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自家用野菜を栽培したり体験学習を行ったりするために、畑を持たない一般の人向けに開設された農園のことを『市民農園』といいます。かつては市や農協、農家しか開設できなかった市民農園は、人気の高まりから法律が改正され、企業やNPOなども開設ができるようになっています。
こうした市民農園は各地にありますが、新居浜市では、県内開設数の約半分を占めるほど、多くの市民が利用し、親しんでいます。耕作放棄地の有効利用策としても期待されている市民農園。現地を訪ね、『新居浜式』について調べてきました。
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『新居浜市自然農園』は昭和50年3月、市民が自然に親しみ、ふれあいを図ることを目的に、市内にある遊休農地を利用して開設されました。利用を希望する人が増えるごとに新しい農園が整備され、現在、市内全域に51の農園があり、約700人が利用しています。
農家が耕作できなくなった土地を市が無償で借り受け(固定資産税を免除)、市民の利用を受け付けるという自然農園の業務を、当初は全て市が行っていましたが、54年9月、市からの依頼によって結成された利用者団体「新居浜市自然農園を育てる会」(以下=育てる会)に業務の一部を委託。市が農地のあっせんを、育てる会が利用者のあっせんと農園の管理を主に受け持ち、互いに協力し合って運営を行ってきました。
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▼利用のきまりは
農園が利用できるのは、新居浜市在住の農地を有しない人。また、育てる会に加入することが条件で、利用に関しては、農薬や化学肥料を一切使わないこと、営利を目的としないこと、野菜以外の花や木を栽培しないことなどが取り決められています。
育てる会の会費は、年間1700円と利用しやすい設定。1人につき1区画・約50平方メートル(15坪)を使うことができますが、1区画では物足りなくなって、夫婦や家族も入会し複数区画を借りて栽培している人もいるそうです。
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▼野菜づくりで元気に
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育てる会・会長の
村上武紀さん |
育てる会会長の村上武紀さん、市の担当職員さんの案内で、同市政枝町にある自然農園を見学に行きました。周りを民家やアパートや町工場で囲まれたこの農園は、36区画に分けられており、同市の自然農園の中でも一番広い農園です。ナス、トマト、きゅうり、オクラなど、さまざまな夏野菜が勢いよく育っていました。
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政枝町の自然農園。つる野菜には支柱が
施されるなど、丁寧に栽培されています。 |
「テレビを見て座っとるより、ここに来た方がずっとええ。体も元気になるし」。野菜の世話に来ていた男性が、鍬をふるう手を休めて話してくれました。村上会長さんも長年農園を利用してきた一人で、「(自然農園は)農薬を使わないことになっているからね。虫に食われたり、病気にかかったりしないように育てるには手がかかるんですよ」と、目を細めて言われます。「皆さん、いきいきと楽しみに作られています。本当に上手に作られていますよ」とは、担当職員の松木恵美さん。自然農園が一つの生きがいになっていることがうかがえます。
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▼農園はふれあいの場
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| 各農園に置かれている共用の倉庫【上】とポスト【下】 |
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それぞれの農園には看板がかけられ、連絡用のポストと農具を入れる共用の倉庫が設置されています。農園の中は、踏み固められた道が縦に横に走り、まるで一つの町のよう。種や苗、できた作物のやりとりをしたり、代わりに水やりや草引きをしたりというような野菜を通じた“ご近所付き合い”が生まれる場でもあります。
各農園で世話人を1人決め、育てる会の理事として年4回理事会に出席。農園の巡視や利用者への伝達、会費の徴集・納入などを行います。
空き区画の草引きなどの管理も、農園の利用者で行います。草を生やしたまま置いていると、種が飛んで近隣に迷惑をかけることもあるからです。中には、野菜を作らずゴミを置いたり、背丈が高くなるほど草を生やしている人もあり、利用者同士で解決できない場合には事務局から警告を出すこともあります。
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▼全体の交流の場も
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昨年の収穫祭のもよう。
【上】見事受賞した野菜。農園ごとの成績も発表。
【下】無農薬野菜が並ぶ即売会 |
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育てる会が主催して、自然農園の会員交流の活動も定期的に行われています。年に1回の「ふれあい研修会」には、約100人が参加。野菜や土づくりを学び、技術の向上を図ります。
12月の第1日曜日には、市役所前の公園で収穫祭が催されます。利用者が育てた野菜を展示して品評会を行い、品評会終了後に販売します。売り上げの一部を「緑の募金」に寄付。一般市民の参加も多く、無農薬の安全な野菜を求める人でにぎわいます。
収穫祭で売れ残った野菜の他、日頃の栽培で余った野菜を事務局が引き取り、市内の授産施設に提供する取り組みも始めています。
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▼子ども教育にも利用
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育てる会事務局長の渡部さん
=同事務局入り口にて |
育てる会事務局のある金子地区では、公民館活動の「子育てサロン」で1区画借りて、育てる会事務局長の渡部昭子さんを中心に親子で体験学習を行っています。
今年はジャガイモを育てており、親子が世話をする機会は多くありませんが、周りの利用者さんたちが気を付けて世話をしてくれ、とてもよく育っているのだとか。渡部さんは、「本当は、草引きもしないと育たないことを知ってもらいたいんだけど」と言いながら、若い人や子どもたちが農業に親しむことを喜んで、活動しています。
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同市では、自然農園の広まりについて「住宅地にも農地が点在していて、広い地続きでないために農家も耕作しにくいこと、畑を持たない人が多いことなどが、新居浜に市民農園がマッチした理由では」と分析します。ここ数年の利用者は横ばい。利用希望が多い地区の農地提供がなく、逆に利用の少ない地区ほど地主さんからの申し出が多いといいます。同市では、農地の提供を引き続き募集しています。
空き区画の利用者も募集中。申込先は、育てる会=電話0897・32・1207(第3水曜を除く月水金曜)。
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