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【がんばってます】最新号
   (取材:2005年12月)
笑いで心の健康
《精神科医 ・アマチュア落語家》
枝廣 篤昌 さん(43) 

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 「芸乃虎や志」として講壇に上がり落語を一席、「枝廣先生」として心の健康をテーマに講演をする│。これは、ストレスの多い現代社会に「笑い」の持つ効果を見直そうという、枝廣さんの健康講座での一場面。精神科医とアマチュア落語家という二足のわらじを同時に履いて、地域の精神保健福祉の充実と落語の振興を目指して活躍されています。

 〜広島県出身、神奈川育ち。愛媛大学落語研究会に所属して芸を磨き、落語と勉強を両立させながら精神科医として愛媛で就職。現在は財団新居浜病院の医長を務めるほか、新居浜市内にある精神障害を抱える人の施設「どんでんどん」の嘱託医でもあります〜
― 落語に興味を持ったのはいつですか?

 もともと人を楽しませるのは好きでしたね。中学校2年
の時、必修のクラブで先生に落語のテープを聴かせてもらって、これは面白いなと少しずつ落語に興味を持って…。高校に入った時に、2つか3つ覚えていたのかな。部活の合宿で披露したり学祭で寄席をやったりしましたね。


― 精神科医になろうと思ったきっかけは?

 もともと喘息持ちで身体が強い方じゃなくて、病院に話しやすい先生がいたらいいのになと思っていましたね。体調を崩して何日間か高校を休んでいた時に、自分がそういうのになるのも一つの方法かなと思って。ちょうど円生さんが亡くなった時で、それから医者を目指し始めましたね。

 精神科は、専門を選んでいく中でいつも候補にあったんだと思いますね。治療をするのに、薬というよりもその人自身が注射の代わりになるわけですよね。人間に興味があったんですね。


― 落語をしていたことが仕事で役立ったことは?

 面接の場面で患者さんの緊張をちょっと緩めてあげるとか、楽しい話題が出た時に気付いてあげることができたり。笑いには人と人を結び付ける力がありますから。

 医者になって最初の何年かは、落語がしづらい時期がありましたね。さっきまで深刻な話をしていて、「どうもー」なんて落語を始めたら何と思われるかなと思ったりして。地域の人に精神障害について知って頂こうと企画をする時に、落語をしてはということで、また始めたわけです。楽しい催しをすると人が集まってくれて、新しい人とのネットワークができます。どれだけいろいろな人とつながりが持てるかが、精神障害を抱えた人が地域で暮らしていく力になりますからね。


― どのような催しをされているんですか?

 精神保健福祉の関連の寄席や、一般の落語会をいろいろとしています。精神保健福祉の関連では、病院主催の『チョーサ寄席』、病院以外では、精神障害者の授産施設「どんでんどん」の設立に向けての活動から始まった『どんでん寄席』を開いています。

 それから、落語好きの人が集れる会をと、『新居浜で落語を聴く会』を一昨年に作りました。落語会の予告は、インターネットで「芸乃虎や志」で検索してホームページを見てみて下さい。


― セミナーの依頼も多いそうですね

 精神障害を抱えている人の家族が病気を理解し合う家族教室という集まりが保健所や保健センターであるんですけど、ある時の家族教室で、それまでは病気や薬の話をしていたんだけど、希望があって落語をしたら来ていた人も楽しまれて。来ていた保健婦さんから「落語と組み合わせて何か話ができんの?」というう声があって、それから『笑いとストレス』というテーマで落語と心の健康に関する話を組み合わせて講座をしたのが好評で、保健婦さんの口コミで広がっていきましたね。職場の健康講座にもよく声をかけて頂いています。


― 落語をしていて感じることは?

公演のもよう
 笑いっていうのは、相手に合わせないと笑ってくれない。押しつけても笑ってくれないんですよね。涙とか感動っていうのは無理やり押しつけてでも通じるんだけど、笑いは、笑ってくれる人が主体で、笑ってくれる人が「楽しかった」というので初めて成立するもの。医療もそうですよね。こっちが治療したと思っても、受ける側がそう思わなければできていないわけで。相手が何を求めているのかを察知する力は、落研時代に学ばせてもらったのかなと思います。


― ストレス解消の仕方を何か教えてもらえますか?

  大笑いするだけでもストレスホルモンが減りますね。もう一つ面白いのは、鏡に向かって作り笑顔をしてみるだけでも脳が大笑いした時と同じような状態になるそうです。イライラした脳波から、ちょっとゆったりした脳波に変わって発想力が豊かになる。ふっと笑った時に視野が広がるのが笑いなんですよね。大声を出して笑えれば笑えばいいし、笑えなかったら鏡を見て笑顔を作る。それだけで、行き詰まった所から一歩踏み出せる。笑いっていうのは、そういう力も持っているんです。


― ご自身のストレス解消法は?

 例えば落語だったら、自分が聴くだけじゃなくしゃべって人にも楽しんでもらおうとか、それが健康講座につながらないだろうかとか、好きな事を仕事に結びつけますね。趣味のスキーも、趣味だけだとなかなか続けられないので指導員の資格を取ったり。それで、人に教える時には何が必要なのかというのが身に付くだろうし、多種多様な人と知り合えて、それがまた仕事に生かせるという。精神科だから、そういうものがあるんでしょうね。

 毎月10席以上こなされるという枝廣さん。芸の方もますます本格的に磨いていきたいと楽しそうに話をされていました。

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