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【がんばってます】最新号
   (取材:2005年3月)
逆上がり全員プロジェクト
石津 善久 教諭
いしづ・よしひさ
(四国中央市立豊岡小学校)

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 「やればできるよ!」「がんばれー!もう少しだ」─。四国中央市立豊岡小学校5年1組。昨年の4月、クラスの39人中14人が、鉄棒の逆上がりができませんでした。そこで、『クラス全員、逆上がりができるようになろう』というプロジェクトを立ち上げて、約2ヶ月後の6月22日、みごと最後の1人が成功。「ヤッター!」「イェーイ!」。周りを取り囲んで応援していたクラスの皆は、満面の笑みで飛び上がって喜びました─

クラスみんなで挑戦だ!
励まし合って目標達成
児童のがんばる様子を記録

 ─この一連のもようは、「6月中に全員逆上がり成功」という目標に向かって、クラスの仲間たちで協力したり励まし合ったりして達成するまでを収録したビデオ作品『みんなのおかげ』によるものです。担任の石津善久教諭(43歳)は、教員となった1年目から、受け持ちのクラスで「逆上がり全員プロジェクト」をスタート。それから毎年、全員ができるようになるまでの道のりを映像で記録しています。

ビデオ作品「みんなのおかげ」より
「くっそー!できん!」
5つのスモールステップで練習
最後の1人が成功!
 新しい学年が始まって最初の体育の授業は、鉄棒。4時間が限度の鉄棒の授業が終わる段階でも逆上がりができない児童が多くいることから、「プロジェクト」は始まりました。その後の練習は、昼休みや放課後の時間を使って行います。石津先生から練習の仕方を教えてもらうと、子どもたちはそれぞれに、逆上がり成功を目指して練習開始。先生が撮影できない時は、カメラマン役の児童が練習風景を撮影しました。「ビデオを撮ってくれている」ということが頑張りにもなり、撮った映像を給食の時間に見るのも楽しみとなりました。また、「先輩たちはこうやって逆上がりができた」というビデオを見て、「先輩たちができるんだったら、自分もできるぞ」と練習に励みました。

 石津先生のクラスで毎年行われる「全員プロジェクト」には、早い時期に全員できた年や、できるようになるまでになかなか大変だった年もありました。

 一昨年度、現在の豊岡小学校に赴任した最初の年は、成功者の少ないままに冬場に入っていました。「やっぱりできるようにさせてやらないと、いろいろな面で『できなかった』とあきらめてしまうようになるのではないか、それでは駄目だと思いました」(石津先生)。指導にも工夫を行い、5段階のスモールステップを設けました。「逆上がり練習器を1回蹴ってくるっと回れる」のが第1ステップ、跳び箱1段の上に踏切板を置いた上を1回蹴ってくるっと回れる」のが第2ステップ…という具合で、1つステップアップすると黒板に「おめでとう!」と名前を書いて励ましたり、応援する子も増えて、できなかった子もやる気になります。「どうしてできないのか?」という原因を探って、腕力がないためにできない子は腕力をつけるトレーニングにも頑張ります。「3回連続で成功したら、逆上がり成功」ということにしていて、2回連続成功すると、ビデオを撮りながら3回目の成功を見守ります。3月に最後の1人ができるようになった瞬間の子どもたちの喜びは、この上ないものでした。

 その年の取り組みを記録したビデオ作品が、昨年の『第26回東京ビデオフェスティバル(日本ビクター主催)』で、約2900作品の中から最優秀賞のひとつである「ビデオ大賞」に選ばれました。子どもたちも、作品に登場する石津先生の似顔絵を描いたりナレーションの吹き込みをするなど、作品づくりに参加しました。「今の子はメディアに強くて興味がありますね。物語にするとは言っていませんでしたが、『記録に残るんだ』ということも子どもたちには大きな影響があったと思います」(石津先生)。

 石津先生が「全員逆上がりプロジェクト」を始めたきっかけのひとつは、愛媛県の教員採用試験で鉄棒の実技試験があったことでした。『逆上がり・後方支持回転・前回り降り』という課題をクリアして現場に赴任したところ、逆上がりができない子が多いことが分かり驚きました。先生自身は学生時代に運動部の経験がなく、「運動神経は良い方じゃないので、その分できない子の方に共感しますね」。石津先生は先月23日、長年の取り組みが評価され、大亀財団スポーツ賞の『特別賞』を受賞。今後は、これまでに蓄積した指導のノウハウを生かし、映像を教材として、さらに短い期間での成功を先生自身の目標としていきたいとのこと。

 冒頭のビデオ作品の終盤に、なかなか逆上がりができなかった児童にインタビューをしている場面がありました。
◆逆上がり成功の理由は?
「僕も頑張りましたが、みんなが応援してくれたお陰でできるようになりました」
◆下級生にどんなアドバイスをしますか?
「先輩たちも僕たちもできました。できると信じて努力すれば、必ずできます」。

 また、より高度な鉄棒の技ができるようになった様子や、その他の全員プロジェクト「跳び箱開脚跳び」「水泳自己記録更新」「都道府県名暗記」「いろはカルタ暗記」にも達成したことが収録されていました。「たかが逆上がり、されど逆上がりなんですよね」と石津先生。できない事を乗り越える力、仲間を応援する気持ち…逆上がりを通して大切な心が育まれています。

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