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   (掲載:2008年2月)

 様々な要因によって働く自信をなくした若者が、合宿を通じて就労につながるような生活訓練や労働体験を行う「若者自立塾」が愛媛で開講されています。厚生労働省が進める同事業を受託している学習塾「プラネットグループ」(新居浜市萩生)代表・伊藤久門さんに、お話を伺いました。


■「若者自立塾・愛媛」について教えて下さい。

 合宿形式の就労支援「若者自立塾」は3年前に始まった事業ですが、これまで愛媛には自立塾がありませんでした。それとは裏腹に、愛媛県は1万5千人がニート状態にあると言われ全国ワースト5に入っています。それならということで申請を行い、今年度認定された5団体のうちの1つに入ることができました。
 実施期間は原則3ヶ月。第1期は昨年9月15日〜12月15日で、9名が参加し、西条の加茂川沿いにある「ふれあいの里」で行いました。山あいの自然に恵まれた施設で、塾生にとって良い環境だったようです。第2期は2月1日から4月末までで、現在実施中です。 
 3ヶ月の期間は、まず生活リズムをしっかりと取り戻すことから始めます。昼夜逆転している人も多いので、時間の使い方を変える訓練を行いました。朝食と夕食は塾生が自炊します。また、見聞を広めるために、西条や新居浜の祭りを見に行ったり、香川に行ってうどんを打って食べたり…とにかくいろいろな体験をしてみようということで外に出かけていきました。これは、仲間意識を持って合宿をスタートする意味もあります。ソフトボール、釣り、水墨画など、特技を持ったスタッフに教わりながらの体験も取り入れました。
 一人ひとりに応じたカリキュラムを作成し、合宿中は、それに沿って現場スタッフが支援していきます。自主性を大切にし、無理強いはしませんが、「朝起きたらラジオ体操をしよう」など前向きな意見が出てきます。そのようなことを実践して、1日の終わりには日記を書き、翌日の目標を立てるという繰り返しです。
 終盤は就労に向けて、ネクタイを締める練習や履歴書の書き方、ハローワークや愛ワークの使い方などの実習、職場体験などを行いました。


■終了時の塾生の感想は?

 終了式は、塾生もスタッフも涙、涙でした。合宿中に日商検定簿記3級の資格を取った塾生もいました。「今までできなかったことができるようになった」とか「自分の弱い所に直面した」と、明らかにひと皮向けた感がありました。
 終了後3ヶ月間はフォローアップ期間で、参加した9名の塾生から一様に「元気になった」という声を聞いており、成果が出てきているなと感じます。まだ就労には至っていませんが、継続して、企業探しや面接の練習などに頑張っているところです。9名のうち2名は進学を希望し、勉強を始めています。この間も卒塾生が松山で集まったんですが、皆合宿のことを懐かしがっていましたよ。

■を経営する伊藤さんが、若者の就労に取り組むようになったのは?

 20年前に地元で学習塾を始めて、いつの頃からか空いている昼間の時間に、高校を中退したり、引きこもってしまったりした生徒さんが来るようになりました。社会の変革期でもあったのだと思います。個々に理由は様々で、どうしても大学に行きたいとか、消防士になるために高校卒業の資格を取りたいというような相談を受けて、アドバイスをしていました。
 そんな経緯もあって、同級生が理事長を務める就労支援のNPO法人「eワーク愛媛(難波江任代表、新居浜市大生院)」の理事をしています。「若者自立塾・愛媛」は、その連携のもとに実施しているものです。NPOの職員の方と、私共の会社の従業員、外部のスタッフ合わせて10数名が、入れ替わりながら合宿に携わっています。


■「ニート」が生まれる背景をどう感じていますか?

 「勝ち組」「負け組」という言葉のように、「イエス」か「ノー」の二極化が進んでいるように思いますが、僕は決してそうじゃないと思うんです。あいまいな所に属する人も当然いるし、もっと多岐にわたった「全てが正解」という見方の社会を作っていかないと、この問題はけっこう根っこが深いのではないかと思います。個人の能力を見極めて、できるだけ伸ばしてあげるという仕事を、今後もしていきたいと思ってます。


 自らを「体育会系」と言う伊藤さん。小学校の野球チームの監督や、地元の硬式野球チームの顧問を務め、ご自身も軟式野球チームでプレイしているのだそう。「彼ら(塾生)から教わることは多いです。自分たちにいい勉強の機会を与えてくれています」と熱く語ってくれました。


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