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【地域の情報】最新号
2006年8月号掲載

足の向くままOne Day Trip 香川県善通寺市の旅

 今回の地域の情報は、“足の向くままOne Day Trip/善通寺市の旅”です。真言宗の祖・弘法大師空海誕生の地として知られる善通寺市は、総本山善通寺の門前町として発展しました。市内には四国88カ所の内の5カ寺を始め、古いお寺が多くあります。明治29年に旧陸軍第11師団が置かれたことから軍都として栄えた時期があり、現在も陸上自衛隊が駐屯しています。人口34000名余りの規模ながら、国関係の機関も多く、大学(四国学院大学)もあるなど、歴史と文化を感じさせてくれるまちです。



南大門

 まずはまちの名前の由来である『善通寺』を訪れることにしました。高松自動車道・善通寺ICを下りて国道319号線へ。JR善通寺駅近くの中通りへ右折して入り、数分も走れば、善通寺の正門・『南大門』(左写真)の前に出ます。そのまま通り過ぎて突き当たりを右に曲がり、駐車場へ車を止めることにしました。

 善通寺は、807年に唐から帰った弘法大師によって建立されたお寺です。今年はちょうど創建1200年にあたり、4月29日からお大師様の誕生日の6月15日までを善通寺創建1200年祭の期間として、記念大法会など諸行事が行われました。善通寺には年間およそ100万人の人々が参拝に訪れますが、今年は記念行事期間中にその数に達したそうです。


青空にそびえ立つ五重塔

 駐車場から中国の隋の時代の天津橋を模したアーチ橋・『済世橋』を渡って境内へと向かいます。境内は、伽藍と呼ばれる東院と誕生院と呼ばれる西院に分かれています。私たちが着いたのは西院で、たくさんの建物が並んでいますが、ひとまずは広い境内を抜けて東院の南大門の所まで行くことにしました。ここを出発点に、いざ見学の始まりです。  

 南大門を入ると、右手に五重塔、左手には大きなくすのき、正面に金堂が見えています。国内に現存する中では三番目に高い善通寺の五重塔(右写真)は、総ひのき造りで高さは45メートル余り、初層の幅は6・4メートルもある堂々とした建物で、善通寺市のランドマークとなっています。屋根を見上げると、軒を飾る組み物が見事で、尾垂木の上部には龍の、下部には象の彫刻が施されていました。現在の塔は創建以来4代目。1845年から明治維新をはさんで50数年の歳月をかけて再建されたものだそうです。


長い歴史を見てきたくすのき

 2本の大くすのき(左写真)は、香川県の天然記念物に指定されており、樹齢は千数百年と言われています。幹周りは約11メートルもあり、力強く四方に大きな枝を広げて


御本尊がまつられている金堂

います。弘法大師の誕生も見守ったくすのきは、今も青々と葉を繁らせ、涼しい木陰を作っていました。正面の金堂(右写真)でご本尊の薬師如来に手を合わせ、ぐるりを囲む羅漢さんたちを眺めながら堂内を一巡りしました。石造りの床で天井が高い堂内は、外の熱気をしばし忘れます。 

東院の敷地の周りは、創建1200年を記念して建立された真新しい五百羅漢が囲んでいました。


帽子をかぶった羅漢さん

中門の右側から右回りに1番から並んで、ぐるっと一周して中門の左に500番目の羅漢さんが並んでいます。門をくぐろうとした時、第1番目の羅漢さん(左写真)に目が留まりました。なんと、帽子を被っていらっしゃいます。よくよく見ると布製の帽子で、忘れ物か落とし物の帽子を誰かが被せたのだろうと思います。石造りの像とぴったりマッチした灰色の帽子です。なかなかお似合いなので、少しも不自然さを感じさせませんでした(気が付かないまま通り過ぎる人も多かったようです)。陽射しのたいへん厳しい真夏のこととて、羅漢さんもお喜びかも知れません。


荘厳な趣の御影堂奥殿

 西院に入って、まずは御影堂(みえどう)へ参拝です。御影堂は、弘法大師誕生の地に建ち、奥殿(右写真)には大師自らご自身を描かれた瞬目(めひき)大師像が安置されています。土御門天皇がご覧になった時に、この像が瞬きをしたことから、この名前が付いたそうです。大師像は通常は50年に1度開帳されますが、創建1200年記念行事として期間中に一般公開されていました。
 御影堂の下部には、長さ約100メートルの『戒壇巡り』があります。靴を脱いで右手の階段を下りて行きました。「左手で壁を伝って進んで下さい」と教えてもらっていたのですが、中は本当に真っ暗で何にも見えません。左手に感じる壁だけが頼りの世界です。「あっ、右へ曲がった」「今度は左だ」と感じながら、おそるおそる歩を進めます。足下には四国88カ所の砂が敷き詰められ、左右の壁には37の仏様が描かれているのだそうです。


産湯の井戸を囲うお堂

中央広間には明かりが灯り、弘法大師がまつられていました。ここでは復元された弘法大師の声が流れています。再び闇の中を通って、御影堂へと戻りました。ここから宝物館へと順路が続きます。

 宝物館へ通ずる渡り廊下を進むと、右手に小さなお堂があります。そのお堂の中にあるのが『産湯の井戸』(左写真)で、弘法大師が誕生された折りに、この井戸の水を産湯として使ったと言い伝えられています。法要にはこの水が使用されるとのこと。宝物館で目を惹いたのは、創建時の金堂本尊の一部と推定される仏像の頭部でした。弘法大師の自作との伝承があります。兵火で焼けた跡と思われる一部黒くなった頭部裏側の写真が添えられてありました。歴史を物語る仏様の姿に、1200年という年月の長さを今更ながらに感じました。


近代的にさえ感じるJR善通寺駅舎

 善通寺を後にして、市内を一巡りしてみました。『JR善通寺駅』(右写真)は、表玄関やホームに大正時代の木組みがそのまま残っています。寄せ棟造りの屋根と淡いピンクがかった色合いの玄関ポーチの柱は、かえって今風な趣があります。市役所南手には『旧陸軍第11師団偕行社』がありますが、残念ながら国指定重要文化財としての改修工事の真っ最中でした。すっぽりとカバーで覆われているので、かいま見ることもできません。同建物は将校らの社交場として明治36年に建てられました。来年には一般公開される予定です。


善通寺市の象徴・五重塔を背景に
美しい通りが続きます

 赤レンガの旧陸軍第11師団兵器庫も見逃せません。かなり高さのある2階建てで、通りに沿って立ち並ぶ姿は壮観でしかも優美です。遠くに善通寺の五重塔が見え、まさにこの景色は善通寺市のシンボルだと感じました。


【ちょっとよりみち】

『カタパン』で有名な熊岡菓子店


 善通寺の東院から西院に通ずる二十日橋に向かおうとする時に、右手にちょっと気になる看板が…。『カタパン』と書いてあります。お店の風情も何か懐かしげです。ちょっと立ち寄って見ることにしました。創業は明治29年とのことで、お菓子を入れるケースもハカリもなかなか年季の入ったものが並んでいます。


レトロなガラスケースに
収められたカタパン

紙袋には善通寺の絵が

カタパンとは、小麦粉と砂糖で作られたとても堅いお菓子です。四角いのと、ショウガ砂糖のついたのを買ってみることにしました。お菓子を入れる紙袋も今では懐かしく感じます。ほぼ同じ原材料で作られるクッキーとは食感が全く異なりますが、素朴で深い味わいが心に残りました。かなり堅いので、手で小さく割ってから口に入れるのが無難です。


川でのんびりと暮らす亀や鯉

 二十日橋を渡ろうとして、下の川に鯉や亀がいるのに気が付きました。岩の上で甲羅干しをしている亀もいれば、気持ちよさそうに泳いでいる亀もいます。この川には、相当な数の亀が住み着いているようです。人慣れしているのか、人が立つ所へ次々と亀が近寄ってきていました。

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