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【地域の情報】最新号
「地産地消」の給食づくり
〜今治市の学校給食〜
(2003年11月号掲載)
 安全な食品に対する意識が高まっている近年、今治市では、さかのぼること20年前から、地元でとれた新鮮で安全な食材を優先して給食に使う先進的な取り組みが行われている。同市は、地元で生産されたものを地元で消費する、いわゆる「地産地消」の運動を積極的に進めている。その一つのシンボルとして、学校給食がある。

 市の「地産地消推進室」を訪ね、給食の取り組みについて、室長の安井孝さん、渡辺敬子さんに話を聞いた。


■手間を惜しまない仕入れと調理■

食材の説明を聞きながらの給食=立花小学校
 野菜は、市の公設卸売市場から仕入れる。青果組合の協力のもと、まず今治産のものから、なければ越智郡産、県内産、国内産というように、なるべく近い所で取れたものを仕入れる形ができあがっている。米は平成11年から、今治産の減農薬米を100%使用。玄米で保存し、10日に1回精米して炊くご飯は「おいしい」と子どもたちに評判だ。
 パンも地元産にこだわる。学校給食にパンを納入する「今治合同製パン」の熱心な協力を得て、試行錯誤の末、100%今治産小麦のパンの開発に成功。供給は3年目で、徐々に回数を増やし、今年は10月から3カ月間で24回出されることになっている。その他に、豆腐も今治産大豆のものに切り替えた。

 現在、市内に24の小中学校があり、そのうちの12校で単独自校方式の調理場を持つ。「うちの自校方式は、調理員1人あたりの食数が70〜80食。一般的な自校方式だと100〜120、センター方式で150ぐらい。小回りがきくし、手間もかけられます。献立も調理場ごとに全部違っているんです」(渡辺さん)。それでも、給食費は小学生で1食210円と、他の自治体に比べて高くはない。「生産者や加工業者さん、現場の栄養士さんや調理員さんはかなり苦労してくれている。今後はコスト負担への市民の理解を深めていきたい」と安井さん。


■献立の工夫■

 毎年1月の給食週間に合わせて、「郷土料理給食」を実施。鯛めし、せんざんきなど、今治ならではのメニューが登場する。その他、児童からのアイデア献立の募集、栄養士が考案した「子どもの嫌いな野菜を使ったおいしい献立」、給食の人気メニューを家庭用にアレンジしたレシピ集の発行など、毎年発展的に企画されている。


■有機への取り組み■ 

 市内の立花地区では、自校方式開始当初から地元の生産農家が協力し、3調理場(立花小学校、鳥生小学校、城東調理場)に毎朝直接、有機野菜を配達している。旬の野菜を中心に、鶏肉や卵も含め、現在の導入率は60%。他の地区での導入はまだまだだ。「立花は、給食の時に『今日は、これとこれが立花地区で取れた有機野菜です』という説明付きなので、『誰やらのおじいちゃんが作った野菜だ』と言って食べたりする。ただ黙々と食べるのとは意識が違うと思う」(安井さん)。

 有機野菜とは、日本農林規格(JAS)の認証を受けた生産農家の農産物のこと。安井室長、渡辺さん自身も、有機農産物認証制度の検査員資格を持っており、振興に力を注いでいる。

 また、市が補助し、市内4つの小学校で有機JASの認証を目指して有機農業に取り組んでいる。有機野菜を食べている立花小学校もその1校。昨年、今年と、アイガモ農法で米づくりを行った。


■立花小の農園学習■

 去る10月30日、立花小学校の5年生の児童88名が育てた稲の刈り取りが行われた。農園は学校から歩いて5分、通学路の途中にある。春に田植えをしてから、苗やアイガモの様子を時々見に来ていた子どもたち。この日を楽しみにしていた。

立花小学校で行われた稲刈りの様子
 田植えから指導に当たったJA立花の神野さんから、鎌の扱い方や稲が米になるまでの説明を聞く。「刈り取ったら、まずモミと藁に分ける脱穀をして、モミすりをしたものが玄米です。玄米を精米して、みんなが食べている白米になります」。

 子どもたちは一列に並び、めいめいに手に鎌を持ってにぎやかに刈り取った。稲刈りを体験して、「またやってみたい」、「(1粒1粒がご飯になることについて)少ないと思う。刈る前はもっと多いと思っていた」、「力がいった。立ったり座ったりするんがしんどかった」と、それぞれに感想を持ったようだ。

 5年1組の担任、山本祐美子教諭は、子どもと落ち穂を拾いながら「物が溢れているからこそ、体験して、作る人の大変さを味わって欲しい。毎日食べているご飯がこうやってできるんだと分かると、食への関心は変わりますね」と話す。収穫した米は、同校の「いちょう祭り」で、5年生が飯盒で炊いてカレーやおにぎりにして、皆に振る舞う。


■食育の普及めざす■

 昨年今治在住の26歳の人にとったアンケートでは、小学時代を立花地区で過ごしたグループに、食に対する意識の高さが見られた。

 長年地産地消の普及や学校給食の充実に努めてきた安井室長は、食や農に関する教育『食育』の重要性についてこう話す。「地元の食材だと思って食べただけで大きな違いがある。きちんとした食育をしながら食べれば、20年後が楽しみじゃないですか。20年かかってファーストフードが栄えてきたように、我々も20年かけて、本来の食を取り戻さないといけない。ちょっと息の長い話ですけどね。『食育』は国語や算数みたいに、将来的には科目として必要なんだろうと思うんですよ。乱れている食生活に、今ぐらいに歯止めをかけないと」。組織の枠を越えて、総合学習に向けた独自の「食育プログラム」も考案中だ。

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