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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2004年10月)
災害の中で
見えたこと

 先月号で豪雨災害について述べ、1カ月後に再び書くことになるとは思いもよらなかった。過ぎ去ってみれば、予想をはるかに超える被害をもたらせた台風21号である。しかもまた、東予に集中した。

 先月29日、台風の接近に伴い、東予地方では朝から非常に雨足が強かったと聞く。それでも時には弱まることもあり、日常生活はいつもと同じように営まれていた。午後3時、4時、5時と、台風が近付くにつれ、8月の集中豪雨なみの強さで雨は降り続いた。

 新居浜市と東隣の四国中央市土居の間には、丘陵地帯が広がっている。2本の県道も国道11号線も、山肌に沿って、あるいは山の間を縫うように通っている。JRも同様だ。また、高速道路はトンネルや橋梁でつながれ、四国山地沿いを走っている。時間当たり50ミリを超えるような激しい雨に、山々が堪えきれずに音を上げた。山のあちこちで土砂崩れが起き、川は流木や土砂でせき止められて、濁流は、道路へ、線路へ、田んぼへ、街へと溢れ出ていった。新居浜市では、JRを含め東へ向かう陸路が5本とも、完全に遮断されてしまった。

 折しも帰宅の時間帯である。新居浜から四国中央へ、反対に四国中央から新居浜へ仕事に行っている人は多い。人々は、あちらの道、こちらの道と、通行のできる道を求めて右往左往した。車での帰宅を諦めて、水の中を歩いて帰った人や、行く道も引き返す道も閉ざされて、とうとう車中で一夜を過ごした人も多かったと聞く。

 この地域の大動脈とも言うべき国道、県道と高速道路の閉鎖により、道路上には長い車の列が続いた。翌々日に国道と県道1本が片側通行ながら開通した後も、道路の渋滞は丸1日以上も解消することはなかった。

 私が代表をしているNPO法人は、新居浜市と四国中央市、松山市において高齢者向けの配食サービスを行っている。利用者の人たちは、このような天候の時にこそ、配食サービスしか頼るものがなくなる。8月の新居浜での集中豪雨の時には、平成9年の事業開始以来初めて配食ができなかった。昼食の弁当を作り上げたものの、新居浜市の東部に位置する配食センターの周りは、道路がいたる所で冠水し、スタッフがセンターに来ることもできなければ、出掛けることもできなくなったからだ。夕食の配達時が来ても同様で、利用者の人たちは不自由な思いをした。

 利用者の声を聞いていた配食サービスに当たる人たちは、今回は何とかお届けをしたいと思った。雨の降りしきる中、昼の配食が済んだ。夕食は台風の接近とまともにぶつかる。1時間ほど早めに弁当を作り、いつもの倍の数のスタッフで配食に当たった。16時をまわって、スタッフから次々と無事終了の報告が事務所に入り、私の所にも連絡があった。

 車を乗り降りするだけで、ずぶ濡れになるほどの大雨だった。どうにも行けない地域の一軒に断りの電話を入れた他は、通れなくなった道も迂回路を探して、全てを配り終えた。あくる日も混乱した市内の方々で渋滞に遭いながらも、配食サービスを行うことができた。「こんな日にも来てくれた」「ありがとう。助かる」と感謝の言葉を行く先々でもらったという。弁当が届かなければ困ってしまう人たちがいることを思うと、厳しい諸条件の中を、何とか実施することができて良かったと思う。

 度重なる災害で、地盤のもろさが露呈した。最近の気象の変化を見れば、今年の雨だけが特別なのではなく、今後も身近な所で自然災害が起こり得るのは想像に難くない。

 このような環境の中で私たちには何ができるのか。災害に対する備えはもちろんのこと、他者を思い、他者の痛みを解ろうとする心が何よりも大切だ。


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