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【地域の情報】最新号
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森の中に広がるゆっくりの空間
『霧の森』(四国中央市新宮町)
2005年9月号掲載
 お盆が明けて少し暑さがゆるんだ頃、標高300mの山間部にある『霧の森』(=四国中央市新宮町馬立)に行ってきました。
高知自動車道・新宮ICが近づくと、眼下に『霧の森』の施設が見えてきます。『霧の森』はICのすぐ近くにあり、たいへん交通の便の良いところです。

 駐車場に車を止め、辺りを見回すと、ここが深い森と山に囲まれた場所であることを実感します。雨上がりであったせいか、木々の緑がさらに濃さを増しているように感じました。目にも涼しげな馬立川の渓谷を眺めながら、赤い欄干の玉水橋を渡り、いよいよ霧の森へ。

新宮ICを背に立つ『霧の森交湯〜館』
 ▼まず初めに訪れたのは、8月15日にオープンしたばかりの『霧の森交湯〜館』。同施設は、平成6年度に運営を休止した宇摩地区青少年センターに替わる施設として建設されたもので、温浴施設を備えた、研修と交流のための施設です。

 パンフレットを見ながら、施設内を見学させてもらいました。心地よい木の香りが、館内に溢れています。フロアーや階段はもちろんのこと、手すりや柱のコーナーにいたるまで、いたるところに木材がふんだんに使われていました。

 1階は、温泉を楽しむ場所で、サウナを備えた大浴室と、大型テレビやマッサージ機が設置されてある42畳の和室があります。大きな窓からは、馬立川の渓流を見ることができます。温泉を楽しんだ後、ゆっくりとくつろぐことのできる空間が準備されていました。

 入浴料金は、中学生以上65歳未満が300円、小学生と65歳以上が200円、小学生未満が無料と、かなり安く設定されています。低張性弱アルカリ性冷鉱泉で、神経痛や筋肉痛、関節痛などに効くそうです。浴室の外に面した壁はガラス張りで、ここからも霧の森の自然を堪能することができます。入浴客の評判も、上々でした。

多目的に利用できる研修室
 2階は研修室と郷土料理研修室で、研修室にはスクリーン、プロジェクター、ビデオなどが完備されています。研修室の利用状況は順調で、老人会や婦人会の方がよく利用しているそうです。広々としたロビーに続く階段は、幅が広く蹴上げも低いので、とても上り下りが楽でした。またエレベーターも設置されているので、高齢者の方も気軽に2階の施設を利用することができます。施設スタッフの方に話を聞きました。

「温泉がメインのように感じられますが、メインは研修室です。休憩中は散歩をしたり、霧の森レストランで食事をしたりして、自然に囲まれた中でゆったりとした時間の流れを感じながら、学びや交流を深めて頂ければと考えています。学びの場、癒しの場として大いに利用して頂きたいと思います」。

『霧の森大福』と煎茶のセット
 ▼新宮へ来たならば、ぜひとも味わいたいのがお茶。街道茶店『茶室・聴水庵』を訪れました。聴水庵は、炉が切られた座敷や奥の水屋などを備えた本格的な茶室です。赤い毛氈の立礼席もあります。川に囲まれた立礼席は、馬立川の眺めが最も美しい場所と言われています。

 『お茶とお菓子のセット』を頼んでみました。セットは500円で、煎茶か抹茶のどちらか、お菓子も霧の森菓子工房で作られる2種類の中から選びます。(『いまはむかしミュージアム』とのセット利用券(800円)を買うのがお薦めです)

 座敷に上がって川の音や蝉の声を聴きながら、庭を眺めつつ待つことしばし。やがて、お盆にセットされて、茶道具が運ばれてきました。ここでは、自分で煎茶を入れたり、抹茶を点てたりすることができるのです。方法が解らなくても、詳しいマニュアルを渡してくれるので大丈夫。難しい煎茶も、おいしく入れることができます。もちろん頼めば、お茶を点てて出してくれます。

 戴いたお菓子は、もちろん話題の『霧の森大福』。インターネット販売で、売り上げ日本一を記録したほどの人気商品です。口に入れると、抹茶の渋さ、こし餡と生クリームの甘さが広がりました。このお菓子の味が、お茶の味をいっそう引き立てていると感じました。同行のスタッフによると、黒糖まんじゅうの『馬立本陣』もかなり美味しかったそうです。他にも、季節に応じてお菓子のメニューが変わります。

『いまはむかしミュージアム』
 ▼次は『いまはむかしミュージアム』の見学です。建物の前の浅い池は、池の中央にも行くことができるデザインで、水生植物やメダカの様子が間近に見えます。ここもなかなか素敵な空間でした。同ミュージアムは、和紙人形の常設展示館として日本で最初にオープンした『内海清美(うちうみきよはる)ものがたり館』と、旧新宮村郷土館の収蔵品を展示した『くらしとあゆみ』とが一体となったものです。

 館内へ入ると、そこは『くらしとあゆみ』のゾーン。民具や農具などが展示され、旧新宮村の暮らしと歴史を知ることができます。銀器や漆器はもちろんのこと、保存状態の良いものが一点一点、たいへんきれいに丁寧に展示されているのが印象に残りました。
 別棟になっている『内海清美ものがたり館』には、内海氏の作による300体もの紙人形が展示されています。「竹取物語」や「源氏物語」をはじめ「今昔物語」など、順路通りに見学していくことによって、「ものがたり」を読むかのように構成・展示されています。

 人形は白一色の和紙で作られているそうですが、絶妙な照明により、様々な色合いと風合いを醸し出しています。また、着物の質感さえも、感じ取ることができます。人形の表情も様々で、一つとして同じものがありません。悲しみ、憂い、慈愛、驚き、躍動など、心の様が見事なまでに表現されていました。音響が、さらに見る人を物語の世界へといざなっていきます。人形、照明、音響の3つのコラボレーションによる芸術作品だと感じました。

馬立川で遊ぶ子どもたち
 ミュージアムを出て、のんびりとした時を楽しみながら川の方に目をやると、一組、また一組と、あちらこちらで川遊びをしていました。馬立川の中でも霧の森付近は川が浅く、格好の水遊びのポイントだそうです。馬立川は、蛍が生息するほど水の綺麗な川で、透明度は抜群です。 

 駐車場には、香川ナンバーの車がたくさん止まっていました。『霧の森』は、高速道路を使えば四国四県のどこからも訪れやすい観光スポットです。おみやげには、無農薬の新宮茶をぜひどうぞ!
■霧の森 ▼交通=高速道路新宮インターチェンジ下りて左折800メートル
▼定休=月曜(祝日と重なる場合は、その翌日)
▼電話=0896・72・3111
※霧の森交湯〜館は、10時〜21時まで営業

【霧の森・霧の高原オフィシャルページ】
http://www.kirinomori.co.jp/

新宮の歴史あれこれ
 黒糖まんじゅうの名前にもなっている『馬立本陣』は、霧の森のイベント広場の向かい側にあります。土佐藩6代藩主山内豊隆候から、16代藩主山内豊範候まで歴代の藩主が、参勤交代で江戸に向かう途中、ここで宿泊していました。現在は、石垣の上に門だけが残っています。
 馬立川沿いの古道は『土佐街道』と呼ばれ、土佐藩の参勤交代の街道として大いに栄えた道でした。またこの古道は、その昔、大和朝廷時代の官道として、時の役人の往来を見てきた道でもあります。新宮の地は、古くから開かれた土地であるのです。道幅の狭い山道ではありますが、伊予と土佐を結ぶ主要道として、昭和初期までにぎわったと言われます。
旧新宮村役場の隣には、およそ1200年の歴史を持つ『熊野神社』があります。9世紀に紀州和歌山の新宮から熊野神社を勧請したことで、『新宮』の地名が誕生したそうです。熊野神社は、四国の神社の中でも最も格式の高い神社の1つで、四国の大半を勢力下におく時期がありました。
 石段を上がると、拝殿の周りには年輪を重ねた大木が立ち並んでいます。苔生した狛犬が、神社の歴史と風格をさらに感じさせています。よく見ると、拝殿正面の長押(なげし)の両端には、象鼻が彫られていました。
 新宮には、65番札所三角寺(四国中央市金田町)の奥の院であり、四国88カ所の総奥の院ともなっている仙龍寺があります。厄除け大師、虫除け大師として、広く人々の厚い信仰を集めています。


 
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