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【がんばってます】最新号
   (取材:2003年11月)
〜吹きガラス作家〜
一色由江 さん  (松山市在住)
いっしき・よしえ

写真は、工房内で作業中の由江さん

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 松山の新空港通りに、若い女性が経営するガラス工房があるのをご存じですか。空港に向かって一つ目のトンネルを過ぎ、次のトンネルとのちょうど中間点、信号機の手前で左側の二つ目の建物の1階にあるのが『吹きガラス工房よしえ』。ドアを開けると正面に工房があります。工房はガラス張りで、作業の様子が見えるようになっています。サングラスをかけた一色由江さんが、手を動かし続けています。ピンと張りつめた緊張感が、外まで伝わってきます。

 〜作業を終えて工房から出て来た由江さんは、先ほどとはずいぶん表情が違います。「工房内の顔は、厳しいとか、怒っているみたいだと言われたりするんですよ」と由江さん。作品ができ上がるまでは片時も手を休めることができず、1,300度ものガラスを扱うのだから、真剣な顔になるのは当然ですよね〜

―ガラスと出合ったきっかけは?

 母なんです。高校の時に部活動をしていなくて、「何か習い事を始めたら」と、たまたまテレビで見かけたステンドグラスを勧めてくれました。私に向くんじゃないかって。ステンドグラスというと教会のイメージがあって、建物にはめこむだけではつまらないと思ったものの興味があったのか、本屋さんへ行ってガラス工芸の雑誌を手に取って見てみました。ガラス工芸の幅広さを知ったのと、松山にも教室があることが判って「じゃあ、やろう!」と思ったんですね。

―つくることや色彩などに興味があったんですか?

 高校の時に、絵本とか童話にたいへん興味を持っていました。作家さんによって色づかいや絵のタッチもぜんぜん違うんですけれど、いちばん心に残った作家さんがエロール・ル・カインなんです。この人の絵が好きで、その世界にあこがれました。頻繁に本屋さんに寄っては、絵を眺めていましたね。

―吹きガラス作家になったのは、どのような経緯で?

 ステンドグラスは短大まで続けていて、卒業後2年近くアシスタントとして教室にいました。好きなガラスを使って作品をつくりたいけれども、けっこうお金がかかるし、ガラスは趣味程度にしておこうと思って、やがてOLを始めました。
涼しそうな作品の数々
 勤め先の学習塾には英会話のコースもあって、外国人とも接触がありました。たまたま「イタリア人の吹きガラス作家が松山に来ているので、興味があるなら来てみない?」と誘って下さった方がいて、これが大きな出会いとなりました。彼の熱心な説明を聞いたり、ベネチアンガラスの作品を見ていると、すごく引き込まれてしまったんです。もう一度ガラス工芸をしたいという思いが弾けて…。親に無理を言って、OLを辞めて吹きガラスの修業に1年間行かせてもらいました。


 〜能登島ガラス工房で1年間勉強した後、香川県の世界のガラス館へ就職します。3年半そこで技術を磨いたものの、会社が閉鎖の危機に。作品をつくる場がなくなり、最初で最後のつもりで砥部町の『里山房』で作品展を開くことになりました(1999年)。そこでまた、新たな出合いが由江さんに訪れます〜


―自分で吹きガラス工房を開くきっかけになったんですね?

 ガラス作家として活躍した証として作品展をすることにしたんですね。当時私はまだ香川にいて、会場のことなどを母が全てしてくれました。作品に値段がついていないのを見て、そこのオーナー(先生)が「どうして売らないんですか」と尋ねてくれたんです。もうつくる場がないことを話すと「おしいなあ、お嬢さんの作品は売れ筋なのに」と言って下さったというのを聞いて、背中を押されました。終わりにしようと思っていたのに、ガラス工芸を続けたい気持ちが抑えきれなくなりました。先生のあの一言がなければ、とうていこういうことはできなかった。 


 〜横でにこにこしながら話を聞いている由江さんのお母さん。ギャラリーはお母さんが担当しています。「巻き込まれてしまって…」と言いつつ、由江さんの良き理解者で強力な後援者です。作品展を開催するに当たっては、作品の貸し出しはしないのが会社の方針であったので、毎週香川県まで由江さんの作品を買い集めに通ったそうです。また、親のできる範囲でということで、職住一緒の建物を建ててしまいました。由江さんとお母さんは、二人三脚でここまで来ている感じです〜


─ガラスの魅力って?

 つくっている時は、熱くてどろどろしていて扱いにくいけれど、できあがってみたらキラキラしてきれいで、まったく正反対なんですよね。熱地獄の中で生まれてくる物が、涼やかで透明なきれいなものばかり。一つひとつの表情が違いますから見飽きません。作品を買った方が喜んで下さいます。贈り物で私の作品をもらった方が、また喜んで下さる。「嬉しい」とか「ありがとう」と言葉を頂くと仕事冥利につきます。
 温かみのあるガラスをつくり続けたいですね。おもしろい物、オリジナリティのあるものをつくっていきたい。

 本来なら2人1組で作業をするのが吹きガラスだそうです。由江さんは、それを1人でこなしています。熱い工房で集中力を保ちつつ、1人で竿を回し続けます。工房に入るのは、どんなに頑張っても1日に5時間くらいだそうです。「腕なんか、男の人みたいですよ。手先も汚れて女の人の手じゃないですね。1度しかない人生だし、したいことを我慢することはできなかった。あの人みたいな吹きガラス作家になってみたかった」と由江さん。近々作品展を開きます。宙吹きガラスの魅力をぜひご覧下さい。

「一色由江 吹きガラスの器とアジアの雑貨展」
 アジア雑貨出品協力:成田幸子
■日時:11月22日(土)〜30日
     午前10:00〜午後6:30(木曜日定休)
■会場:ミュゼ里山房
     伊予郡砥部町宮内980(電話:089・962・3208)

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