お問い合わせ

2009年10月号 > KJ’S EYE 【過去の記事一覧】【最新号

チイコミスタッフは見た!
【2009.10月号】


林業を副業に

〜自伐林家養成塾を開催〜

 NPO法人土佐の森・救援隊が主催する「副業型自伐林家養成塾」が、高知県いの町において開催されています。同塾は、高知で副業型林家となることを目指す人を対象に行われているもので、今年8月〜来年3月まで、毎月数日間のべ約40日間のスケジュールで研修が行われます。

 副業として林業を志す人、自分の山をきちんと管理したい人、定年後に林業を始めようとする人などに向け、必要な林業技術の講習を行う同塾。かつては当たり前だった「自分の山は自分で管理する」「自分ひとりで管理できなければ寄り合い(協働・地域コミュニティ力)で助け合う」ということを現代に取り戻し、小規模林業を復活させようと始まった取り組みです。
 対象は、県内在住者を原則としていますが、「地元で管理できなければ下流域や都会に求める」という視点のもと、近い将来高知県に定住することが見込まれる場合は、都会に住む人の参加も認めています。
 また同塾は、高知県の今年度新規事業「副業型林家育成支援事業」として実施されています。


同塾を見学に、9月19日、高知県いの町を訪れました。

 9月の研修テーマは『間伐』。土佐町在住の自伐林家・山中宏男さんを講師に迎えて行われました。山中さんは、自分で木を植え・育て・伐採・搬出・製材・住宅建築まで行う、高知を代表する自伐林家です。

山中宏男さんによる講演

 初日の午前中には、いの町本川総合支所において、座学が行われました。山中さんは、間伐に適した木はどれか、いつどうやって切るのか、木の性質は、山の状態は、土地の性質は…と、伐採に関することを事細かく説明します。
 「ケガもしながら、体験をして身に付けたものなので間違いない」と山中さん。「山に行って木の皮を剥いて、白いところを舐めてみて、甘かったら、その日は切るのを止めた方が良い」など、自身が長年木に携わった経験の中で身に付けた、教科書にはない情報も盛り込まれています。解りやすく面白く、より安全に木を切るための講義に、34名の参加者は熱心に耳を傾けていました。

木を切る実技講習のもよう

 午後からは500mほど移動したところにある町有林「未来(とわ)の森」で、選木、チェンソーなどの実技講習が行われました。午前中の座学の内容に基づいて、山中さんが実際に木を切りながらた説明していきます。参加者の中には経験を多く積んでいる人もいましたが、より安全に作業を行うコツがあることを講習で学び、「やはり実際に目で見ないと分からないことがある」という声が聞かれました。

参加者の中には、チェンソーを初めて使う人も。

 山中さんの話は林業の分野にとどまらず、人生観や哲学的なことにまで及びます。講習は和気あいあいとした雰囲気で進み、参加者も活発に疑問点をぶつけるなど、林業に対する熱い思いのこもった養成塾となりました。


NPO法人土佐の森・救援隊の取り組み

 森林面積の割合が全国一の84%を占める高知県。NPO法人土佐の森・救援隊は、郷土の森林を守り育てることを目的に平成15年に発足。県下各地の森林ボランティア等に向けた林業技術指導や財政的支援をはじめ、活動家の養成、森林や作業道の整備、森林関係のイベント等の活動を行っています。

 林業が組合や企業中心の大規模化の一途をたどってきた中で、同法人は、山を守るには様々な人が多角的に森林活動に関わることが大切であると提唱。体験活動的なボランティアから、副業化を目指す農家やサラリーマン、セカンドワークとして従事する定年退職者など、森林活動への入口を広げ、経済面も含めたそのシステム化を進めています。
 その一例が、▽会員が間伐を行った木材を販売し、アルバイトや副業的に収入を得ることができる仕組み作り▽山に残った端材や製材廃棄材を集めて木質バイオマスエネルギーとして地域内循環を目指す実験▽製材所で出たノコくずやカンナくずを山に戻して森林土壌をスポンジ化させる環境保全運動など。地元の森が経済面と環境面のそれぞれで循環していく社会づくりを推進しています。


2009年10月号 > KJ’S EYE 【過去の記事一覧】【最新号
管理者:rinkun1@basil.ocn.ne.jp (C)Copyright NPO法人倫理生活指導センター