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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2005年1月)
自然の厳しさと

恩恵の深さ

 大晦日から元日にかけて、県内でも雪が降った。温かな地方は雪にはすこぶる弱い。日頃の対策が皆無に近いので雪に備えた装備が乏しく、少し雪が積もっただけで、車は坂道を越すことが難しくなってしまう。自然の厳しさを見せつけられる年明けとなった。

 昨年末にインド洋沿岸の諸国を襲った巨大地震と大津波は、広範囲にわたり大きな被害をもたらせた。地球の7割を占め、生命の母ともたとえられる大海原が、鋭い凶器となって人も建物も全てをのみこんでいった。津波の影響を受けた地域があまりにも広く、津波の威力があまりにも大きかったために、いまだに被害がどの程度のものになるのか、全ぼうが掴めないでいる。
 年末年始の休暇を楽しむために、被災地となった観光地を訪れていた外国人も多く、地球的規模で被害が出た災害となった。自然災害でこれほどまでに多くの犠牲者が出た例を、私は今までに見たことも聞いたこともない。自然が突如として牙を剥いた時、人間には何ら為す術がない。いかに自然は大きな存在なのだろうと思う。そして人間は、何と非力で小さな存在でしかないのだろうと思う。

 およそ46億年と言われる地球の歴史から見れば、およそ400万年と言われる人間の歴史はごくごく短いものだ。その中でも有史時代と言われるものとなると、千年単位となるのだからさらに短い。今は地球上で幅を利かせている人間だが、本当はほんの少しの間、地球の上に居させてもらっているだけなのだ。

 地震も津波も火山の噴火も、地球は地球で、自然の営みを繰り返しているに過ぎない。台風も洪水も、竜巻も大雪も、自然は自然のリズムに則っているだけだ。人間社会が自然のリズムを狂わしてきているものもあるが、多くの自然現象は、『自然』というものからしてみれば、人間が息を吸ったり吐いたり、背伸びをしたりくしゃみをしたりするのと何ら変わらない生理現象のようなものなのだろう。ただその事によって、後から地球上で生存を始めた人間は、右往左往するしかない。

 一方人間は、自然がもたらせてくれる様々な恩恵を、欲張りなまでに享受している。光も水も熱も、大地も海も風光明媚な景色も、様々な鉱物資源も、自然が全てを与えてくれている。人間はそれらを使って、様々なものをつくり出してきた。けれども自分の生命をつくり出すことができないのだから、形あるものばかりでなく文化も思想も、およそ地球上にあるものは、人間の力だけでつくり出せるもは何一つない。

 そのように大きな恩恵を受けている自然に対して、人間は今まで、不遜な態度であったかも知れない。そして、自然に対してわがまま放題をしてきたかも知れない。ここ数十年の間に、快適で便利な生活を送るために、森林を伐採し、石油を燃やし続けてきた。非力な人間でも、自然を崩壊させようと思えば瞬時にできる。けれども非力であるが故に、自然を修復するには長い年月を要する。修復できるものは良いが、一度傷つけられたら修復できない自然は多い。

 山の村で少年時代を過ごした私は、森の奥深くに行くのが好きだった。森の中は、私にとって心の落ち着く場所だった。子どもながら、大きな木々を眺めているとその荘厳さに圧倒され、ひれ伏す思いになった。そして、誰に教えられた訳でもないのに、自然に対する畏敬の念を持つようになった。

 洋の東西を問わず、山や巨木や巨岩など自然のものを『神』として崇めるのは、人間が地球上で営みを始めた時から、自然の中に、人間の力では太刀打ちできないものを感じるからだろう。自然の厳しさと恩恵の深さを思う時、永々と続くものへの敬と感謝の心を忘れてはならない。


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