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初の夜間・避難所運営訓練
〜松山市総合防災訓練〜

 防災の日を前に、8月28日、松山市の総合防災訓練が行われました。市内全体を訓練会場と見立て、複数会場で過去最大となる56機関、6000人以上が参加。現場での災害対応能力の向上を図りました。メイン会場となった同市梅田町の三津浜小学校では、今回初となる夜間実動訓練と避難所運営訓練を実施。夕方日没前の地震発生を想定し、体育館を避難施設として、宿泊を含む訓練が翌朝まで行われました。


「大学生防災サポーター」
全国初の大学生による機能別団員として
平成18年4月に活動を開始。
避難所での対応が主な任務。

 「17時0分頃、四国沖を震源とするマグニチュード8・4の地震が発生。松山市で震度6弱を記録し、市内各地で人的被害や家屋被害が多数発生した」という想定で訓練が開始。周辺住民が、災害時避難場所である同小学校へ避難してきました。

 要援護者の避難訓練として、アイマスクなどをした中学生に付き添う黄色いTシャツを着た若者たちは、「大学生防災サポーター」[=写真]です。ペット同伴避難者のために、NPO法人「えひめイヌ・ネコの会」ではペット預かり所を開設。ペットを含めた家族の防災について考えるよう呼びかけます。

   同市の自主防災組織は749あり、
   結成率は97.4%(8/28現在)。
   愛媛県全体では81.8%。

 模擬被災地と化したグラウンド。倒壊家屋の中に残された被災者の救出に、地域の自主防災組織防災士が動きだしました。救出活動の妨げになる道路上の障害物を力を合わせて取り除き[=写真]、防災士の指揮によって、倒れた家屋の中から要救助者を救出・搬送する訓練を行いました。

 同市では、各組織のリーダーとなる防災士の養成に力を入れています。市が資格取得講座の受講費を全額補助し、平成17・19年度で468名の防災士が誕生しました。
 阪神淡路大震災では、生き埋めや閉じ込められて救出された人のうち、約9割が家族や近隣住民に助けられたとされています。住民の防災意識や、初期活動の知識や技術を高めて被害軽減につなげようと、自主防災組織の結成が各地で進められています。

情報収集の機能別団員として採用された
ファイヤーポストマンチーム。
ブルーの活動服を着用しています。

 女性消防団、大学生防災サポーターらが、救出者の応急救護に当たります。初期消火活動のバケツリレーが、愛媛マンダリンパイレーツ、愛媛FCの選手も加わって行われました。町内をよく知る郵便配達員による「ファイヤーポストマンチーム」が、町内を走って確認した被災状況の報告にやってきました[=写真]

 消防隊やスーパーレスキュー隊が到着。倒壊家屋からの救出訓練、倒壊危険ビルでの消火・救助訓練など、機材を使った本格的な救出・救助訓練が行われました。続いて、災害救助犬による捜索訓練[*1]、県立中央病院DMATチームなどによるトリアージ訓練[*2]、電気や水道などライフラインの応急復旧訓練などが次々と実施され、参加者たちは興味深く見学していました。

 また訓練に並行して、体育館内では、AEDの使用講習、区画用段ボールや災害用トイレの展示等による避難所体験を行うほか、携帯電話の災害用伝言板サービス、緊急地震速報、携帯電話MACシステム[*3]についての広報ブースも設けられました。

体育館での避難所運営訓練のもよう。
実際の避難所開設を想定した体験により、地域での災害への備えに対する意識向上が図られました。

 グラウンドでの訓練が終わり、体育館を避難所とした運営訓練に移ります。避難住民の受け付けを行い、集まった約150人の参加者に、訓練についての説明が行われました。
 避難所の開設と運営は、市が定めた「避難所運営管理マニュアル」に基づいて実施されます。まず運営委員会を設置し、会長と副会長を1人ずつ選出。また、各組内の活動班として▽組長▽副組長▽総務▽被災者名簿作成▽情報伝達▽施設管理▽食料・物資の要請▽救護▽衛生管理などの担当者を決め、それぞれの役割に就いて活動を行いました。
 宿泊訓練には、地域のリーダー12名が参加。段ボールで区切られたスペースで一晩を過ごしました。


 消防局の広報担当者は、「過去の例では、自宅倒壊、倒壊の危険がある人などが、仮設住宅ができるまで1週間〜10日間は集団避難所で生活した。一番問題なのはストレス面や衛生面。消灯時間(明るくて眠れない)やトイレ掃除などをどうするかなども、きちんと話し合う必要がある」と言います。

 「訓練は、役割分担などなかなかスムーズにいかない面もあった。町内の要援護者の安否確認がどこまでできるかが難しいだろう。現場での救助や避難所運営、安否確認などは、実動部隊である防災士を中心とした地域住民の活躍が期待される。今回の訓練をもとにマニュアルの再検討を行い、避難所運営に関して全市に情報発信していく」と、今後の対応について話しています。
   

*1【災害救助犬】

地震などの災害で、倒壊家屋や土砂などに埋もれ、助けを必要とする人を、主に嗅覚によって迅速に発見するよう訓練された犬。
NPO法人犬の総合社会教育化推進機構(OPDES)
救助犬チーム主任 西森裕晃さんの話


 救助犬に必要な素質は、人が好きであるということ。人を探す、見つけて吠えるという行動は、「人とふれあいたい」という気持ちによるもので、攻撃性の強さが必要な警察犬とは本質的に全く違います。救助犬の試験に合格し、実用犬として活動できるまでには3〜4年の訓練を要します。
 OPDESは、災害救助犬の認定を行っています。愛媛ではまだ認定救助犬は誕生していませんが、現在東予2頭、中予1頭、南予2頭が本格的な救助犬を目指して訓練を行っています。
*2【DMAT(ディーマット)】
災害派遣医療チーム。災害急性期に活動できる機動性を持った、トレーニングを受けた医療チーム。
 救出・救助部門と合同し、災害医療のトレーニングを受けた救護班が現場に出向くことで、一人でも多くの被災者の死を回避することなどを目的としています。都道府県では東京DMATが平成16年8月に発足したのが最初で、全国で配備が進められています。

 [トリアージ]とは、人材や資源の制約の著しい災害医療において、最善の救命効果を得るために、多数の傷病者を重症度と緊急性によって分別し、治療の優先度を決定すること。
*3【携帯電話MACシステム】
松山市小中学校PTA連合会による、不審者情報配信システム。
 平成18年5月から運用を開始し、現在、市内の小中学生を持つ保護者の約半数が利用しています。登録は地域一般(誰でも登録可能)、校区別の2通りに分かれており、校区別で登録した場合は、学校単位の情報も届きます。システムの登録は無料。

 今回の訓練では児童の引き渡し訓練が同時に行われ、子どもの安否情報や引き取りの連絡が配信されました。訓練に参加した宮前校区の喜安史子さんは、「子どもの様子が分かりやすい。これが本当だったら…と思うけど、少し安心」と、訓練の感想を話していました。
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