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2008年8月号掲載

【特集】全国育樹祭に寄せて 〜第3回〜

 今年10月25・26日に、第32回全国育樹祭が愛媛で開催されます。25日は『久谷ふれあい林』(=松山市久谷町大久保)にて、昭和41年の全国植樹祭で昭和天皇・香淳皇后がお手植えされたスギの木を皇族殿下がお手入れ、26日には愛媛県武道館で式典が挙行されます。その他にも、多数の関連行事が県内各地で開催されることとなっています(詳しくは同ホームページ参照)。

 特集第3回目の今回は、越智今治地域の『地産地消の家づくり』の取り組みを紹介します。今治市は、10月26・27日に行われる育樹祭記念行事「森林・林業・環境機械展示実演会」の会場です。このイベントでは、『地産地消の家づくり』についても大きく取り上げられることになっています。
地産地消の家づくり  〜越智今治地域での取り組み〜

 『越智今治地域「地産地消の家づくり」推進協議会』では、安心・安全で快適な木造の家づくりをサポートするために、昨年より『家づくり 得 セミナー』を開催しています。同セミナーは、JAおちいまばりの『さいさいきて屋』(=今治市中寺)研修室を会場に、毎月第3土曜日の午前中に行われているもので、今年度は、5月から12月までの8回の開催が予定されています。
 今回は、木材の生産現場と消費現場をつなぐ試みとして注目されている「地産地消の家づくり」への取り組みを取材してきました。


今治支局森林林業課
課長  織田 博さん

 越智今治地域「地産地消の家づくり」推進協議会が立ち上がったのは、昨年の4月に県今治地方局(当時)森林林業課に織田課長が赴任して来てからのこと。林業畑をずっと歩んで来られた同課長は、生産しても儲けにならない林業の現状を打破すべく、今治に赴任するや、地元の製材業、工務店、建築家など、住宅産業関連の方々のもとを訪れ、地産地消の家づくりこそが地域の林業を活性化させるものとなる、消費者にそのことを解ってもらう必要がある、との熱い思いを伝えることから始めました。織田課長は、「山の木を、正当に評価してもらいたい。山の人たちだけでは(その働きかけが)できませんから、解ってくれる人、仲間になってくれる人をつくろうと思ったんです」と同推進協議会の発端を語ってくれました。



建築士 大野順作さん


 最初の賛同者となったのは、県建築士会今治支部支部長の大野さん(大野順作建築研究所代表=今治市小泉)。大野さん自身も、家をつくるのであればなるべく建物敷地に近い場所で取れた木材を使いたいという思いを以前から持っていた建築家です。現に織田課長と出会った時にも、県産材を使った木造住宅の工事中であったそうです。「私も木造が好きで、山のために何かしたいと思っていましたので、この活動にすぐ賛同しました」と大野さんは言います。同推進協議会は、地元森林組合長が会長、建築士会支部長が副会長となり、農協、製材業の人たちがメンバーとなって、立ち上がることになりました。





分かりやすくまとめられた
県の優遇制度とセミナーのチラシ

 県には木材需要拡大のための優遇制度があっても、それを知らない人が多いのが現状です。同推進協議会では知ってもらう方法として、チラシをつくることにしました。とかく堅くなりがちな公的制度のお知らせを、見た目にも馴染みやすい内容と色遣いで作成。表はインパクトのある表現で制度を端的に示し、詳細は裏面に記載。そのチラシを一般消費者が多く出入りするところに置くことにしました。


【左】「さいさいきて屋」入口に置かれた木製パネルとのぼり

 設置場所は、去年5月にオープンした『さいさいきて屋』。『さいさいきて屋』は、1日に3000人もの人が訪れると言われる人気の直売所です。出入り口に県職員手作りの木製パネルを設置し、大型ポスターとチラシで、買い物客らに県産材の木造住宅の利点をアピールしています。パネル横の緑ののぼり旗も一役買っています。






セミナーのもよう

 優遇制度のチラシと共に並べてあるのが、同直売所研修室で行われている『家づくり 得 セミナー』のお知らせです。家づくりに関して必要な知識を習得する他、地産地消の家づくりとはどのようなものなのか、木造の家の長所はどのような所にあるのかを、一般消費者に知ってもらう機会にしようと開設されたのが同セミナー。同セミナーでは、一流の建築家や不動産の専門家、税理士さんなどが講義を行います。毎回、一般参加者や工務店関係者など40数名が参加しています。

 6月のセミナーでは大野さんが講師となり、木造住宅の魅力について講演を行いました。「木造の家に住んだ人は、非常に快適だと思っている人がほとんどです。大工さんにしても工務店にしても、地元の木を使って木造の家を建てたいという欲求があっても、お客さんからの要望がなければそれはできない。木造の家の良さを解って、『木造の家が欲しい』と発信してくれるユーザーをつくることが大事。せっかく木造で建てても、壁や天井で木を隠してしまって、木が見えない家が意外と多いんですよ。木の良さが解る家造りが、私たち造る側の使命なんですね」と大野さん。


第3回セミナー「間伐・木材市場現地見学」より 伐採現場の見学

製材所を見学

 7月のセミナーでは、家をつくる木材の故郷見学ということで、玉川ダム上流の伐採現場や、木材市場と製材所の見学が行われました。参加者の多くが、木が切り倒される現場を初めて見て、木材市場で木が売られて製材所で材木になる工程を初めて知ります。座学だけでなく、直接その現場に足を運んで目で見て実感してもらうことで、山や木に対する消費者の理解がさらに深まります。「セミナーは、いろいろなテーマで行われます。全課程に参加してもらって、商業主義に踊らされない賢い消費者になってもらえれば」と織田課長。



『地産地消の家づくり』の幕が
かけられた建築中の木造家屋

 昨年度から引き続き今年もセミナーに参加している人もあり、昨年度はセミナー受講者の内3名が、『地産地消の家づくり』に共鳴して、実際に家を建てることになったそうです。同協議会では、「地産地消の家づくり建築士・大工・工務店等一覧」を作成しており、施主の職人探しに役立ててもらっています。また今年度中にはホームページを立ち上げ、より広くそれらの情報を発信できるようにするとのことです。協力工務店等で地産地消の家づくりが行われる際には、同推進協議会の緑のテントが張られることになっています。

 今年度は同セミナー受講者の中から、10棟あまりが建設されるのではないかと期待されています。同推進協議会では、県産材で家を建てることが地域の山への最大の貢献であることを消費者に訴えながら、地産地消の家づくりの普及を進めています。


【越智今治地区『地産地消の家づくり』推進協議会事務局】(越智今治森林組合内)
今治市玉川町法界寺甲114−1
電話:
0898-55-2001

 セミナーでは、一般の消費者に、林業の実態から説明をしています。県産材で家を建てることの良さや、値段なども説明したり、大手ハウスメーカーに引けを取らないお洒落な家づくりが木でできることを知ってもらっています。【詳細は記事下に記載】


▼木造の家は高くはありませんか?
 建築費に占める材木代金の割合は、15%から18%。2000万円の家なら、300万円から360万円です。システムキッチンやお風呂の値段を考えると、木がいかに安いかが解ります。材木が高いから、建築費が高いという訳ではありません。

▼木造の家の良さは?
 手入れができる良さが木造なんですよ。木造ならば、傷んだところの木を入れ替えたりしながら、柔軟に対応ができます。法隆寺も、手入れをしているから千年を経ても保たれています。手入れをしなければ、あのようには持ちません。良いからこそ、木造の文化が千年以上も続いているのであって、悪ければ途中で他のものに変わっていたはず。
 スギがいちばんよく湿気を吸うのですが、柱1本で約500CC、つまりペットボトル1本分ほどの水分を吸ってくれます。柱や梁や天井板など、木造の家一軒分に使われる木材をすべて柱に換算すると約400〜600本となりますから、ペットボトル約500本分の湿気を吸ってくれることになります。それだけの働きを木がしてくれる訳です。

 木造の家は、湿度調整をいとも簡単にしてくれます。木材の他、畳、けいそう土、しっくいなど、自然素材のものが湿気を吸ったり吐いたりしてくれています。ですから木造の家は、じめじめと湿気の多い日本の気候に最も合っています。それしか無かったのではなく、最も良かったから今に続いているんですよ。

▼地元産の木を使って家を建てるメリットは?
 家を建てる場所と同じ環境で育った木が、そこの気候にいちばん馴染んでいます。梅雨を経験していない木を、湿気の多い日本へ持ってきても、日本の気候には合いません。国産材を使うにしても、遠くの産地から運んでくれば、それだけ輸送コストがかかります。身近な場所で育った木を、地元で使えば運賃も多くはかかりません。
 資源の乏しい国でありながら、100%以上供給できるのが木材です。県土の71%が森林である愛媛県は、製材品の出荷量が全国第4位。国産の材木は外材よりも安く、しかも大量にあります。『地産地消』で建てる方が、安くて暮らしやすい家、住み心地が良くて無理がない家ができます。造っている現場を見てもらったら、従来の家の建て方がいかに良いのか、すぐに解ってもらえます。



毎月第3土曜日 午前10時〜12時開催
場所:さいさいきて屋(今治市中寺)研修室ほか
受講料:無料
第1回(5/17) 家づくりここがポイント
第2回(6/21) 木造住宅の魅力
第3回(7/19) 間伐・木材市場現地見学等
第4回(8/16) 快適な住まいの考え方
第5回(9/20) 家づくりの税金等基礎知識
第6回(10/18) 建築家と考える家づくり
第7回(11/15) 住宅見学会
第8回(12/20) 後悔しない家づくり
【申し込み先】越智今治地域「地産地消の家づくり」推進協議会事務局
          申し込みは、電話またはファクスで。
          ◎電話:0898-55-2001  ◎ファクス:0898-55-2901

『森のめぐみ 木のものがたり展』 
 愛媛県立博物館、愛媛県総合科学博物館、愛媛県歴史文化博物館の施設と収蔵する資料を活用し、森林の自然と歴史をテーマに巡回展が行われます。
 【展示内容】
木を知ろう森を知ろう 樹齢約250年の魚梁瀬杉と樹齢約400年のクロマツの年輪標本、四十島(ターナー島)に生育していたマツの年輪標本、ブナやコナラなどの身近な樹木の標本を展示し、解説する。
森に生息する
貴重な鳥類とほ乳類
特別天然記念物や天然記念物に指定されているライチョウ、イヌワシなどの鳥類や、ニホンカワウソ、ヤマネなどのほ乳類の標本を展示し、解説する。
木で遊ぼう 木のジグソーパズル、木の迷路、木の魚釣りなど、気軽に触れて遊ぶことのできる木製の玩具を展示。
森と人とのものがたり 高度成長期以前の山間部や林業に生きた人々の暮らしの写真を展示し、解説する。
 【開催場所と期間】
県立博物館 平成20年8月30日(土)〜9月23日(火)
歴史文化博物館 平成20年10月4日(土)〜12月7日(日)
総合科学博物館 平成20年12月20日(土)〜平成21年1月30日(金)
 【記念イベント:野外博物館講座】 初秋の面河渓谷の自然観察:9月14日(日)9時〜18時
《問い合わせ:教育委員会生涯学習課=電話089・912・2931》
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