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【がんばってます】最新号
   (取材:2005年9月)
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3分49秒
1M / 300k
国の伝統工芸士
《砥部焼「きよし窯」》 
山田ひろみ さん 

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 今回ご紹介するのは、砥部焼き初の国の伝統工芸士として活躍する山田ひろみさんです。山田さんは佐賀県出身。絵を描くのが大好きで、九州造形短大デザイン科・グラフィックコースに進学。そこで出会ったのが、砥部焼きの窯元の2代目であるご主人という訳です。佐賀市のデザイン事務所に3年ほど勤めたあと、結婚して砥部へ。砥部町五本松の『きよし窯』に山田さんを訪ねました。


 「絵を描くことが好きで、楽しみにしていたんですけれど、紙に描くのと違って焼き物に描くのは要領も得ないので、主人の父が「本格的に有田の絵付けを勉強して、それから砥部の絵付けを勉強したらいいのじゃないか」と言ってくれて、結婚式の翌々日に佐賀に帰って、有田の佐賀県窯業試験場で下絵付けの勉強を始めました。3カ月のコースを選んでいたので、一人で下宿住まいをして朝から夕方まで有田焼きの絵付けの基礎の基礎を学んで、砥部に戻ってきました」 


 学んで帰ってきたものの、砥部と有田とでは手法も違っていて、絵付けの仕方をなんとなく解ったというくらいで、ほとんど素人同然であったそうです。また、家事をこなすとか、砥部の町に慣れることなど、結婚生活に慣れることの方に重点をおいていたので、砥部焼きに関しては、家業のお手伝い程度ということで何年かが過ぎていきました。 

 こちらでの生活にも慣れてかなり落ち着いてきた時に、小さい頃から絵を描くことを仕事にできたらと思っていた山田さんは、もっと自信をもって砥部焼きに向かい合いたいのに、何にもできないまどろっこしさを感じ始め、悩んだ時期がありました。何かしたいのだけれども、できない。何をしていいのか判らない。30代を前にした頃のことです。



 「それだったら自分が欲しいものを自分のために作ってみようと思って始めたのが、おひな様だったんですよね。それが砥部焼きに没頭できるきっかけになりました。私が作ったものに、お客様がお金を払って買って下さる喜びを初めて経験しました。すごく嬉しかったですね」


 おひな様の制作がきっかけとなり、もっと頑張ってみよう、みんなが喜んでくれるような砥部の食器を作ってみようと、徐々に欲が湧いてきました。次に山田さんが着目したのは、生活のスタイルが変化してきた今日、砥部焼きには、女性が求める今の時代に合った食器の絵柄が少ないという点。若い人にも「あ、砥部焼きがほしいな」と思ってもらえるような食器の絵付けがしたいと思うようになりました。思ってはみたものの、どのように形に表したらいいのか判らず、そこから山田さんの模索が始まりました。

 その時に思い付いたのが有田で学んだ『和紙染め』の技法。和紙を絵柄に合わせて手でちぎって素焼きの上にのせ、その上から呉須(ごす)を垂らしていくと、和紙特有の柔らかい表情が出てきます。手間はたいへんかかりますが、仕上がりはとてもきれいです。30代では、積極的に作品展に和紙染めの作品を出展するようになり、和紙染めは、山田さんの持ち味を生かす技術として定着していきました。それ以降、砥部焼きの中にも和紙染めを技法として取り入れる人も増えてきました。



 「多くの人がし始めるようになると、敢えて私がずっとしなくてもよいのではと考え、次のことを考えようと思いました。それが、今やっている色の技法です。私なりの『におい』を出すことのできる作品作りをどんどんとしていきたいと思っているので、人がしていないことを作り出すことにとにかく一生懸命です」


 嫁いで砥部にやってきたのは23歳の時。焼き物が特産の佐賀出身とは言え、焼き物には何の縁もありませんでした。砥部焼きのことも、ご主人と知り合うまでは全く知らなかったそうです。絵を描くのが好きで、「絵付けで何かお手伝をしよう」というくらいの気持ちで始めたことが、ここまで没頭するものになろうとは、全く思いもしていなかったとか。山田さんは、ひな人形の仕事と、食器などに描く色絵付けの仕事がバランスよく両立している現在を楽しんでいます。


 「ひな人形をつくるために焼き物をした訳ではなく、私にとってはきっかけであったという思いが強いものですから、一時は、『ひな人形の山田さん』と言われるのがいやでしたね。早く脱皮したかった。

 ありがたいことにひな人形は、こちらから何か働きかけをしなくても注文がどんどんときましたので、仕事として置いておくことができました。ですから、食器に自分の絵を描くということに一生懸命になることができました。今となっては、「ライフワークとしてひな人形もされていますよね」と人から言われたりすると、「やったあ!!」って感じで、すごく嬉しいですよね。ひな人形は大切には思っているけれども、私の全てとは思っていないので、そのくらいでちょうどいいなと思っています」


 山田さんは今年2月、20年におよぶひな人形づくりの集大成の個展『ひいなさま展』を開催しました。同展は、会場となった砥部町伝統産業会館始まって以来と評されるほど、大盛況を博しました。たくさんの仕事をさせてくれたおひな様への感謝の気持ちが伝えられて、とても良い個展となったそうです。

花模様が美しい山田さんの食器
 「おひな様に対しては、今回の個展でけじめをつけるという意味で、感謝の気持ちを言うことができました。陶器、食器に対しては、そういうことをまだしていないので、それがこれからの課題です。

 私でなければいけない部分は私がする。そうでない所は人に頼んでしてもらう。このような体制をとる方が、多くの人に見てもらう確率が高くなる。全てを一人の手で作りあげる作品の作り方もありますが、私は、こちらを選んでいます。私がプロデユース、デザインした商品ということで良いのではないかと思っています」


 今は、注文に応じて、一点一点手作りをしている洗面鉢が人気商品に。また、タオル美術館からは、山田さんがデザインしたタオル製品も販売されています。絵を描いている時と、お客様に喜んでもらった時が一番楽しいと言う山田さん。常に新しいもの、自分らしさを求めて前進しています。

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