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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2003年11月)
『生涯学習』
     …私の場合

 今年は冷夏のせいで、即席めんがよく売れたそうだ。中でも『チキンラーメン』は、大きく売上を伸ばしたという。そういえば、発売45周年とかで最近はTVのCMも目立っているし、朝の連続ドラマでは、商品開発の経緯がコミカルに描かれていた。私にとっては、このチキンラーメンは懐かしく思い出深い食べ物だ。もし私が自分の青春時代を語るとするならば、これ抜きには語れない。

 昭和40年代前半から中盤にかけて、私は大阪にいた。仕事をしながら夜学にも通う生活に慣れた頃、ちょっとしたきっかけで、人の生き方や考え方を勉強する会に縁があった。学校で教わる勉強もあるが、『人生大学』とも言うべきこのような勉強があるのだと、強く興味を惹かれて真剣に学ぶようになった。

 もっともっと勉強をしてみたいと思えば、西へ東へと動かなくてはならない。時間も金銭も労力も惜しんでいたのでは、私が求める『学び』を得ることはできなかった。そのくらい学んで、それを自分のものにしていきたかったのだ。そこで登場するのが『チキンラーメン』という訳だ。

 給料をもらうと、取りあえずチキンラーメンを箱で買った。一カ月分の食糧を、何とか先に賄っておこうという計算だ。もちろんそれで十分な量ではなかったが、当時は総じて、まだまだゆたかな時代ではなかったから、贅沢を言わなければそれで済んだ。私が人としての生き方を問う学びに打ち込んでいる頃、世間では大学紛争が激しさを増していた。そして世の中は、徐々にゆたかで贅沢な時代を迎えていった。

 私は今も、学んだものをベースに生活をしているし、さまざまな活動をして活かしている。子育てや家庭内の問題など、人から相談を受けることも多い。私がする判断の基準は、その時に学んだものにほかならない。

 先日、体験学習にやって来た子どもたちにこんな話をした。大阪の男子大学生と交際相手の女子高生が起こした事件についてである。

 「お父さんやお母さんの悪口を人から言われたら、君たちは嫌だと思うだろう。ましてや人に傷つけられるようなことがあったらどうだろう。自分がそうしようとは、絶対に思わないよね。でも、現実にそんな事件が起きたんだ。みんなこれは自分とは遠い話で、違う世界のことだと思っているけれど、そうじゃないんだよ。毎日一緒に生活をしているのに、人間関係ができていないんだね。

 お父さんやお母さんが自分のことを解ってくれない、と思うことはないだろうか。人が自分のことを解ってくれないのは、相手が悪いとだけ思ってはいないだろうか。

 解ってくれないと思う時こそ、声を大にしなければいけないんだ。声の大きさを言っているんじゃないんだよ。自分のことを、きちんと表現するということなんだ。自分が言葉を発して相手に解ってもらえるようにしたり、解らない事は素直に尋ねたりして、自分を表現するから解ってもらえるんだ。人から声を掛けてもらうのを待っていてもだめなんだよ。『自分から』という気持ちを持たなくてはいけないんだ。

 ゲームの感覚と、本当の生活の区別をきちんとつけておかなければいけないよ。楽しいことだけ、おもしろいことだけが人生ではないんだ。ゲームはいくらでもやり直せるけれど、人生はそうはいかないからね」。小学生は小学生なりに、中高生は中高生なりに、私の話を真剣に聞いて理解しようとしていた。

 『人生大学』に卒業はないと言われる。私は若い時期に、生涯にわたる学びに就く機会を得た。文字通りの生涯学習教育であった。インスタントラーメンで毎日を過ごしてでも、学んでみたいと思っていた。あの頃の熱い思いは今も健在だ。


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