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2007年8月号掲載

One Day Trip in 玉川   今治市・旧玉川町のみどころ
取材写真集
 国道196号線を走り、今治市中心部の片山交差点で西に曲がると、国道317号線へと続きます。国道317号線は、蒼社川(そうじゃがわ)に沿って延びている道です。しばらく走ると、やがて旧玉川町へと入って行きました。一昨年の合併で今治市となった同町は、温泉と豊かな自然に恵まれた地です。今回は厳しい暑さをしばし忘れようと、涼を求めて旧玉川町を散策してきました。


玉川近代美術館 館内

 ▼片山交差点から約7分、国道沿い左手に看板が見えてきました。『玉川近代美術館』です。Aコープたまがわ店の駐車場を横切る感じで、美術館へ。同館ではちょうど、『野間仁根の愛した海・海』展(7/24〜9/23)が行われていました。野間仁根(のまひとね)は、今治市吉海町出身の洋画家。橋が架かる以前の瀬戸内の海と、外房の海の風景などが展示されています。同展のポスターにも使われている『瀬戸内海 釣船』を初め、明るい色彩で描かれた作品の前に立つと、なぜか心が和み楽しくなります。
 『玉川近代美術館』は、旧玉川町出身の実業家・徳生忠常氏の寄贈により創設されたもので、美術品の収集費用や建設費用さらに運営費用など全てを同氏が提供して、1986年にオープンしました。近代洋画史を彩る国内外の著名画家の作品を所蔵する他、郷土出身画家の作品も多数揃えられています。所蔵絵画や彫刻の常設展示は、年間に4回ほど作品の入れ替えを行うそうで、どのような展示になるかは学芸員さんの腕の見せ所。ぶらりと立ち寄った時に、思いがけない作家や作品との出会いが期待できます。


せせらぎ交流館下の遊歩道

 ▼次に向かうのは、国道317号線を進み県道へと進路を取った先にある鈍川(にぶかわ)です。鈍川は今治藩の湯治場として栄えた温泉郷で、湯はアルカリ性単純泉。肌触りの良いなめらかな湯は、美肌効果抜群で『美人の湯』と言われています。公営の温泉施設『鈍川せせらぎ交流館』を訪れました。人々の交流と健康増進を目的につくられた同温泉は、ジャグジー風呂や露天風呂などいろいろな風呂が揃っており、中学生以上の大人料金が400円という手軽さが大人気です。この日もウィークデーながら、ひっきりなしに人が訪れていました。
 『―交流館』の下には木地川が流れており、上段、中段、下段と遊歩道が付いていて、川面まで降りていくことができます。対岸にも遊歩道が見えています。深い木立の緑と名前が示す通りの川のせせらぎの音が、目にも耳にも涼しさを運んで来てくれました。


温泉スタンド 観音湯

 さらに先に進むと『温泉スタンド 観音湯』がありました。温泉のガソリンスタンド版だと思えば良い訳です。ガソリンスタンドで見掛ける給油ノズルと同じような形のノズルが並んでいました。湯の温度は22度前後で、料金は100リットル100円。軽四トラックに黄色い大型ポリタンクを積んで温泉を買いにやって来ていました。


鈍川温泉街

 ▼妙に懐かしさを感じさせる温泉郷入り口のアーチをくぐり、温泉街の間を抜けてさらに川の上流へと向かいます。道路よりはるか下を木地川が流れています。鈍川渓谷と呼ばれるこの道筋は、川の流れと岩肌、桜やシャクナゲ、新緑や紅葉など、四季折々の風景を楽しむことができます。しばらく車を走らせると、道路左手の緑濃い木々の頭越しに、明るい緑色をしたとんがり屋根が見えてきました。次の目的地『森林館』です。温泉郷から川の上流にかけてのこの辺り一帯は『ふれあいの森』として整備されています。『森林館』はその一角に建っているのです。


森林館のウッドデッキ

 山村での生活用具や山の動物の剥製などが展示されている同館は、金、土、日曜日にしか開館していませんが、併設の屋根付きの高床式になっているデッキには、木製のずっしりとしたベンチが30も並んでいて、居心地の良い空間を作っています。谷の水の流れを渡って吹き上げてくる川風が、気持ちの良い涼しさを届けてくれます。


川遊びを楽しむ子ども達

 少し辺りを歩いてみました。周辺の山は、水源の森として植林が行われ手入れがされています。川は道路よりかなり下を流れていて、川遊びに来ている子どもたちの歓声が下から聞こえてきます。木立の切れ間から、ちょっと冷たい川の水と楽しく遊ぶ大人や子どもたちの姿が見えました。流れの速い所へ恐々ながらざぶんと飛び込む子ども。ほとんど流れのない所でカラフルな浮き輪につかまって水に浮かんでいる小さな子ども。森に囲まれた渓流で、大人も子どもも真夏の一時を楽しんでいました。


玉川ダム ダムサイト

 ▼再び国道に戻って、玉川ダム湖畔へと向かいます。1970年に竣工した玉川ダムは、貯水率99・5%でほぼ満水の状態です(8月10日現在)。ダム湖である玉川湖は、愛媛におけるボート競技のメッカとも言うべき所。大学や高校の艇庫があり、映画のロケ地にもなりました。ダム湖周辺は公園やキャンプ地として整備されていて、春には花見を楽しむことができます。


はったい粉アイス

 ▼ふるさとの市・『玉川湖畔の里』をのぞいてみました。地域特産の野菜や果物や花が並んでいて、手作りのよもぎ餅やおはぎもあります。竹炭や竹酢液もありました。その中で見付けたのが『はったい粉アイス』。珍しいので、試しに最中を食べてみました。甘さ控えめでなかなか良い味です。どうしてはったい粉なのか尋ねてみましたが、ここでは十分に判りませんでした。
 帰りに美術館の入り口にあるJAの店に立ち寄ってみました。ここには『シャーベットハウス』があって、メニューにはったい粉アイスがあります。尋ねてみると、ここで作られているとのこと。玉川でとれた麦の粉をアイスクリーム用に特別に挽いたものが使われています。『―ハウス』を担当する従業員さんの発案によるものだそうです。コーンに入れてもらったはったい粉アイスは、最中に入ったのとはまたひと味違った食感で、はったい粉の香ばしさと舌触りが一段と引き出されていました。


玉川の田園風景

 旧玉川町は、緩やかな勾配の地形に沿ってみずみずしい稲の緑が続いています。317号線を西に向かって上って行く時も、下って帰って来る時も、空も山も田も川も、どこを切り取っても美しい風景だと感じました。



仙遊寺から今治市内を臨む

仙遊寺 本堂

 旧玉川町には四国八十八カ所のお寺の内、五十七番札所と五十八番札所の二カ寺があります。317号線からそれて南に上がる道をたどり、五十八番札所仙遊寺を訪ねました。車で向かっていると、白装束に身を固めた歩き遍路の人たちが、一人、また一人と、山道を歩いていました。
 車とはいえ、山道の勾配はだんだんきつくなってきます。道なりにぐんぐんと登っていくと、お寺の敷地に入ったのか石仏や石碑が見られるようになりました。もう少し走ると左手に大きな山門があり、その奥に石段の参道が続いている様子でした。(こちらは車なので…)
 勾配はますますきつくなり、ギヤをローにしてやっと登っている状態です。ちょっと開けた場所があったので、車を停めて降りてみることにしました。眼下には今治のまちが広がり、遠くには瀬戸内の島々や来島大橋が見えています。思いがけず素晴らしいビューポイントに巡り会いました。仙遊寺はすぐそこです。

 車で上がると、ちょうど本堂の裏手に出てきました。二層の屋根を持つ本堂は、なかなか立派です。次の日が四万六千日大法要の日とあって、境内のあちらこちらで人々が準備に余念がない様子でした。境内には宿坊があり温泉も引かれているそうで、眺望の良い場所に足湯のコーナーもあります。歩いてやってきたお遍路さんには、何よりのおもてなしになることでしょう。 
 仙遊寺は、標高約300メートルの作礼山の山上にあります。

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