です。久万高原町の山林の年間生長量は、松山市で新築される木造住宅に供給するだけの十分な量があるのだそうです。

地元工務店により建設中の久万材の家。
『木にこだわりのまちづくり』ののぼりが立つ。

 住まい塾は、松山市の県生涯学習センターや県武道館の会議室を会場として座学が行われているほか、チャーターバスで久万高原町へ向かい、実際に森や製材所を見学して林業のまちを体感してもらったりしています。10月には、育樹祭に合わせて行われる第38回『久万林業まつり』に参加する見学ツアーも予定されています。

 「住宅の建築には50種類以上の業種が関わっています。大手住宅メーカーで建てると、そのお金は住宅メーカーと系列の建材メーカーや建設会社などに落ちます。最近は銀行ローンまで自社系の銀行を使わせると聞きます。
 一方、地元材を使って地元の大工さんで建てると、外注先も地元ですから、お金はすべて地元に落ちます。銀行もしかりです。これこそが地産地消です。地産地消とは、「地域の木材を使おう」ということだけではありません。地域の中でお金が回ることなのです。そのような地産地消の家づくりを訴えていきたいと思っています」
と田中さんは言います。


 『木にこだわりの家』ブランド
木にこだわった家の一例(久万高原町内)

 久万高原町では、汎用性のあるフレーム(骨組み)の提供を目指そうと、今計画を進めています。木を伐って出して製材を行い、製材所に併設した工場で大工さんの手で木を刻み(人間プレカット)、町から出る時にはもう家の部品になっていて、現地に運んで建てれば家の構造を成すものになるというものです。場合によっては建前までを行い、後は施主の考えに合わせて現地の大工さんが屋根や外壁、細かい部屋割りを仕上げていくことになります。

 「基本となるフレームに、積算済みの水回りモジュールや部屋を増やしていくことで、設計・見積もり積算を簡素化します。また注文挽きを減らすことでコストダウンが図れます。今年度中に設計を完成させて、来年度にはデビューさせたい。耐震性についても十分考慮され、久万高原町としてお薦めのできる骨組みの提供です。
 一般的に設計料は総建設費の10%程度と言われていますが、この企画によってそれを圧縮したい。また、輸入材に慣れてしまって強度の違う県産材のフレーム設計に手を出せずにいる工務店や設計士の方に安心して使って頂くことで、県産材を使った家づくりの輪をもっともっと拡げていきたい」(田中さん)。



 

 同町では昨年より、林業ばかりでなく、農業や商工、観光、教育などあらゆる分野から委員を集めて、「木にこだわりのまちづくり実行委員会」が組織されています。山並みや町並みはもちろんのこと、外構や看板など木で作れるものは木で作り、木のまちらしさにこだわろうと運動を展開しています。

 同委員会では、「木にこだわりのまちづくり研究会」を継続的に開催[=写真B]。参加者らが、町内の木にこだわりのある所や足りない所を写真に収めてベストとワーストを決め、良い所や直してもらいたい所を把握して、タウンマップを作成したりしています。昨年の研究会では、地域産のスギの木の弁当箱に地域産食材で作った料理を詰めた久万高原弁当[=写真C]が好評を博しました。


 木を使い 山を守る

 「久万林業は、育林をすることで有名になりました。材木が高く売れる間はそれで良かったけれども、安価な輸入材や住宅事情の変化から国産材の価格が下がり続けたことで、一部の熱心な篤林家を除いて多くの方の心が育林から離れてしまった。人が手入れをする前提で植えたにもかかわらず放置するから、洪水を起こしたり、大量の花粉を出して花粉症を引き起こしたりするなど、人に危害を加えるものになってきている。今、木を使わなければ山は大変なことになる。木を伐って出していくことが大切なことで、まちの人にその事を解ってもらうことが大事。  
 他県では、地元産材を使った家づくりの取り組みが20年も前からなされている所もある。木の町を盛り返すために、一生懸命頑張って(先進の県に)追いつかなければ…。まだまだ理解して頂けない部分もありますが、ネガティブに思うことなく常に前向きにやっていきたい」
(田中さん)。

木と住まいの相談窓口
【久万高原町窓口】

久万広域森林組合(久万高原町久万)前
「EWティンバーハウス」にて平日オープン。

◎電話=0892-21-1302
【アンテナショップ「きらり☆久万高原」窓口】

松山城ロープウェイのりば正面
「きらり☆久万高原」にて、
毎月第1・第3日曜日にオープン。
女性建築家と田中さんが相談に応じます。

◎電話=089-989-4006

木造の公共施設ピックアップ・久万高原町立 久万小学校

 久万高原町の小中学校は、その多くが、久万木材を用いて建てられています。町の中心部にある久万小学校の本館は、平成19年3月に落成した、町内でも一番新しい校舎です。


 玄関ホールに続く廊下や広いゆったりとした階段、磨き丸太の柱をはじめとして、良質の久万材がふんだんに使われています。
(久万高原町上野尻)
設営・運営サポートボランティア募集 
○募集人数 各実施日・各会場ごとに20名程度
○活動日時 10月23日(木) 9:30〜16:00
   24日(金) 9:30〜16:00
   27日(月) 9:00〜12:00
○活動場所 A お手入れ会場(久谷ふれあい林:松山市久谷町)
B 式典会場(愛媛県武道館:松山市西市坪町)
○申込締切 9月26日(金)
 ※詳細はホームページをご覧下さい。
【問い合わせ先】 第32回全国育樹祭愛媛県実行委員会事務局
 TEL:089-912-2593  FAX:089-947-1047  E-mail:ikujusai@pref.ehime.jp
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