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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2004年6月)
便利なものが
引き起こす
不都合
 
 つい先日、もう少しで仕事も終了しようかという頃になって、コピー機(プリンタやファクスとの複合機)に紙を詰まらせて、どうにも取り出すことができなくなった。こうなると便利な物ほど不便になるものだ。コピーができないばかりでなく、プリンタとしても働かなくなるし、ファクスの受信もできなくなった。機械には何台かのパソコンが接続されているので、どれも出力ができなくなった訳だ。大いに困った。どうしてもその日の内に仕上げたいものがあったのだ。

 急いでサービスセンターに電話をすると、保守サービスの人が来てくれることになった。時間が時間だけに、翌日になるかと心配したが、折りよく近くでサービスに当たっていた人がいて、その人から「こちらが終わり次第、伺います」と電話をもらった。程なく事務所に来てくれて、機械の中を開けて詰まった紙を取り出してくれた。不具合が無くなると同時に、機械は元通りにそれぞれの機能を果たしてくれ、私はその日の用事を無事に済ませることができた。

 機械にしろサービスのシステムにしろ、日常において便利に使わせてもらっている物は多い。金融機関のATMではお金の出し入れや振り込みが簡単にできる。24時間営業のコンビニでは、たいていのものが揃っていてすぐに間に合う。私は百科事典や辞書の文字が小さくて読みづらくなっているが、インターネットで調べるようになって重宝している等々、数え上げれば枚挙にいとまがない。

 このたび、このコラム欄で5年あまり述べてきたものを一冊の本にまとめた。編集をしていていちばん強く感じたのが、IT環境の急速な変化だ。ITに関して何年か前に述べたことと、現在の状況ではかなりの開きが出てきた。平成13年にIT事情の見学で韓国を訪れた際に、一般家庭の小さな子どもがパソコンを自由に操っている姿に驚いたが、日本でもそのような光景は珍しくなくなった。ブロードバンドの普及に伴い、いつでも好きなだけインターネットを楽しむことができるようになったからだ。また、少年が起こす事件についてもそのたび着目して述べてきたが、低年齢化に歯止めがかからないことも感じていることの一つだ。

 佐世保での小学生の事件は、社会環境の変化に、人間が追いついていないのだと感じさせる出来事である。インターネットを利用するのに何の資格もいらない。年齢制限もない。有害情報へのアクセスを制限するソフトを入れていない限り、良いも悪いも入り交じった情報がパソコンの中になだれ込む。加害女児は暴力サイトやホラーサイトに頻繁にアクセスしていたという。

 私自身のインターネットの利用の仕方は、政治、経済、社会の動向などの情報収集と前述のように図書館的利用が主なものだ。限られた分野での使い方しかしていないが、これは自分で使う範囲を決めているからだ。私の生活の中にITが入って来た年数は、私の人生のわずか何分の1だ。それでなければいけないというものは少なく、他の手段もいかようにもあることを知っているから、選択をして使っている。

 先般、テレビやビデオの長時間視聴が子どもの発達に与える悪影響について報じられていたが、パソコンやインターネットを子どもにいかに扱わせるかも早急に考えなければならない。精神の未発達な子どもが、正しい判断力が十分に備わらない内から、どんなものでも見ることができるというのは良いことではない。家の中に居ながらにして、様々な情報を入手することができるインターネットは便利なものだ。それらを有効利用するよう導いていくのは、親や大人の役割だ。便利な物ほど、扱い方を間違えれば最も手に負えないものになる。

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