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2010年2月号掲載

紙の町で書道映画が誕生 〜映画『書道ガールズ!!』〜

 紙の生産量日本一を誇る四国中央市で、実話をもとにした映画が生まれます。タイトルは、「書道ガールズ !! 〜わたしたちの甲子園〜」
 地元・三島高校書道部が7年ほど前から取り組む「書道パフォーマンス」を“紙の町”から発信しようと、同市が「書道パフォーマンス甲子園」を企画し2008年夏から開催。このもようが日本テレビで全国に紹介されたのをきっかけに、反響の大きさから映画化の運びとなったものです。



 同市内でのクランクインを前に、1月17日、
井原巧市長を表敬訪問した成海さんと猪股監督

 「書道パフォーマンス」は、大きな紙の上で音楽に合わせてダイナミックに筆を操り、一つの大作に仕上げるチーム演技。映画では三島高校をモデルに、不況で活気を失った町を書道を通じて盛り上げようとする高校書道部員を描きます。制作著作は日本テレビ、指揮をとるのは「マリと子犬の物語」の猪股隆一監督。主役は実際に17歳の現役高校生である成海璃子さんで、書道部部長を演じます。
 撮影には、同市が支援本部を立ち上げ全面的に協力。煙突や工場地帯の見える製紙の町の景観を生かし、市内の数十箇所で2月上旬までロケが行われました。公開は今年5月の予定です。


三島高校書道部

 黙々とパフォーマンスに向けた
 練習に打ち込む部員たち

▼放課後の書道部室 
 毛氈(もうせん)の上に新聞紙を敷き、ジャージに着替えた部員たちがパフォーマンスの練習をしていました。彼女たちがひたすら書いているのは、大きな作品の中の自分が受け持つ部分。黒い足の裏をのぞかせ、膝を曲げ体を上下させながら筆を運んでいきます。「○○さん、手首だけで書こうとしたらいかん。ひじを上手に使って」と、顧問の阿部秀信教諭がアドバイス。重ねて書き、書く所が無くなれば丸めてゴミ袋に入れ、また新しい新聞紙を敷く〜その繰り返しを行っていました。

 本番の1回が納得のいく仕上がりになるようにと、何度も何度も練習を重ねます。「字を綺麗に書こうとしたら体が動かなくて。字を綺麗に書いて、動きでも魅せられるようにしたいんですけど」─そう話すのは、部長の近藤友希さん(2年)。今回は作品の要となるタイトル文字を担当しています。「一人で書く時より責任を感じるけど、お互いにうまく支え合っていける」(近藤さん)。パフォーマンスに取り組むことが、自分の作品にも良い影響をしていると言います。

▼パフォーマンスの妙
 「書道の楽しさを広められたら」と、先輩たちから受け継いできた書道パフォーマンス。何をどのように書くか、音楽や踊りなど、構成は先生に相談しながら部員たちで話し合って決めています。

昨夏行われた、第2回書道パフォーマンス甲子園での演技

「練習の時は意見が食い違うこともあるけど、一つの作品を作り上げていく中で一体感が高まるのがパフォーマンスの魅力」と元部長の藤枝愛紗美さん(3年)。「出来上がった作品を立てた時は、やり切ったという感情がわいてくる」(宮崎善子さん・同)。「何時間も練習したことを何分かに出すのは時々プレッシャーにも感じる。アクシデントにうまく対処する力も付いた」(立川恭子さん・同)。臨書は自分と対するものである一方、パフォーマンスは人前で披露するチームプレイ。それだけに必要とされること、培われることもあるようです。


三島高校書道部員(前列中央=阿部教諭)

▼映画化という成果
 「書の甲子園」と呼ばれる国際高校生選抜書展(毎日新聞社、毎日書道会主催)で全国優勝や準優勝の経歴を持つ同部。四国地区では、近年はほぼ連覇している実力校です。放課後休日、部活動に明け暮れる毎日に、「書道部で成長でき、多くの人と知り合って良い経験ができた」と3年生は振り返ります。
 同部の活動が今回「映画化」という形で大きな評価を得たことは、驚きと喜びに絶えないことでした。「いろいろな人が見て感動してくれて、自分たちのしていることを分かってくれたんだと思うと嬉しい」(村上綾香さん・3年)。映画の本編では主人公のチームの対戦校として出演する、彼女たちの姿にも注目です。


インタビュー 井原 巧・四国中央市長

 撮影にあたり同市では、商工会議所や紙パルプ工業会、PTA連合会など総勢40団体で映画制作支援委員会を結成し、炊き出しや差し入れなどでバックアップ。また、同支援委員会の事務局が市役所内に設けられ、交通整理や機材運搬などのロケの手伝い、ケータリングの準備、エキストラ集めなどの調整を行いました。
 エキストラ等で900人以上が参加する、市民あげてのサポート体制の中、3週間にわたりロケが行われました。


四国中央市・井原巧市長

 ●この地であった実話をもとに脚本ができ映画化して頂けるというのは、全国的にもなかなか無い事。しかも、猪股監督がおっしゃっていたように「四国中央市でなければできない」という映画が生まれたことは本当に有り難く、公開を楽しみにしています。若者たちの成長に合わせて町が活気づいていくという青春映画で、「成長」と「再生」をコンセプトにした内容であることも意義深いものです。それでもたまたまできたものでなく、若い人たちの文化を育てよう、情報発信しようという町を思う皆の取り組みが今回の映画につながったと思っています

 ●中国には古来から『文房四宝(ぶんぼうしほう)』という言葉があって、ものを書くのに大事な4つの宝(筆・墨・硯・紙)の1つに紙が挙げられています。日本一の紙の町に書道に取り組む若い人たちが育ち、映画にまでなるのは奇跡的だと思います。紙と書道というのは、まるで神様が引き合わせてくれたような気がするんです。

 ●そこにはまず三島高校の生徒さんたちが日々書に真剣に取り組み、「日本一の書を書ける書道部員がパフォーマンスをした」ことが基本にあります。その精神が脈々とつながり、若い人の頑張りがあって映画になったことを感謝に思っています。出演する生徒さんたちには、一生の思い出に残るように思い切って頑張ってきてほしいと思います。

市長室の窓からもよく見える製紙工場の煙突

 ●ご当地映画というと、地元が出資して作る場合が多いですが、今回有り難いのは、市の出資も地元の出資もなく、スポンサーも募っていません。日本テレビ1社で全額出しているということは、思いを込めて映画化してくれているということで、それだけの評価に値する題材だということだと思います。映画のヒットはもちろんですが、これを契機に町が活気づいて、情報発信ができていくことを一番に願っています。

 ●そのためには、市民皆で応援して、あったかい雰囲気の中で撮影ができ、また当市を訪れている80名のスタッフの方々に「四国中央市は町も人も良い所だったよ」という思いを残してもらえれば、それが情報発信につながると考えています。映画をご覧になる方にも、そのような人のぬくもりが伝わるものになればと思います。
 また、住み慣れた私たちにはこれが当たり前ですが、青い海があり、すぐ南には高い山が一気にそびえ立ち、高台から見下ろすと海と山と町が一つになっているような四国中央市の風光明媚な良さが伝われば嬉しいですね。


【映画「書道ガールズ!!〜わたしたちの甲子園〜」公式サイト】
 http://wwws.warnerbros.co.jp/shodo-girls/

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