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2007年2月号掲載

『歩いてみよや!島四国』ルポ  〜大島・島四国(旧吉海町・旧宮窪町)
 『へんろ市の縁日』と呼ばれる旧暦3月19日から21日(今年は5月5日〜7日)にかけて、今治市大島は多くのお遍路さんで賑わいます。島四国霊場は、今年開創200年。四国霊場(本四国)に対し『島四国』と呼ばれているもので、大島島内の88カ所の霊場を2泊3日で巡ります。平成14年秋から実施されている『歩いてみよや!島四国』(主催:島四国心のふるさと会=会長矢野都林さん)は、多くの人に大島歩きへんろの良さを体験してもらいたいと願って、大島の有志の人たちが企画しているものです。1月28日(日曜日)、今年第1回目の『歩いてみよや―』に参加してきました。今回は1番から11番までを巡る約11qの歩きへんろです。

 来島大橋を渡り、大島南ICで下りてR317号線を走り、集合場所の今治市吉海支所へと向かいます。雨が懸念されていたため前々日に電話で問い合わせをしたところ、同会事務局の福蔵寺住職さんは「予報では降水確率が高くても、今まで一度も雨が降ったことがないんですよ」とのこと。その言葉通り、良いお天気に恵まれた格好のドライブ日よりとなりました。集合は9時。受付はすでに大勢の人だかりで、思いのほか参加者が多いので驚きました。納経帳の記帳の手続きをしている人たちもいます。


バスに乗って出発点へ

 広場を見渡すと、参加者は女性が圧倒的に多く、服装も様々です。本格的なへんろ装束を身に付けた人もいれば、街着の格好の人もいれば、トレーニングウエアの人もいます。「服装も自由。『こうあるべきだ』というのを押しつけない。大島に来て良かったと思ってもらえればいい」と会長さん。今回の参加者は284名で、その内新規参加は62名です。今治市内、近隣の島しょ部、遠くは福山や八幡浜からの参加者もいます。HP以外何の広報もせず、口コミだけでこれだけの人が集まっているのだそうです。


高台からの眺めは最高



 1番札所『正覚庵』までは約15分のバスの旅です。3台のバスでピストン輸送で送り届けてくれました。5分も走れば、車窓から海が見えてきました。車内は温かな陽射しが降り注ぎ、右手に山の緑、左手に海の景色を眺めながら、バスは山を登っていきます。バスが揺れるたびに、『チリン』『チリン』と鈴の音が車内に響き、お遍路さん気分が高まります。緩やかに下りた所に庵が見えてきました。海辺に立つ庵の向かいは大三島です。
 2番は『海岸堂』。小高い丘の上にある小さなお堂です。島四国88カ所の中で一番小さいお堂だと聞きました。細い山道をさらに上って3番『自光庵』へ。ここからの眺めの素晴らしいこと!目の前にはみかん畑が広がり、ずっと向こうには、大三島と伯方島、そして島と島とを結ぶ大三島橋が素晴らしい景色を織りなしていました。


どこのお堂にも用意されたちょっとした心遣い

温かい甘酒のお接待

 4番までは2・5qの長丁場。山道を下りて広い県道に出て、海の景色も堪能しながらの歩きです。へんろ道の標識に従って県道を離れ、指さす方向を目指して歩きます。一歩一歩踏みしめながら、細い山道を上っていきました。まだ真新しい4番『無量寿庵』は、右手に弘法大師像が立ち、左手には立派な御手洗までありました。番外のお堂にも立ち寄り、桜の木が立ち並ぶ池のほとりを歩いて5番へと向かいます。花の季節はさぞかし美しい景色でしょう。5番『寿気庵』と近くの番外を巡り、甘酒のお接待にあずかって一休みです。堂守さんや有志の方々のご厚意をありがたく頂きました。

 ここから6番まではまたまた2・5qの道のりです。石材会社の工場や石材置き場などを眺めながら、ひたすら大島・伯方大橋の橋脚を目指して歩きますが、かなり足取りは重くなっていました。そこへスタッフの車が…。トイレの案内をしたり、遅れ気味の参加者をサポートしたりと、スタッフは大忙しです。「乗っていきますか?」とスタッフ。渡りに船とばかりに、6番まで残り1qほどを乗せてもらうことにしました。6番『医王庵』7番『付属庵』と訪ね歩く内に、徐々に旧宮窪町の家並みに近づいてきました。さらに民家の間を縫うように8番『海南寺』へと向かいました。


8番札所『海南寺』

昼食と一緒に。豚汁のお接待

のぼりの字の作者・田窪さん

心のふるさと会発行のマップには
スタッフがひそかに登場。
イラストを描いた横本さんを見つけました。



 海南寺でお昼の休憩です。参加者らは、思い思いに本堂や庫裏や境内で昼食をとりました。本堂内で食事をしている時に、『島四国開創二百年』ののぼりの字の作者として紹介してもらったのが田窪さん。何とさっき車に乗せてもらったスタッフではありませんか!「またまた縁がありましたねぇ」。振る舞われた温かな豚汁に舌鼓を打ちつつ、楽しい会話が弾みました。イラスト担当の横本さんも、スタッフとして御世話に奔走されていました。





9番札所『大聖庵』への階段



まち中のお堂『潮音堂』

『大聖庵』のお不動さん

 たっぷりと休憩をとった後、この日最大の難所9番『大聖庵』へと向かいます。落ち葉の降り積もったへんろ道を歩き、高速道路の下のトンネルをくぐりさらに山道を歩きます。最後は135段の狭い石段です。順番を待ちながら一段一段上っていきました。庵の横の大きな岩には不動明王が刻まれています。岩と岩との間の隙間の奥にもお不動さんが祀られているとのことで、この狭い隙間に果たして入れるか…。ちゃんと中に入って、お詣りをしてきました。 


 山を下りてR317号を横切り、10番『證明寺』へ。能島村上水軍菩提寺跡に建てられたもので、その寺の名前を引き継いだお堂です。堂の前には水軍の本拠地『能島』が見えます。次は、この日最後の札所11番『潮音堂』。宮窪港近くの民間に挟まれた場所にお堂が立っていました。正に日常の生活空間の中にあるまち中のお堂でした。


心のふるさと会会長の矢野都林さんと
事務局の河野之伴さん

 しまなみ海道開通以来、今では約9割の人が車で巡るようになり、3日目にはお遍路さんの姿がないとさえ言われる島四国。「歩いてみよや!」では、景色を見ながら風や光を感じながらお詣りして、ところどころでお接待を受けて島の人と触れ合う島四国本来の形が体験できます。今年は6回に分けて実施されます。
 「この島に生まれてここに残っているのは、選ばれたからだと思っているんですよ。だからこの島の伝統文化を守らんといかんのですよ。守って伝える。気持ちをつなぐ。子どもに伝える。今までずっとつないできている訳だから、250年祭に伝えんといかん」

人にやさしく  自然にやさしい
 
  大島の空と海 光と風   お接待・善根宿・・

 心のふるさととの  出逢いがきっとある

     歩いてみよや しまへんろ
    (会長さんの名刺より)
発見!島四国 

【お賽銭】
 お賽銭用の小袋を手に持った人が多くいました。巡拝の時には、前もって用意をしておくものなのですね。お財布から出しているのは、初心者とみて間違いなさそうです。


1番札所『正覚庵』


【堂守さん】
 堂守さんが「よう、おいでなさいました」と声を掛けてくれたり、お菓子などを用意してお接待をしてくれました。高齢化が進み、堂守さんが少なくなっているそうです。「私は何番の札所、僕は何番というように受け持って、年に1回でも3年に1回でもいいからやってきて、お堂の草一本引いてもそれがお堂を守ったことになります。そしてバラ公園などで遊んで帰ってくれたらいいんですよ。そう言う意味での堂守さんができれば良いと思っているんですよ」(矢野会長)。お堂のアダプト・プログラムというところでしょうか。

【おばあちゃん】
 手押し車に腰を掛けたおばあちゃんに出会いました。「4番さん、5番さん、お願いします」と声を掛けています。「頑張って歩いて、この先にある4番と5番の札所に行きなさいね」ということなのでしょう。「こんにちは」と挨拶して、会長さんに続いて握手をさせてもらいました。「温かいこと!心が温かいねぇ」と喜んで下さる言葉に、こちらまですっかり心がほこほこしてきました。長い道のりも忘れさせてもらったひとときでした。


島四国心のふるさと会の会員証

【会員証】
 前を行く幾人かの人のリュックや杖に、かわいい丸い木の札が吊り下げられていました。みかんの木でできた『ふるさと会』の会員証で、何種類かの絵柄があるそうです。

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