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安芸市は、今や阪神タイガースの春のキャンプ地として有名ですが、戦国時代末期まで地元の豪族安芸氏が治めていた土地です。安芸城主・安芸国虎が長曽我部氏に討たれて安芸氏は滅びます。その後山内一豊が初代土佐藩主となり、吉兵衛の弟五藤為重が安芸を治めるようになりました。

野良時計 |
■まず最初に訪れたのは安芸市土居。のどかな田園地帯に、屋根の上の櫓に懸かる時計が見えてきました。安芸市のシンボルとなっている『野良時計』です。明治20年に、地主の畠中源馬氏によって作られました。時計に強い興味を持った同氏は、独学で時計の仕組みを覚え、全てを手作りしてこの時計を作り上げたそうです。時計は正面と両横の3面に付けられてあり、農作業をする人たちが遠くからでも時間を確かめることができたと想像ができます。 前面道路もビオトープのような小川も駐車場も、野良時計の周辺はたいへんきれいに整備されています。野良時計の向かいにある消防分団屯所と火の見櫓は周辺の景観に配慮した建物で、遠い昔を思い出させるような造りになっていました。

土用竹の生垣 |

野村隆男家住宅入口 |
■小径を通って目指す土居廊中(どいかちゅう)へと向かいます。土居廊中は五藤氏が安芸城を居城にした後、城を取り囲むように家臣の屋敷を配置したもので、5代当主の時代に整備されました。市役所でもらったパンフレットの案内に従って、見学をしていきました。
道の両側にある細い竹の生け垣は、武士にのみ許されていたそうで、今も手入れがよく行き届いています。土居廊中はそこに人が住んでいるので、車庫には車が入っていたりするのですが少しも違和感なく、そこの景色にとけ込んでいます。どうしてなのだろうと思うほど、廊中の中は静かです。物音1つ聞こえてきませんでした。
野村隆男家住宅のみ一般公開されているので、中を見学させてもらいました。昔の武家屋敷の形を残しながら、ほんの数十年前まで生活の場として使われていた様子が伺われます。立ち回りができないように狭くした玄関や、来訪者を確かめるのに家臣が身を隠すための武者隠しの壁などを見ると、質実剛健な武家の暮らしぶりが目に浮かぶようです。

安芸城跡の堀 |
■五藤家安芸屋敷は、南面に掘のある安芸城跡にありました。松の大木が堀の上を覆い、水面には睡蓮の花が涼しそうに咲いています。小規模ながら歴史の重みをしっかりと感じさせる佇まいです。城跡には他に、歴史民俗資料館、書道美術館、吉兵衛を祀った藤崎神社がありました。

安芸市歴史民俗資料館 |
歴史民俗資料館では、特別展示『五藤家出世物語』が行われていました。『功名が辻』の放映で、ここを訪れる人は例年の1・5倍に増えているとのこと。ドラマの中では吉兵衛は山内一豊を支える守り役として描かれていましたが、実際の吉兵衛は一豊よりも8歳年下で、31歳で戦死したそうです。会場の入り口正面には五藤家家宝の鏃(やじり)が塗りの箱とともに展示されていました。

山内一豊の顔から抜いたと伝えられる鏃 |

当時の工芸品「蒔絵船形弁当」 |
主君一豊の顔に刺さった矢を、吉兵衛が引き抜いた時の鏃です。敵将と遭遇した一豊は、敵が放った矢に顔を射抜かれながらも敵将を倒しますが、矢がなかなか抜けません。吉兵衛がわらじ履きのまま主君の顔を踏みつけて、矢を抜いたと伝えられています。その時のわらじも展示されていましたが、意外に小さく感じられました。当時のものかどうかは定かではないとのことですが、いずれにしても長い年月を経たものであるには違いありません。

展示室の様子 |
正面に五藤家の幕が張られていました。中央に主家・山内家の紋を配し、左右に自家の紋を配しています。五藤家の紋は、『上り藤内一文字』と呼ばれるもので、『一』の字は一豊の一の字をもらったそうです。展示物を見ていると、主君に仕える家臣の心意気が伝わってきます。

書道美術館 |
書道美術館は、全国初の公立の書道専門の美術館です。残念ながら訪れた日は休館日でした。安芸市は藩政時代より書道が盛んなところで、著名な書家を多数輩出している土地柄です。市内の公園などで、数々の書碑を見ることができます。

廊中ふるさと交流館 |
安芸城趾を出て、近くの廊中ふるさと館で昼食タイムをとりました。お昼を少し過ぎた時間であるのに、次から次へと人が入ります。人気の秘密は何だろうと思っていると、運ばれてきたお弁当の上に小花が添えてありました。ちょっとした心遣いがいいですね。安芸市のナスは全国1の生産量を誇るそうで、ナスの1品もおいしくいただきました。

手前がナスのアイスクリーム
奥はキウイのシャーベット |
駐車場には『しゃーべっと茶屋』があり、地元特産のとれたて野菜や果物のアイスクリームが自慢です。ナスのアイスクリームは、後味がナスだな、と感じました。コーンに少し甘味があるので、ゆずやキウィーのシャーベットも酸っぱさが気にならないと思います。

景色と一体化した土居小学校の塀 |
小学校の塀もなまこ壁風です。土佐特有の水切り屋根をつけた家屋もたくさん見られます。古いものを大切に守っているまちでした。
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