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【がんばってます】最新号
   (取材:2006年2月)
竹とんぼに魅せられて
       ひとし
大西 仁 さん
(四国中央市在住)

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 四国中央市川之江町余木。あともう数百メートルも東へ行くと香川との県境がある海岸沿いの地区に、とてもよく飛ぶ竹とんぼを作る方がいらっしゃると聞いて取材に出かけました。大西仁(ひとし)さん、65歳。ご自宅には庭や玄関などのちょっとした所に、大西さん手作りの竹とんぼや木工細工が飾られています。居間でお話を聞かせてもらいました。

―よく飛ぶ竹とんぼを作られるそうですが、普通の竹とんぼとはどう違うのですか?

 (竹とんぼがたくさん入った箱を奥から出してこられて)これが従来の竹とんぼで、このプロペラみたいなのが「スーパー竹とんぼ」です。スーパー竹とんぼはね、中心あたりの羽根の幅が細くて、その分羽根の重心が外の方に来るから、従来の竹とんぼより強い遠心力がはたらいてよく飛ぶんですよ。
左端が従来の竹とんぼ。右の1〜6は、
スーパー竹とんぼの作り方を分かりやすく模型にしたもの。


―大西さんとスーパー竹とんぼとの出会いは?

 会社を59歳で退職して、新居浜にある職業訓練校に剪定を習いに行ったんです。そこで教えてくれた剪定の先生が神野先生というんですが、竹とんぼに凝っていて。先生が開いている竹とんぼの講習会に通って、作り方を覚えました。

 ちょうどその年に竹とんぼの全国大会が松山であって、かり出されてスタッフみたいなことをしてね。それから関わりが強くなって、いろいろ案内が来る。神野先生とペアみたいになって出かけてますね。


―竹とんぼの全国大会とは?

 国際竹とんぼ協会が主催して毎年行われていて、愛媛大会で第21回でしたね。大会は1日目に総会と懇親会をして、2日目は午前中子どもの部で、午後から大人の部。象嵌(ぞうがん)という羽根におもりを付けた竹とんぼの競技が、滞空時間・高度・飛距離の3種目、純竹の竹とんぼ競技が滞空時間のみで、全4種目あります。愛媛の次の大会が山口県の萩市で、その年は1種目だけ参加しました。昨年は愛知の豊田市で、全種目出ましたね。

 純竹とんぼの全国1位の記録は、滞空時間12秒くらい。純竹が竹とんぼの本当の技術。象嵌は優雅に飛びます。純竹はいかに薄く上手に削るかですね。全体のふくらみをこの辺に持ってきて、重心の位置とか、あぶって曲げる角度とか…(コツをいろいろと説明)。


―大西さんにとって竹とんぼの魅力とは?

 僕の里は香川県の高瀬町で、タケノコの産地。子どもの時によく親に作ってもらっていました。昔のものだから、今みたいによく飛びはしないけれど。そういう懐かしさに惹かれて作りだしたのかな。

 それから、全国大会ではそれぞれの創作竹とんぼを持ち寄って前夜祭の時に展示会をするんですが、レベルの高い人がいっぱいいるんですよ。学者かと思うくらい。宮島のしゃもじを羽根にしているものとか、一度に3、4本も飛ばす装置付きのものとか、工芸品のような美しいものとか…。とにかく奥が深いです。人が作ったものの話を聞くのも面白い。


―竹とんぼを通して他に何かされていることは?

 子どもたちに教えに行きました。中学校とか、地区の愛護班の集まりとか。近くの保育園では紙の竹とんぼを作って飛ばして。とても喜んでくれました。

 〜部屋には、大きく引きのばしたその時の写真が置かれており、保育園の子どもたちがそれぞれにポーズをとって可愛らしく写っています。写真は少年時代からの趣味とのこと。大会のもようや珍しい竹とんぼなども写真に収めて、きれいに整理して記録として残されていました〜

 中学校では、四角い竹の状態から作ったんだけど、なかなかうまく削れなかった。今は鉛筆をナイフで削ることがないからね。L(重心までの長さ)にW(重心地点の重さ)を掛けた数が大きくなるようにすると飛ぶ力が生まれるとか、羽根に角度を付ける意味とか、いろいろ説明もしています。中学校の理科を勉強していたら社会に出た時に役立つことも教えてあげたいんよね。


 現役時代は、ボイラーや機械の保全など、いわゆる「技術屋」の仕事をされていた大西さん。剪定を始める以前も通信教育で「樹医」の資格を取得したり、興味の対象は尽きることがなかった様子。自然体で日々を生き生きと暮らしているのがうかがえます。『たかが竹とんぼ、されど竹とんぼ』とロゴの入った仲間と揃いのTシャツを見せてくれる大西さんに、少年の頃の面影を見たようでした。

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