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2009年5月号掲載

『保育所民営化』をマンガに 〜四国中央市・三島高校情報デザイン科〜

 「子育て環境四国一」を目指す四国中央市では、子育て支援策の充実を図るために、公立保育所の民営化を進めるための基本指針を取りまとめました。現在16園ある保育所を、平成22年度より3カ年にわたり、1年に1園ずつ計3園を民営化していくことにしています。

 同市ではこのほど、同指針をより解りやすく市民に伝えるために、マンガで解説した小冊子を発行しました。

 『ど〜なるの?保育所民営化』と題された小冊子は、B5版全8ページで表紙は総カラー刷り。1ページ毎に、民営化された場合の疑問点がテーマとなっており、保育士さんや園児や保護者がマンガの登場人物となって話が進みます。そして下部には、そのテーマについて、さらに詳しい説明がなされています。


▼先輩たちの足跡から

左から順に、マンガを描いた高橋彩香さん、森香奈子さん
(ともに三島高校情報デザイン科3年生)

 同市では、保育所の民営化を進めるにあたり、基本方針を策定してお知らせを保護者らに配布していました。しかしながら、その内容が十分に市民に浸透していないことから、同市の井原巧市長の発案で、お知らせをマンガにして周知を図ることになりました。
 冊子を制作するに当たり、マンガ化を受け持つことになったのが、愛媛県立三島高等学校情報デザイン科。同学科ではこれまでにも、市防犯協会との協力で制作した、インターネットの危険性を訴えた冊子『リアル』が市内の全中学生に配布されたり、情報モラルを訴えるフリーペーパー「みしくす」を発行してコンビニをはじめ市内50カ所に設置するなど、地域と密着した活動が行われてきました。
 その点に着目した四国中央市こども課は、さっそく同学科の南聡先生に相談。「(保育所民営化の内容は)確かに活字だけでは、なかなか理解しにくい内容です。市が思い描くビジョンを、多くの人に伝えることができるのは意味あること。マンガを描く生徒の力を活用して、少しでも解りやすく伝えるお手伝いができるのならと引き受けました」と南先生。将来デザイン系の学校への進学を希望している3年生の森香奈子さんと高橋彩香さんの2人に声を掛けました。


▼2人の長所を合わせて

 依頼を受けたのは2月も下旬に迫った頃で、その冊子が必要となるのは年度初め早々です。期間は1カ月しかありません。南先生の指導の下、2人の生徒さんは休日も春休みも返上して、作品づくりに取り組むことになりました。
 会話の内容と場面設定は、こども課で原案が作られ、森さんと高橋さんの2人が、登場人物や動作を考えて案を練りました。それぞれのテーマについて、まず2人が別々に8コマのカットを作成。見やすくて魅力があるのはどちらが作ったコマかを取捨選択しながら、共同作業を重ねていきました。
 また描くタッチがそれぞれ異なるので、一人ひとりが受け持つキャラクターを決め、責任を持って描くことにしました。それでも、1つの作品の中で、タッチが違い過ぎると統一感がなくなるので、お互いに歩み寄りながら作品を作り上げていきました。そこが難しかったそうです。
 今回の製作は、ケント紙に描いたものをスキャナで取り込み、セリフの文字はワープロソフトで後から入れ込むという本格的なもの。表紙、目次、裏表紙はコンピューターグラフィックで描かれています。描いたものを最後にデジタル化し、印刷所にデータを渡すところまでを2人が行いました。これらは、デザイン事務所が実際に行っている作業と同じとのこと。文字入れは初めての経験で、高橋さんは「原稿を一枚ずつ順番通りに並べていくと、出来上がっていく実感があって、とても楽しかったです」と振り返っていました。


▼伝わりやすく工夫
 1コマのマンガの中にもグラフや図を入れるなど、内容をより解りやすく伝えるために、細かな工夫が各所にされています。まだ高校生ですから、さすがに園児の保護者の会話の部分をどう描くかには苦労したと言います。出来上がってきた冊子を見て、「デザインの勉強をもっとしていきたいなと思いました」と森さん。光沢のある紙に印刷された自分たちの作品の出来映えに、驚きと感動を味わったそうです。

デザイン科の南聡先生

 「期間が短かったので、毎日夜暗くなるまで残って、また休みの日にも学校にやって来て、黙々と仕上げていました。結構な長丁場を頑張ったからこそ、出来上がった喜びがある。後輩の2年生や1年生は、大きな刺激を受けると思います」(南先生)。
 「急な依頼であったので、南先生と生徒さんにはご迷惑をおかけしたのではないかと思います。先生と何度か打ち合わせをしただけなのに、こちらの思いをよく表現して頂いています。これだけのものに作り上げてくれて、正直びっくりしています」(四国中央市こども課担当者)。


保育所民営化の取り組み  〜四国中央市では〜

 四国中央市では、平成19年4月に「保育所のあり方検討委員会」を設置し、翌20年6月、公立保育所を一部民営化する「保育所民営化基本指針」を策定。移管園が選定され、来年度からの民営化を目指して、保護者との協議を行いながら取り組みを進めています。


 保育サービスの向上が求められていること、保育所の制度が公立より私立の方が有利であること等により、全国的に保育所民営化の動きがあります。県内では松山市と新居浜市で既に導入されており、同市でも検討が進められてきました。
 同市の公立保育所の割合は8割と高く、保育士も臨時職員の割合が年々増え、現在半数以上が臨時職員となっています。同市では、民営化を通じて財源をねん出し、正職員の比率を高め、市内に良質な保育士を多く確保することを目指します。

〜同市の民営化指針の主な内容〜
保育料は公立も私立も変わらない。延長保育など新規に始まるサービスは、利用料を園に直接支払うことになるが、料金を公立の水準に合わせる。
◆施設は無償で譲渡。移管先は、保育所、幼稚園の運営実績がある市内の法人に限る
◆基本的な保育内容や行事には大きな変わりはなく、保育サービスを向上させる。
  ・朝7時からの早朝保育、夕方19時までの延長保育を実施
  ・白ご飯の持参→主食も提供する完全給食に切り替え
◆保育士は、正職員→他園へ異動、臨時職員→必要な人数を正職員として雇用するよう受託法人に働きかける。
◆円滑な移管のため、移管先法人の保育士を市立保育所に受け入れて引き継ぎを行う予定(移管前6カ月程度)。

移管園として選定された東保育所(=同市三島朝日)

 民間移管する園は、合併前の土居・伊予三島・川之江の各地域で1園ずつと想定し、選定委員会で協議。その結果、1年目は旧伊予三島市の中心部に位置する「東保育園」が望ましいとされました。市への正式な報告を前に、今年度に入ってから、保護者会役員との協議や保護者への説明会が行われました。
 担当の同市こども課では、「民営化は、経費削減のためではなく、より良い子育て環境をつくる取り組みの一環」と話しています。移管先の公募は6月中に始まる見込みです。

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