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チイコミスタッフは見た!
【2010.5月号】


祖谷の襖からくり

〜シリーズ・徳島県三好市〜

 徳島の最西端に位置し、愛媛・香川・高知の県境に囲まれた三好市。高齢化率が高く、将来の大幅人口減が予測される同市ですが、豊かな自然や歴史的文化遺産などの観光資源を生かした地域おこしの活動が、活発に行われています。
 本紙では、同市の取組みに注目し、特集していきます。

代表的な襖絵の「千畳敷」

 4月4日、徳島県三好市西祖谷山村後山の「後山農村舞台」にて、西祖谷の伝統芸能「祖谷襖(ふすま)からくり伝統芸能公演」が行われました。当日は、襖からくりの他にも祖谷に伝わる「祖谷音頭踊り」「民謡」「粉ひき節踊り」なども同時に行われ、公演を盛り上げました。
 今回の公演は、地元宿泊施設の宿泊セットのモニターツアーとして行われたもので、関東や海外から来たツアー客もいて、秘境での幻想的な一夜を過ごしました。

【動画】 落合 祖谷の襖からくり

 「襖からくり」は、西祖谷地方で明治後期から大正時代に作製されたもので、後山のほかにも有瀬、小祖谷、田ノ内、徳善の5カ 所に襖絵が約300枚保存されているとのこと。「襖からくり」は、淡路島の人形浄瑠璃と大きな関係があるそうです。明治後期にこの地方で淡路の人形使いを雇い、人形浄瑠璃を習って各地で公演をしていました。吾橋には人形座が結成され、村々で公演するようになって、その舞台として後山の舞台も使われていました。常日頃は人形芝居や、村人が集う娯楽の施設として使われ、その中で「襖からくり」が発展していったということです。

襖の裏で操作する保存会のメンバー

 「襖からくり」は、平成17年10月に50年ぶりに復活公演を果たしました。郷土史家の岩崎是昭氏や、東京理科大学の川上光洋氏の専門的な指導などの協力を経て、襖からくりの「組立式舞台」が復元されました。

 平成19年7月には三好市指定有形民俗文化財となり、あわせて「後山からくり襖絵保存会」が設立。その後、西祖谷地域の過疎化や高齢化による人出不足で「組立式舞台」での活動が厳しくなっていましたが、「後山農村舞台」が地域のコミュニティーセンターとして共用されることにより、常設の舞台を設置。再び公演されるようになりました。これを機に「襖絵の里」を目指すグループが生まれ、徳善には「徳善襖絵からくり舞台」(唯一の組立式)が誕生。地域活性化への大きな動きとなりました。

 後山の襖絵は、複雑なからくりがあることや、絵の多様性や保存状態の良さなどから、三好市指定有形民俗文化財に指定されています。「襖からくり」は12名で操作をしています。10枚の襖を、1人が1枚を操り、脇に2名を配置。客席から見ると、襖がひとりでに動き出しているように見えます。どのようにして操作しているのか、不思議がっている観客もいました。

「スマ田楽」 「三ツ折れ」の様式による転換場面

 襖の操作には「田楽返し」、「ヨド田楽」、「スマ田楽」、「オオ田楽」、「三ツ折れ」、「引き分け」、「引き抜き」など8種類あります。「ミツオレ」という操作方法は後山の襖からくりにしかないものだそうです。操作をしている人のなかには、50年前の公演で経験した人もおり、現役で操作をし、後進にその技術を伝えているそうです。


 今現在、「後山からくり襖絵保存会」には40名の会員がおり、30代、40代が中心となって取り組んでいます。今回のようなツアーや祖谷の平家まつりでも「襖からくり」を披露しています。「昨年は、計4回公演を行いましたが、今後も続けていきたい。先人からの遺産を後世に受け継いでいこうと、皆が熱心に取り組んでいます」(後山からくり襖絵保存会の谷口美雄会長)


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