もともと七宝焼きをしていまして、七宝作家を28年しているんですよ。展覧会に出品する時に、地元の瓦とか砥部焼きの粘土や土は手に入りやすいので、七宝と組み合わせて制作をしては発表をしていたんです。置いておくだけで身体に良いもの、機能を持ったものができたら良いなと思うようになって…。親の介護を23年間していた経験から、気になる臭いが自然のもので除去できたらと考え、5年くらい前から具体的に取り組み始めました。『あったらいいな』と思ったものを形にしていった訳です。
粘土にいろいろと配合して、何千パターンも作って焼いてもらったりしました。途中で何回も止めようと思ったこともあったんですけれど、やり始めるとできるまでするのが性分で、せっかくここまでしてきたんだからと思いながらやってきました。
機能について嘘は言えませんから、「アンモニアとかホルムアルデヒドなどを吸着するであろう物を作ったので、データだけ取ってもらえませんか」と工業試験場に出入りしている人にお願いをしましたところ、「これは面白い。特許出願するくらいの商品じゃないか」ということになって。
芸術家ですから『特許』っていっても訳が分かりません。いろいろな人に教えてもらったりアドバイスをもらいながら、特許の出願をさせてもらったんです。
〜瓦の土に特殊配合したものを組み合わせて焼き上げたのが『リグノセラミック』。この素材でできたタイルは、人気テレビ番組「ビフォーアフター」で『犬と共存する家』を紹介した時に、犬がいる玄関に使われていました。水分を瞬時に吸い取り、臭いをパワフルに吸収する素材の長所がよく活かされていたそうです。『エマイムセラミック』は、砥部焼きの土に特殊配合したものを組み合わせた物。薄く焼き上げることができるので、花器などを作ることができます〜
特許を出願するとお金持ちになれると思ってたんですけれど(笑)、誰も何も言ってくれないしどこからも何の音沙汰もない。「どうして?」と知人に相談すると、「商品を売らないと、お金にはならないよ」って。芸術家をやっていた訳ですから、どうやって売るのか解らないんですね。「会社にしないと、信用もないし」と教えてもらって、「じゃあ、会社を作ったらいいんだ」と単純に考えました。
この建物の1Fに、創業準備室という企業を育てる場所があるんですね。会社を立ち上げることについて、1年ほどそこでご指導を頂きました。会社を立ち上げるなら補助金制度もあるとアドバイスをもらって、申請を出しました。補助金を頂けることになって、2カ月以内に会社を立ち上げるのが条件でしたから、それで立ち上げに踏み切りました。
県外から提携の申し出を頂くこともあるんですが、私は愛媛から(商品を)出したい気持ちを絶対に曲げられないんですね。自分が住んでいる愛媛が好きなので、私に協力をしてくれた人や地元の人のお役に立てればと思っているんです。この商品が売れれば、地元の瓦屋さんも振り向いてくれると思うんですよ。瓦屋さんにとって、タイルづくりがビジネスとして成り立てばと思っています。
小さなセラミックボールは、共同作業所で丸めてもらっています。共同作業所は仕事が少ないと聞いたものですから、家庭の主婦に頼んでいた仕事をそこでしてもらうようになりました。丸める仕事なら出来ると先生がおっしゃるので…。なるべくみんなにプラスになるように仕事をしたい、というのが私の思いです。
営業も事務処理も全て1人でこなしている山内さん。今は会社を軌道に乗せることに全力を傾けています。開発した新素材を、多くの人に知ってもらいたいと願っています。
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