地元の方は、最初は「グリーン・ツーリズム」という横文字にも抵抗があったんですが、何回も講習会を開くうちにグリーン・ツーリズムの良さを分かって取り組んでいこうということになりました。“地域の元気なおばちゃんたち”がいろんな体験メニューを立ち上げていくお手伝いをするのが、そこでの私の主な仕事でした。計画を立てているグループを一つずつ回って「自分たちがしていくものだから、どういう事をしていくら貰うかを自分たちで決めて下さい」とお伝えしながら一緒に考えましたね。もしもの時の対応の仕方や値段の設定はどうするかということなどもアドバイスさせてもらいました。主婦の方ということで、「いつも普通にしよる事をお金を取ってまで」という意識が強くあったんですが、「そうじゃないんよ、こういう体験できるのがよそから来た人にはいいんじゃけん」って、近所の人とするような意識ではなくて、お金をもらうのだから毎回同じサービスをしないといけないということも考えに置いてもらいました。そうやって一緒に体験メニューを立ち上げた方が、今も元気に活動されています。当初32の体験メニューを作って、今は70台くらいになっています。
今の季節ならミカン餅ですね。お餅の中にミカンを丸ごと入れたお餅をつくる体験です。それからミカン狩り。郷土料理のイギス豆腐づくりの体験もいいですよ。
| 〜しまなみでの3年間を終えて、次はどのようなことを? | 久万高原町に3年赴任しました。久万は昔からの風習や伝統料理をすごく大事にしているところで、とても勉強になりました。民宿を始めてみたいという人が多くいましたが、構想はあってもどうしたらいいのか分からないということで、農家民宿といって家にお客さんを泊めて交流するやり方があるんですよと紹介をしました。ここでもやっぱりお客様へのサービスを忘れないようにということで、洗面所やタオルはお客様用にして、料理も「今日は良いのが入ったけん豪勢に」とか「今日は何もないけん」ということにならないようにとアドバイスをしました。地元の人の「やってみたい」という強い思いを形にするサポートをさせてもらいました。
| 〜グリーン・ツーリズムの体験指導者の資格をお持ちだそうですね。 |
「グリーン・ツーリズムインストラクター」という、国の外郭団体が講座を開いて認定している資格です。ちゃんとした知識を身に付けたいと思って、昨年11月に講座を受けて取得しました。ツアーの企画立案の仕方などを学ぶコーディネーターの資格講座も翌年の2月に受けました。
3泊4日の日程で、「グリーン・ツーリズムとは」という基礎からインストラクターとしての心得、緊急時の対応などを学ぶ座学に加えて、実地の課題がありました。実際のほ場や田んぼなどが課題地区として与えられて、自分がそこに住む者という設定で、どのように地域を案内するか、地域の良さをお客さんに訴えるかということを盛り込んだ計画を作成します。5〜6人のグループで取り組んで、講師の人のOKが出るまで夜遅くまで計画を練りました。かなりハードでしたが、良い経験になりました。その講座を受けるまでは、担当している人が良くなることだけを考えて動いていましたが、その人と地域の関わりとか、地域全体のPRをどうするかというように、広く物事を考えられるようになりました。
今年度新しくできた「担い手育成係」という係で仕事をしています。本庁にはいろいろな情報が入ってきて、自分が指導している地域だけでなくて全体を見渡せるので、ここはそういう点がいいなと思います。またそれを地域の人へと向けていければと思います。一言で『担い手』といってもすごく意味が広いんですが、どういうふうにしたら担い手になってくれるかということを考えていくと、グリーン・ツーリズムともつながるんじゃないかなと思っています。休みの日には、インストラクターのメンバーの集まりに出かけたりしています。今までに出会っていろいろ教えてもらった、しまなみとか久万の人たちとのつながりも大事にしていきたいですね。
| 〜松下さんが感じているグリーン・ツーリズムの良いところは? |
地元の人にとっては昔から普通にあって何でもないような物が、すごく大事な物なんだという見直しができて、そこからまた受け継がれていくことですね。お母さんたちが、「お客さんが来るからお洒落しなくっちゃ」とか、病院に通っていたおじいちゃんおばあちゃんも「今度はいつお客さん来るの?」って言っていたり、お父さんもそれに続いて活動し始めたりするのもいいなって思います。気付けばすごく財産がありますよね。農家の人も、農業の良さとか地元の良さとかを子どもに伝えないと、地元に残らないし、担い手も育たない(笑)。グリーン・ツーリズムで、皆がもっと愛媛のことを好きになればって思います。
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