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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2004年9月)
災害について
考える
 次々と、これでもかこれでもかと台風がやって来る。もうすでに7つの台風が日本に上陸した。台風の発生は年に平均約27個で、そのうち日本に上陸するのは約3個だそうだ。それから見ても、今年の台風の上陸数は例年に比べてはるかに多いことが判る。

 昔から、二百十日(にひゃくとおか)・二百二十日(にひゃくはつか)という言葉がある。立春から数えて210日の9月1日頃、また220日の9月10日頃ということだが、両日とも台風がやって来る特異日と言われている。稲の開花時期と重なるために、それらの日は農家にとっては要注意の日だった訳である。言い伝え通り、8月末に襲来した台風16号も9月初旬の18号も近年に例のない大型台風で、各地に大きな被害をもたらせた。

 8月中旬に、台風15号による集中豪雨で大きな災害に見舞われた新居浜市では、あれ以来4度も避難勧告を受けている人たちがいるそうだ。土砂災害の被害が大きかった同市川東地区の山沿いの地域では、山から多量に流れ出した土砂が小さな河川を伝って、山裾の住宅街を襲った。道路や人家に流れ込んだ土砂は、各団体やボランティアなど多くの人の手によってほぼ片付けられたが、河川に堆積した土砂を完全に除去するには時間がかかるし、まだまだ上流部にまで手が回らないのが現状だ。根本的な復旧が進まない限り、大雨が予想される度に避難勧告が続くだろう。避難者は「もう、台風はいいです。疲れました」とCATVのインタビューに答えていた。

 瀬戸内地方は穏やかな気候に恵まれていて、今までに大きな災害に遭ったことがあまりない。新居浜の人たちは、「ここでこのような災害が起ころうとは」と口を揃えて言う。お年寄りの人たちも「こんなことは初めてだ」と語っている。

 最近の夏の猛暑を考えてみても、私が幼かった頃にはとても考えられなかった気温の高さだ。30度そこそこで夏らしい夏を過ごした世代には、35度を越す日々が続くのは信じがたい。日本は四季があって、温暖な気候の国だと思っていたが、昨今の雨の降り方の激しさを見ていると、「ちょっと違うぞ」という気がしている。

 何か事あるごとに引用される『天災は忘れた頃にやってくる』という言葉は、物理学者で随筆家の寺田寅彦博士の言葉だと思っていたが、実はそうではないらしい。弟子の学者が、恩師の言葉としてコラムに書いたものだという。寺田博士は、天災に対する心構えについて弟子と日頃からよく話をしていたそうだ。

 寺田博士の随筆『災難雑考』には、災害や天災をどう捉えるべきか、博士の考察が述べられている。昭和10年に執筆されているもので表現は難しいが、「人間はこうした災難に養いはぐくまれて育ってきた」「災難は生命の酵母」などの表現はよく解る。災難を予知する努力をしたり、防備のための努力を払いながら、数々の災難を乗り越えて、古来から人間は歴史を繋いで来たのだろう。

 また、「現象のほうは人間の力でどうにもならなくても『災害』のほうは注意次第でどんなにでも軽減される可能性があるのである」という箇所もある。様々な自然現象によって引き起こされた災害の様子を見るに付け、自然現象を阻止することはできないかも知れないが、災害を少しでも小さくすることは人が智恵を働かせればできるだろうと、今更ながらに納得する。

 守るべきものがある人、つまり家庭の長も、自治体のように大きな組織の長も、災害に直面した時に、どれだけ力を発揮するかで力量が問われる。危機管理能力は、情報収集力と統率力だ。人との連携なくして、危機を脱出することは難しい。普段からの人との関わりが大切だ。

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