お問い合わせ

2010年7月号 > KJ’S EYE 【過去の記事一覧】【最新号

チイコミスタッフは見た!
【2010.7月号】


道の駅・大歩危の妖怪屋敷

〜シリーズ・徳島県三好市〜

 徳島の最西端に位置し、愛媛・香川・高知の県境に囲まれた三好市。高齢化率が高く、将来の大幅人口減が予測される同市ですが、豊かな自然や歴史的文化遺産などの観光資源を生かした地域おこしの活動が、活発に行われています。
 本紙では、同市の取組みに注目し、特集していきます。

山城町が発祥といわれる児啼爺の像


 徳島県三好市山城町は、大歩危(おおぼけ)・小歩危(こぼけ)と呼ばれる景勝地があり、豊かな自然に囲まれた地域です。平地がほとんどなく急峻な山々が連なっており、危険な崖や淵、細くて暗い山道などの危険から身を守るための術が、妖怪話となって、親から子へと伝承されてきました。


 山城町には、110ヶ所以上に妖怪の伝承が残されています。2008年には、漫画家の水木しげるさんが会長を務める「世界妖怪協会」から、怪遺産として境港市につづき認定第2号を受けました。


【写真1】

妖怪屋敷に潜入取材

 「道の駅大歩危」に今年4月1日、地元の妖怪伝承を紹介する「妖怪屋敷」がプレオープンしました。入り口では野鹿池の竜神が出迎えてくれます。

 中に一歩足を踏み入れると、どこからか視線を感じました。視界には何も無いので、どういうことだろうと何気なく天井を見上げてみると、大きな天狗が見下ろしていました【写真1】。不気味な雰囲気で、妖怪屋敷と言うだけあります。

【写真2】世界妖怪協会から贈られた
「怪遺産認定書」と記念の盾




 屋敷の中には、地元住民の手作りの妖怪人形が全部で60体、「山道や里に現れた妖怪」「水辺の妖怪」など、テーマに分かれて展示されています。妖怪ごとに伝承の由来や出没場所などが詳しく説明されてありました。妖怪に関連した書籍や、世界妖怪協会から贈られた「怪遺産認定書」と「盾」【写真2】も併せて展示されていました。


【写真3】

 妖怪屋敷は2つの部屋に分かれています。最初の部屋は、「山道や里に現れた妖怪」、「人に取り憑いたり災いをもたらす妖怪」【写真3】。趣向を凝らした展示が特徴です。ところどころに穴の空いた障子の向こうに怪しい光が…。何だろうと覗いてみると、「うわ ! ! 」っと、思わず声を上げてしまいました。中にいる山姥と目が合ってしまったのです。
 つい引き込まれてのぞいてみたくなる障子の穴。中に何がいるか最初から分かっていても、見れば誰もがきっと驚いてしまうことでしょう。


【写真5】妖怪人形の横を
通って山城坑へ

 もうひとつの部屋に行くためには「山城坑」という暗いトンネルをくぐらなければなりません【写真5】。こちらは、お化け屋敷のような雰囲気です。暗幕を開けて中に入ると、ほとんど真っ暗で、ところどころ怪しい音や光、そして子どもの人形が立っています。「山城坑」を抜けると、そこは、どこか可愛げな狸の里の風情。狸の葬列、狸の嫁入りなど、他の妖怪とは違って可愛らしい狸の妖怪人形の展示でした【写真6】

山城町に残る狸伝説は23話。狸の嫁入り(ちょうちん行列)は目撃者もいるのだとか。【写真6】



 








 山城町は子泣き爺の発祥の地として有名になりましたが、大蛇や竜の伝承も数多くあります。つづいては、「水辺に現れる妖怪」【写真7】「大蛇と竜神」【写真8】のコーナー。「一つ目入道」や「河童」、「くわん淵の大蛇」などが展示されていました。

【写真7】 【写真8】


【写真9】雰囲気たっぷりの、語り部が子どもたちに
話をするスペース

 展示の最後は、「憑き物と信仰」というテーマで、山城町にある賢見神社や犬神神社、数ある祠などが紹介されています。出口には、妖怪伝承の紙芝居が置かれていたり、地元の語り部が子どもたちに話をするスペース【写真9】が設けられていたりしています。

 山城町の妖怪話は単なるおとぎ話としてではなく、親から子へ、さらに次の世代へと、厳しい自然と共存していくための生の話として語り継がれており、この妖怪屋敷もその一役を担っています。


地元住民の手によって製作された妖怪の面

 最後に、「株式会社山城しんこう」の代表取締役社長・脇眞二さんに、お話を伺いました。
現在の「山城・大歩危妖怪村」は、「藤川谷の会」、「法螺貝隊」などの会が協力をしようということで、「山城・大歩危妖怪村」として地域の活性化の為に再スタートさせたそうです。
 地元住民の理解と協力の下に運営されており、妖怪屋敷の妖怪人形や着ぐるみは、すべて地元の方たちによる手作りです。素材は発泡スチロールで、今年の4月1日のプレオープンに間に合うよう、1月17日から製作を始め、3月30日までに仕上げたとのこと。プレオープン以降、入館者数が伸び続け、昨年の倍の人が訪れています。現在は閻魔様の人形を製作中で、着ぐるみの妖怪人形が置かれている上のスペースに大きな閻魔様を展示する予定です。


 町全体での取り組みを多くの人に知ってもらおうと、地元三好市のイベントや、阿波踊り、JR阿波池田駅から大歩危駅までを往復する「妖怪トロッコ列車」などに妖怪たちが参加しています。さらに地元のホテルと協力したイベントや、市外、遠くは名古屋市など県外のイベントにも参加して「妖怪伝説のまち 山城」をPRしています。

 7月25日(日)には「妖怪屋敷 オープニング式典」が行われます。前日の24日(土)には、前夜祭として夜の妖怪街道を歩く「妖怪ナイトウォーク」が開催されます。

詳細は、
▼「四国の秘境 山城・大歩危妖怪村」ホームページ
 http://www.yamashiro-info.jp/youkai/index.htm
▼メール: youkaimura@ctm.ne.jp
▼電話:0883−84−1489(9時から17時まで)




 道の駅大歩危(ラピス大歩危)


住所:徳島県三好市山城町上名1553-1

営業時間:9時〜17時(トイレは24時間)

アクセス:井川池田ICから国道32号線を高知方面へ


2010年7月号 > KJ’S EYE 【過去の記事一覧】【最新号
管理者:rinkun1@basil.ocn.ne.jp (C)Copyright NPO法人倫理生活指導センター