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★本紙に掲載できなかった写真集
2007年5月号掲載

石鎚への道 〜県道12号を行く〜  〜西条市 加茂川沿線
取材写真集
 西条市内の国道11号線を走ると、加茂川橋にさしかかります。加茂川左岸に沿って南に続く道は高知につながる国道194号線です。R194を数分ほど走って、中野大橋で県道12号(西条久万線)へ。この県道は、西日本最高峰・石鎚山登山口へと続きます。霊峰石鎚は人々の厚い信仰を集めている『お山』です。今回は、石鎚登山ロープウェイ乗り場まで県道12号を走ります。

加茂川に沿って黒瀬ダムへ
 最初の目的地・黒瀬ダム目指して、車の通りもまばらになった県道をぐんぐん上って行きました。加茂川橋からダムまでは約20分。あちらからこちらから、ウグイスの鳴き声がのどかに聞こえてきます。きらきら光る湖面には、かもが泳いでいるのが見えました。管理事務所を訪れると、ほんの数分前に起こった地震の報告で、職員さんたちが慌ただしく動いていました。掲示板には震度3の文字が…。仕事の一端を知ることができました。


黒瀬ダム

 黒瀬ダムは、愛媛県が昭和41年度から7年の歳月をかけて造ったもので、堤高61・7m、堤頂長207・7m、堤頂幅5m、有効総貯水容量は3600万トンで東京ドーム28杯分にもなります。愛媛県内では、富郷ダムに続く大きなダムです。黒瀬ダムは多目的ダムで、加茂川の洪水調節、干ばつ時の農業用水の補給、西条市及びその周辺工業地帯への水の供給、発電を行っています。赤いゲートと、スキージャンプ式減勢工が特徴です。スキーのジャンプ台のような少し上向きになった構造が、ゲートから流れ出た水の勢いを弱める働きをしているのだそうです。


黒瀬ダム1号公園

 現在の水位は約43%で、例年より低め。普段は湖底に沈んでいる段々畑が見えているということで、堤頂を渡ってダム湖右岸にある公園を巡ることにしました。1号公園、2号公園ともに、日常の手入れが行き届いた公園だと印象を受けました。段々畑には一面にれんげ草が咲いていました。桜の木が多く、お花見に訪れる人も多いそうです。またこれからの季節は、あじさいの花が楽しめそうです。ダム湖の右岸道路は、平成16年の台風時には相当のダメージを受けたようで、そこかしこに改修工事終了の標識が立っていました。


極楽寺本堂に向かう階段


石段に先人のご苦労を想いつつ
 柳瀬橋を渡ると、ダム湖左岸を走る県道12号線に合流します。加茂川上流をさらに車で走るとやがて道路右手の山肌に、貼り付くように建てられた大きな白い建物が見えてきました。これは極楽寺の宿坊で、石鎚山参拝や四国霊場巡りの宿となっている建物です。ちょうど大型バスでお遍路さんの一行がやってきました。お遍路さんたちはさっそく記帳所に向かいます。私たちは、宿坊右横の階段を上って本堂へ向かうことにしました。
 頭上はるか遠くに、山門らしき建物が見えています。階段はほぼ一直線。中央の手すりを持ち、階段の数を数えながら一歩一歩踏みしめて上がって行きました。後から犬がやってきて、先導をしてくれました。軽い足取りでさっさと前を上っていきます。勾配の急な330段もの階段は、人間には大変です。息を切らしながら、やっと本堂にたどり着きました。


東宮神社

 本堂前の南北に伸びる細い道は、石鎚山の修験者やお遍路さんが通っていた道であったと、庭仕事に来ていた人が教えてくれました。その道をたどって今度は東宮神社へと向かいます。小さな鳥居から200段近い階段を上った所に社がありました。こじんまりとしていますがなかなか立派なお社でした。


茶室『三帰庵』

 山には十三仏を祀っている小径があって、下りはそちらを通ることにしました。見事な枝振りの梅林があり、花の季節はさぞかし美しかっただろうと想像されます。かなり下った所に、『三帰庵』と名付けられた茶室がありました。つくばいには水琴窟が設えられてあり、涼しげな音が聞こえてきました。散り始めた八重桜の花びらが道をピンクに染め、周りの緑との対比が美しい景色を作り出していました。趣のある風情の下りルートでした。


石鎚ふれあいの里
大元神社


昔の学校を生かしたスポット
 さらに県道を先に進むと、右岸に『石鎚ふれあいの里』が見えてきました。赤いアーチの千野々橋を通って対岸へと渡ります。橋のたもとにあるのが『大元神社』。立派な社叢に囲まれた社は、かなりな風格です。神社横の道を川沿いに車を走らせていると、右手に高々とそびえる石垣がありました。脇道に入って行くと、そこが大保木(おおふき)中学校跡であることが判りました。現在では西条市役所大保木支所となっています。それにしても見事な石垣でした。


大保木中学校跡の石垣

高嶺小学校跡

川沿いの道に戻って東に進んで『石鎚ふれあいの里』に着きました。バーベキューコーナーの椅子に腰掛けて、小休止。ふと目を遣ると『高嶺小学校跡』の碑が立っていました。校舎を利用した宿泊棟やケビンがあり、校庭はキャンプ場として使われています。冷たい川の水と静かな森が楽しめる夏場のスポットです。




旅の終わりに
 県道に戻ってさらに西進するとちょっと面白いトンネルが…。三碧橋を渡って左折するとますます山が深くなってきました。石鎚登山ロープウェイ乗り場はすぐそこです。ロープウェイ乗り場で車を降りて辺りの景色を眺めていると、近くのお店の人が声を掛けてくれました。ここで引き返すつもりであることを告げると、「ぜひともこれだけは見て帰りなさい」と教えてもらったのが『大宮橋』


大宮橋


昭和2年に建造された橋で、アーチや細部のデザインが美しく優れているということで、2005年度土木学会選奨土木遺産として認定されています。この山深い地でどうしてこれほどまでのものが、と少々驚きました。橋の先には西条少年自然の家(高宮小学校跡)があります。橋のたもとの大宮神社を見学して帰路に就きました。新緑の山々の美しさと、自然の厳しさを垣間見る県道12号の旅でした。


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