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【地域の情報】最新号
新しい情報発信拠点に
村上水軍博物館 (越智郡宮窪町)
(2004年11月号掲載)
 先月、10月22日にオープンしたばかりの『村上水軍博物館』。大島内の国道317号線を道なりに進んで正面に海が見えてきたら、突き当たりの信号を右に折れて約1qほど行くと、城郭を思わせるような博物館が建っていました。

【村上水軍博物館】
丸に「上」の字を染め抜いた
村上水軍の赤いのぼりが旗めく。
休館日は、月曜日と年末年始。
 入り口には、村上三島氏の書による『村上水軍博物館』の碑が、また左右には、村上水軍が最も勢いを保っていた時代の武将・村上武吉と息子・村上元吉の像が立っています。緩やかな坂を上っていざ博物館の中へ。宮窪町教育委員会・学芸員の中川さんが、館内を案内してくれました。

 明るい吹き抜けのエントランスホールの正面には受付があり、ここで展示室の観覧券を求めます。大人は200円、中学生以下は無料で、この値段設定なら誰もが気軽に入場することができます。

 水軍の歴史を描いた絵を見ながら階段を上って展示室のある2階へと上がります。左手の常設展示室から見学することにしました。

 まず最初のコーナーは、海を舞台に活躍した村上水軍を映像で伝える『能島の海』。博物館の目の前にある小さな島・能島は、『能島村上水軍』の活躍の拠点でした。このコーナーでは実際の眺望と一致させるように映像が流れており、潮流の速さまで体感できます。海賊の闘いの場面の再現は、実物大の絵と石膏人形を組み合わせて立体的に展示されており、迫力があります。海上での闘い方や戦闘員の役割分担までよく伝わっています。武器や道具は実物が展示されています。

学芸員さんが、出土された陶器類 
について説明してくれました
 古文書や復元品を通して村上水軍の活躍を紹介する『海賊たちの遺跡』のコーナーでは、村上武吉が厳島神社の神官に与えた『過所旗』が必見です。過所旗とは海の通行手形で、この旗を見せれば瀬戸内海の航行で海賊が出てきてもフリーパスであったそうです。このことからも村上水軍の勢いのほどを知ることができます。実物は山口県文書館の所蔵ですが、過所旗は2点しか残存していないので、複製と言えどもたいへん貴重なものです。

 村上水軍は海賊として合戦をしていたばかりでなく、海運業を営んだり、通行手形を出すような経済活動もしており、それらを説明しているのが『発掘!海賊たちの遺跡』のコーナーです。ここでは、発掘調査で出土した遺構や遺物が展示されています。伯方大島大橋の橋脚工事の調査の際に出土された見近島からの出土品が主に展示されています。国の史跡に指定されている能島では、現在長期的な調査が進められていて、調査の成果も順次展示されることになっています。

 次は、一息入れるための『ちょっと潮待ち』のコーナーです。中世の甲冑の発見から修復の過程を描いたビデオや、村上水軍の軌跡を描いたビデオを見ることができます。

見事に蘇った中世の甲冑
『黒韋威胴丸』
(くろかわおどしどうまる)
 最後は能島村上家に伝わる資料を展示した『村上家記念室』。毛利氏に仕え、山口県周防大島に拠点を移した村上家で、代々守り伝えられた甲冑類や文書類が多数展示されています。中でも室町期の甲冑はたいへん貴重なもので、全国的にもその時代の甲冑はほとんど残っていないそうです。発見された当時、鎧びつの中でゴミ同然のような状態であったものが、現代の甲冑師の手によって、見事に蘇っていました。伝承では、当主クラスの人物の物であろうとのことです。村上武吉が活躍したのは豊臣秀吉の時代ですから、武吉以前の代の当主のものだったのでしょう。400年は経っていると言われる別の甲冑も色あせがほとんどなく、見事なまでに浅黄色が残っており、見応えがあります。

 『企画展示室』では、閉校当時の四坂島小学校の様子が再現されていました。当時の四坂島や宮窪町の暮らしぶりを写真や道具で見ることができます。特別な企画を行わない時には、これがメインの展示となるそうです。

 『わくわく体験ルーム』では甲冑や小袖の着付けをしてもらうことができます(事前の予約が必要です)。また『櫓こぎマシン』で、櫓こぎ体験もできます。この櫓こぎマシンは、弓削商船高等専門学校生が考案したもので、全国高専プログラミングコンテストで2位になった作品です。 

3階展望デッキからの眺め
中央の小さな島が能島
 最後は3階の展望室へ。エレベーターを下りると目の前に、瀬戸内の島々の景色が広がっていました。正面には鵜島が、その手前に能島と鯛先島が見えています。また足元に目をやると、青い海と緑の島々の航空写真が広がっていました。これは陶板に写真が焼き付けられたもので、しまなみ海道沿線の島が描かれています。来館者は、自分がどのルートをたどってここへ来たか、目で確かめることができます。素晴らしい景色が、最大の見所です。

 同博物館のユニフォームは、海をイメージにしたブルーのトレーナーです。今治精華高校のデザイン科の生徒さんが図柄をデザインしたそうで、背中に踊る鯛に、ほんの小さく学校の名前が入っています。スタッフの名札にも似顔絵が描かれていました。

 前身の水軍資料館が老朽化したのと資料が増えて手狭になったこと、水軍をテーマにした町おこしのためには情報発信拠点も必要との機運の高まりから、同博物館のオープンとなりました。見学者の出足は、なかなか好調のようです。

 「水軍資料館当時から、水軍に興味のある人が全国から見学に来ていましたが、今までは余り来ていなかった近隣からの見学者が多くなっています。知識がなくても、ここへ来れば村上水軍がどのように活躍したか、どのような生活をしていたかが解って頂けるように展示を工夫しています。次に来館された時には、変わっているものがあるように、展示替えもしていこうと思っています。たくさんの方に来て頂きたいですね」(中川さん)。

 同博物館は大島石をふんだんに使い、見晴らしの良い設計がされています。同博物館は、町おこしの新しいシンボルとして活躍しています。
【村上水軍博物館】
● 住所 : 〒794-2203愛媛県越智郡宮窪町宮窪1285番地
● TEL : 0897-74-1065、FAX:0897-74-1085
● Mail : kyouiku@town.miyakubo.ehime.jp
● HP  :  http://www.town.miyakubo.ehime.jp/benri/gyouji/kyoiku02.html  

開館時間  午前9時〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日  月曜日(月曜日が休日の場合、翌火曜日)、年末年始(12/29〜1/3)
駐車場  50台(大型3台)
観覧料  200円、中学生以下・高齢者・身障者は無料
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