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【地域の情報】最新号
大野原町 OneDay トリップ
(2003年10月号掲載)

 愛媛のすぐ東隣のまち・香川県三豊郡大野原町を訪ねた。大野原町は人口約13,000、レタスやたまねぎを中心とした農業の町であり、近年の企業誘致により工業の町ともなっている。そして、名所旧跡も多く観光の町だ。


 高松自動車道・大野原ICを下りて国道11号線を右折し、しばらく走って県道・観音寺佐野線(県道8号線)へ入る。今回の最初の訪
人々の振興をあつめる
『生木の地蔵さん』
問は、『生木(いきき)の地蔵さん』。樹齢1,200年、高さ30メートル、幹周り10メートルのくすの大木の幹の中に、地蔵菩薩が刻まれている。生きた木に彫ったお地蔵様ということで『生木の地蔵さん』と呼ばれている。5尺(約150p)の身の丈であったが、現在では10pほど背が伸びているそうだ。天保7年(1837年)に約3カ月の月日をかけて、病弱な一人娘の病気平癒を祈願して父親が彫ったといわれている。  

堂守の近藤さん
 くすの木の一部を囲うようにお堂が建てられている。「ちょうど良い時に来られましたね。お参りはこちらからですよ」と声を掛けて下さったのは、堂守りをしている近藤敏子さん。その日の用事を終え、お堂を閉めようとしていた所であった。お地蔵様は、お堂の中から拝むのだった。「もっと近くで見ることができますよ」と、別な箇所の戸を開けてお地蔵様の所へ案内をして下さった。「病弱だった娘さんは100歳まで生きたんですよ。霊験あらたかなお地蔵さんです」と近藤さん。全国各地から参拝者があるそうだ。毎年、幼稚園児や小中学生も訪れて、地蔵尊の由来など勉強するそうだ。
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 県道8号線を南進し、途中で川之江市に至る道(県道9号線)に入って目指すは柞田川上流の豊稔池へ。初夏の『ユルヌキ』(放
豊稔池の石積み式アーチダム。
まるで中世ヨーロッパの城壁のよう
流)の風景で知られる豊稔池の石積み式アーチダムは、国内では前例のない型式という。大正15年から4年の歳月をかけて、近くの谷から採取した石材や海から運んだ砂など、手近な材料を使い、地元の人の労力が投入されてつくられた。

 ダム周辺に整備された遊水公園に下りると、高さ30メートルの高々としたダムを足下から見上げることができる。石積みのダムは70数年の歳月を経て風格を持ち、コンクリートのダムを見慣れた目にはかえって目新しい。柞田川両岸の石畳にも下りることができる。この遊水公園では、ダムから落ちる水の音を聞きながら水辺の散策が楽しめる。また、水生動植物の観察もできそうだ。
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 次は県道8号線に戻ってさらに南進し、雲辺寺ロープウエイへ向かう。案内の看板がかなり多く立っているので、道に迷うことはなさそう。脇道に入って3キロメートルほど上ると、山麓駅駐車場へ着く。山道で出会う車は一台も無かったが、ところがどうして駐車場は他府県ナンバーの車や大型バスがたくさんとまっており、多くのお遍路さんで賑わっていた。 雲辺寺ロープウエイは全長約2,600メートル、高低差約660メートルを秒速10メートルで進む。この規模は国内最大級で、大型ゴンドラは定員101名。20分ごとに運行される。

山頂駅付近から撮影。
ロープウェイから遠く三豊平野を見下ろす
 ロープウエイに乗っていざ山頂駅へ。降りると、小径の真ん中に県境の印が目に留まった。スノーパークのある右手は香川県、雲辺寺は左手で徳島県だ。第66番札所雲辺寺は、徳島県池田町に在するお寺だったのだ。

 雲辺寺は海抜1,000メートルの地に建つ。今はロープウエイで簡単に寺まで行くことができるが、歩くしか手段のなかった時代にはさぞかし時間を要したことだろう。大きなモミの木越しに、徳島の山々が美しく見えている。本堂にお参りをした後、さらなる眺望を求めて、屋上に大きな毘沙門様がそびえ立つ毘沙門天展望館へと向かう。

 展望館への道は勾配がきつく、つえを借りたら良かったと思うほど。息を切らして到着すると、『ただいま入館料無料』の張り紙が。「ありがとうございます」と毘沙門様にお礼を言いつつ、らせん状の通路を歩いて高さ15メートルの屋上へ出る。さえぎるものが何もなく、360度の景色が楽しめる。あいにく快晴とは言い難い天候ではあったが、三豊平野、徳島や愛媛の山並み、川之江・三島地方がうっすらと見えていた。

 展望館を下りて左手はスノーパークへ続く道。ゴーグルをつけたうさぎが道案内に立っている。夏はパラグライダー、冬は雪遊びができる。帰りのゴンドラでは、泉南からやって来たというお遍路さんの一行と一緒になる。添乗員以外は高齢の方たちばかりだが、元気そのもの。巡拝の旅を楽しむパワーはすごい。賑やかな話し声とともに山麓駅まで下りた。
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↑土塀の続く小径。江戸時代の雰囲気が漂う
↓萩原寺客殿。玄関の前に見事な萩が
 駐車場を出て、来た時とは別ルートで、正面の農道を下りることにした。ゆるやかに山を下っていくと、やがて萩の名所として有名な萩原寺へと着く。萩原寺は、江戸時代には末寺280寺を統括したと言われるだけあって、長く続く白い土塀や客殿、宝物館が格式の高さを感じさせる。境内には2,000株の赤や白の萩が植えられているそうだ。まだ赤い萩が少しは残っていたが、ぜひとも萩の花が咲き揃う9月に訪れたいお寺だ。


 町の花は『はぎ』で、町の木は『くすのき』。歴史を大事にしている町だ。ほんのお隣に、見どころいっぱいの町がある。
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