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2009年1月号掲載

行ってみよう!「かはく」 〜愛媛県総合科学博物館(新居浜市大生院)〜

 愛媛県総合科学博物館(=新居浜市大生院)では、昨年12月下旬より今年1月30日まで、『森のめぐみ 木のものがたり展』が開催されています。この企画展は、第32回全国育樹祭の記念事業の一環として、愛媛県総合科学博物館、愛媛県歴史文化博物館、愛媛県立博物館の3館の連携で行われているもので、森林の自然と歴史をテーマとした巡回展となっています。
 また愛媛県総合科学博物館は、来年度より統合される愛媛県立博物館(=松山市堀之内/1月4日から移転作業のために休館)からの、およそ20万点におよぶ標本など資料類が収蔵されることになり、より充実した展示が期待されています。同館学芸員・川又さんが案内をしてくれました。

 愛媛県総合科学博物館(以下=同館)の駐車場から同館の入り口までは、高速道路上に架けられた橋を渡って行きます。少し小高い位置にあるエントランスホール棟は円錐形。円錐の形に沿っているので、入り口ドアも傾斜しています。斜めに傾いたドアが開くだけで、ちょっと別な世界に入って行くような気持ちになるから不思議です。館内に入って上を見上げると、鉄骨が織りなす美しい幾何学模様が見られます。同エントランスホールには、下り専用のらせんスロープが取り付けられており【写真1】、5Fから下に降りることができます。

 『森のめぐみ 木のものがたり展』は、入り口の左手、企画展示室前のロビーで行われています。展示は、「森に生きる樹木」「森に生きる人々」「木とのふれあい」の3つのコーナーで構成されています。

「森に生きる樹木」のコーナーでは、樹木の輪切り標本2種、木材標本10種、押し葉標本30種を展示。大きな魚梁瀬杉(やなせすぎ)の輪切り標本【写真2】は樹齢約250年のものと推定されていて、伐採が禁じられていることを思えば、貴重な標本と言えます。 また漱石の小説・「坊っちゃん」で有名な松山市沖のターナー島(四十島)の松の標本【写真3】も、同島の松の木が1度は松食い虫の被害に遭って枯れてしまった経緯があるだけに、よく保管されていたものだと思います。この2点が、同展の見所の1つと言われる所以が解ります。ヤマザクラ、コナラ、キリ、ケヤキなど10種の木材標本は、実物がそこにあることで名前の語源や利用方法がより解りやすくなっています。





 アワブキ、モミジバフウ、イチョウ、カキノキ、アカマツなど30種にも及ぶ押し葉標本【写真4】は、この企画展のために同館の学芸員さんの手によって新たに作られたものです。これらの標本は全て同館周辺(新居浜市、西条市)で採取されたもので、誰にも知られているような樹木や身近で数の多い樹木が選ばれて展示されています。
 「標本は立体であったものを押して2次元的なものにしていますから、実際とは印象が変わってしまいます。それでも写真ではなくて実物がそこにある訳ですから、見応えがあります」(川又さん)。

「森に生きる人々」のコーナーでは、元愛媛大学地理学教授・村上節太郎氏が撮影した写真が約30点展示されています。【写真5】県歴史博物館で所蔵されている写真の中で、東予地区ゆかりの写真が選ばれています。土曜日や日曜日には、山村の暮らしを撮影したものや、石鎚にまつわる写真に見入る団塊の世代の人たちが多いとのこと。昔話に花を咲かせているそうです。

▼「木とのふれあい」コーナーには、積み木やダルマ落としなど昔の玩具や、スギ、ヒノキの間伐材を使用した大きなパズルが展示されていて、自由に触れて遊ぶことができます。
 「もう少し長く見て頂く機会があれば…」と、川又さん。入場者数も徐々に延びているそうです。

 次に、県立博物館が統合されることによって展示内容が変わる同館4F『自然館』へと移動しました。エレベータを降りると、ちょうど恐竜模型が動き出す時間と重なりました。2匹の恐竜・ティラノサウルスとトリケラトプスが、「ガオー」「ウオー」とものすごい迫力でうなり声をあげていました。

展示物の到着を待つばかりとなっている
壁面(上)や展示ケース(下)

 県立博物館から移動してきた標本類は、自然館の地球のゾーンと愛媛のゾーンの中で主に展示されることになっています。同館4Fはすでに準備が着々と進んでいて、展示を待つばかりの状態となっています。新たな展示台を設けた場所もありますが、大部分はこれまでの展示物を一部除いたり、演出用の柱を取り除いたりしてスペースを作り出していました。展示ケースの多くは、県立博物館のものがそのまま利用されることになっています。同館は、これまではレプリカの標本が多かったそうですが、統合されることにより、実物の標本をたくさん置くことができるようになるとのことです。

 県立博物館所蔵の標本類は、すでに昨年12月26日から移動が始まっています。また、先に紹介した企画展に出されている標本類も、そのまま同館に残ることになります。標本類の引っ越しのピークは1月とのこと。年度内に全ての移動が終了し、標本類は燻蒸された後、展示されることになります。4月には新しくなった自然館が公開されます。

 20万点に及ぶ資料類は、展示場に1部出さなければ収蔵庫に収まり切らないほどで、これからは整理が大変だとか。県立博物館の資料コレクションを活用した企画展なども計画されています。

自然館に展示されている実物の標本(上)
レプリカのみの展示だったニホンカワウソ(右)は、県立博物館から実物の標本がやってくる。

同館企画展示室では、2月28日(土曜日)から企画展『地衣類の世界』が始まります。
〜地衣類って何だろう?コケなの?キノコなの?〜▼期間は5/10(日)まで▼入場無料
【愛媛県総合科学博物館】
▼開館時間:9時〜17時半(入場は17時まで)
▼休館日:第1月曜の翌日の火曜日、
 その他の月曜日ほか

◎住所:新居浜市大生院2133−2
◎ホームページ:

 http://www.sci-museum.niihama.ehime.jp/
押し葉標本より   何の葉っぱでしょう?
クヌギ(櫟、椚、橡、櫪) キリ(桐) クスノキ(楠、樟)
ヤマウルシ(山漆) メタセコイア ネムノキ(合歓木)
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