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【地域の情報】最新号
民家をグループホームに
NPO法人 グループホームしいのみ (松山市緑町)
(2004年10月号掲載)
 城山のすぐ下にある『グループホーム(以下GH、文末注釈)しいのみ』。GHしいのみは、愛媛大学にほど近い、民家と学生向けマンションとが混在している地域にあります。管理者の村上光栄さんがお年寄りと手をつないで、待ち合わせの場所に迎えに来てくれました。

マンションと民家に囲まれた
『GHしいのみ』
 案内されたのは普通の民家で、つい先日に出来上がったという看板を除けば、GHだと判るものは見当たりません。「こんにちは」。玄関でスタッフや入所者に挨拶をして、さっそく内部を見学させてもらいました。
 この家は、村上さんがもともと住んでいた家で、あまり手を加えることなく、GHとして使っています。GHにするために改装をしたのは、階段の両サイドに手すりをつけて滑り止めマットを敷いたのと、トイレやお風呂に手すりを付けた所くらいだそうです。

 1階には、リビングルーム、台所、風呂場、トイレ、居室が2部屋と事務スペースがあり、2階には、居室が2部屋、2人用居室1部屋とトイレがあります。部屋のサイズも少しずつ違っていますが、入所の人たちが、それぞれ自分の気に入ったようにして住んでいる様子が判ります。

お年寄りも器用に上り下りする階段
 2階を見学していると入所の方が、「何か羽織るものを…」と言いながらスタスタと階段を上ってきました。自分の部屋へ戻ると、今度はカーディガンに袖を通しながら足早に下りて行きました。聞けば90歳とのこと。両サイドに手すりがついているとはいえ、階段の勾配はけっこう急です。余りにも軽やかな足取りに驚いてしまいました。

 GHしいのみは、平成13年6月に設立された特定非営利活動法人(NPO法人)で、愛媛県で21番目に認証を受けた団体です。施設の見学を一通り終えて、村上さんからお話を伺いました。

 村上さんは看護師として、大型の療養型の老人介護の病院で働いていましたが、流れ作業的になっているのではないかと感じ、介護を見直してみたいと思うようになりました。入所の人たちが、自分のペースで、自分の流れに合わせて生活できる場所がないかなと思っていた時にGHを知り、したいことと一番近いと感じたそうです。介護保険制度ができて、GHがその1つだと知って踏み切ったという訳です。介護福祉士、社会福祉士、看護師など仲間4人が発起人となりました。

 NPO法人にしたのは資金的な事情で、介護の仕事をしている人から、できたばかりの『NPO法人』を教えて貰らったからです。「知識も何にもなく、真っ白の状態で県に相談に行ったのですが、職員さんが親身になって書類のつくり方や定款のつくり方を教えてくれました」。

 NPO法人の理事長は、元サラリーマンのご主人(康彦さん)です。GHの本格的な立ち上げと共に会社を辞めて、現在は2級ヘルパーとして介護に従事するほか、経理や諸手続など法人関係の事務一切を引き受けてくれています。「近所には長年住んでいる人が多く、独居のお年寄りが外に出たりする時に、近くの民生委員さんに手伝いをよく頼まれていたんですよ。そのようなこともあって、高齢者の介護に関心を持っていました」。

2階の一人用居室=GHしいのみ
 元住んでいた家でGHを始めたのは資金的に取り組みやすかったのと、小さな部屋がいくつかあって5、6人で住むのに適していたからです。台所のカウンターを取り外す他は、大きく手を加えることなくGHとしてスタートを切り、手狭になってから少し増築をしたそうです。

 入所のお年寄りの人たちは、地域のお祭りや運動会にも参加しています。また近くの和光幼稚園の庭の掃除には、仕事のように毎朝出掛けています。自分ではもう役に立たないと思っていたのが、まだまだやれるという気持ちが蘇ってくるそうです。園長先生のお茶をおよばれして帰るのが日課の1つになっています。「幼稚園の餅つきとかひな祭りに呼んでくれるんですよ。餅つきの時には、若い先生方にお餅の丸め方を教えてあげたりしています」。

 夜勤にも入る職員4名とパート3名の計7名で入所者6名のお世話に当たっています。ボランティアとして、また、2人の大学生が、パソコン関係やお年寄りの話し相手などを手伝ってくれているそうです。

畳敷きがうれしいリビングルーム
=紫竹庵
 同法人は、平成14年12月、松山市別府町に『GH紫竹庵』もスタートさせました。介護福祉士の大西英之さんが、チーフワーカーとなって運営に当たっています。25歳の大西さんを初めスタッフの平均年齢は若そうです。『紫竹庵』は『しいのみ』とは対照的に、山があったり田や畑があったりする自然豊かな場所にあります。

 こちらも民家に手を加えた施設ですから、一見しただけではGHだとは判りません。畳敷きのリビングルームは、入所者にもスタッフにも好まれています。歌好きの人が多いらしく、歌謡曲や民謡のCDが次々とかけられていました。近所の子どもたちも気軽に「おじいちゃん」「おばあちゃん」と、遊びにやって来るそうです。「子どもたちが来るのを利用者さんが喜んでいます。他の施設にはできない、ここならではのことだと思っています」(大西さん)。

 『しいのみ』には、町なかで長年生活をしてきた人たちが入所をし、『紫竹庵』には、自然に恵まれた中で生活をしてきた人たちが入所しています。両GHとも、入所者はそれまでの生活の仕方をあまり変えることなく、暮らすことができています。

 「台所で洗い物をしている姿を見たり、ソファにもたれてうとうととしている姿を見たり、ほんのちょっとしたしぐさや表情を見ると、GHを立ち上げて良かったな、幸せだなと思います。(入所の)皆さんが元気を保ってくれていることがありがたいし、それを支えているスタッフもすごいなと思います。立ち上げた頃の熱い気持ちから、今は、周りの人たちへの感謝の気持ちになっています」(村上さん)。

 入所の人たちは、自由に自分のペースで過ごしていました。ちょっとしたお手伝いの感覚でお世話がされています。家庭で暮らす良さに最大限近付く努力がされていました。


【グループホーム】
家庭的小規模な、24時間ケア付きの痴ほう症高齢者施設。1グループの入所者は5〜9人で、洗濯や料理など可能な限り自立的な生活を送る。


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