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客間にて。
後ろの花は、西部さん宅で
育てているデルフィニューム。 |
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伯方ICを下りて左折、8分ほど走ると、西部さんのご自宅である「ファームイン・ポーチュラカ西部」に到着。お客さんが来た、というように、西部さんが道まで出迎えに来てくれました。2階建の木造の母屋の玄関を入り、左手にある8畳と6畳の二間続きの和室が宿泊に使っているお部屋。実際にその部屋でお話を伺いました。平成9年に新築したとのことで、新しい旅館のような佇まいも感じられます。
「5年ほど前から、農家民宿を開業しようという10軒くらいの農家が集まって研究を進めてきました。2ヶ月に1回くらい、開業したい人の家に持ち寄りで集まって愉快に話し合って。昨年11月に、伯方町にうちともう1軒、上浦町に1軒の3軒がやっとオープンになりました。今年度1軒が申請中なので、4軒になると思います」。愛媛県の規制緩和で、農業体験型の農家民宿は台所や洗面所・トイレなどを家族と共同で使用できるようになり、グリーン・ツーリズム(休暇を農林漁村で過ごすこと)の推進に取り組むしまなみ地域や南予を中心に、農家民泊が相次いで開業しています。

『ファームイン・ポーチュラカ西部』
農家の母屋が「お帰りなさい」と迎えてくれる |
宿の名「ポーチュラカ」の花言葉は『いつも元気、小さなとびら』。「あっ、これにしようってすぐ決まりました」と西部さん。体験や交流の小さな「とびら」になれればという思いが込められています。「お客さんの希望によって、農作業を一緒にしたり、花摘み体験をしてフラワーアレンジメントをしたり。畑から一緒に野菜を取ってきて夕食を作ることもできるし、郷土料理を作って食べることもできる、という具合でやっています。今まで毎月1組くらい来て下さっていて、それぞれの楽しみ方で過ごされましたね。(民泊を始めたことで)お母さんも新しい前掛けをして『何か手伝うことあるかねぇ』って張り切っています」。4月中旬にはNHKのテレビ番組(5/9放映『今日はここ行こ!』)の取材も入りました。

宿泊に使っている客間 |
農家民泊の他にも、お花農家の奥さんたちの「フラワーアレンジメントグループ」や、月1回だけ開店する農家レストラン「はまんぼう市」の活動、今治市の関係のイベントに参加するなど、いろいろな活動に携わっています。また今年度から、「しまなみグリーン・ツーリズム推進協議会」の会長も務める西部さん。協議会のNPO法人化も目下の目標です。
出身は広島県。伯方島出身のご主人と結婚し、子どもが保育園に上がるのを機に、広島から伯方島へ。「非農家からお嫁に来ましたが、『何とかなるわ』という気持ちでした。子どもの友だちのお母さんたちがいろいろと誘ってくれました。気軽に輪の中に入って、すごく楽しかった」と西部さん。子育て中は、ご両親も畑に出るようにとはあまり言わなかったそうです。
西部さんから6年遅れて島に帰った後、勤めながら農業をしていたご主人が、平成16年に病気のため急死。「それまで私は、農業にしても何にしても主人の後ろから付いていく方だったので責任がなかったんですけど、がらっと変わって私が主になってね。うち、畑がちょっと広いんです。お父さんお母さんは、自分が思うようにしたらええと言ってくれたんだけど、せっかくここまで皆で頑張ってきたのに、農業をやめて仕事に出て何が残るかなと思ったんです。お父さんお母さんに、『やれるところまで自分でやるけん、手伝うて下さい』とお願いしました」。
それから3年間、親戚や地元の人の助けもあって、何とか収穫までこぎつけてきました。華奢な西部さんに務まるだろうかと心配していたお父さんも、表情が変わってきたと西部さんは言います。「良い物はなかなかよう作らんのですけど、1年1年やってきて、この家も回ってるんで、まあまあかなと。黒字にはなかなかならないんだけど、心の黒字にはなっているかな。やっぱりこういう活動をしていることで、人とのつながりが広がっていったことが一番良かったかなと思います。本当に皆に助けられて、今までやってこれました」。4人いる子どもさんのうち、2人は島に残り自宅から仕事に通っています。元気に動き回っている西部さんの姿を見て、子どもさんたちも応援してくれているそうです。
5月と6月は、花の出荷が一番忙しい時期。「それでも手伝いにも来てくれるし、宿泊はできるだけ受けようと思っています。専業農家ということで、なるべくありのままの農家というものを見てもらいたいという気持ちもあるので」と西部さん。「大きな希望はないけど、お客さんに喜んでもらって、自分たちも元気になって、民泊を長く続けていけたらいいなと思っています」と、これからの目標を語ってくれました。
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