HOME >>> 社主コラム『自然花・れんげ草』

【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2005年9月)
水を考える、水とは・・・
 今年も台風による被害が相次ぐ。そのようなニュースを見るにつけ、水の怖さを思い知る。何年も前のことになるが、大雨の中を、車で移動することになった時のことである。東西は傾斜がなく、南は山で、南から北にかけて緩やかな斜面になっている地形の地域であった。激しく降りしきる雨の中を、東西の道路を走った。雨脚はどんどんひどくなり、南手の田んぼから大量の水が道路に流れ込んでくるようになった。それでも何とか走り抜けることができた。

 目的地に行くには、さらに北へ下りなければならなかった。北へ下りる道路は幾本かあったが、どの道を通るかとなるといささか判断に迷った。大きな道路を選んで走り出したのだが、しばらく走って、それが間違いであったことに気付いた。水は勢いを増して川のように道路を流れていく。その道路は鉄道の高架が上を走っているために、ぐっと低くなっている場所があったのだ。それに気付いて、慌てて一段高い歩道上に車を上らせ、難を逃れることができた。

 7月末に取材に訪れた時、早明浦ダムは40%を切る貯水量であった。日を追うごとにパーセントは下がり続け、とうとう0%の日が続いていた。ところが先だっての台風14号の通過によって、1日で貯水量が100%に回復した。茶色の水を満々とたたえ、4本の放物線を描きながら水が放流される様がTVに映し出されていた。

 山々に降り注いだ雨は、沢を伝い、尾根を走って、ひたすら高い所から低い所へと流れ込む。吉野川上流域に600ミリもの雨が降ったことで、早明浦ダムの巨大なダム湖は満たされ、水不足が一気に解消されることとなった。

 水は、人間が生命を維持していくのになくてはならないものである。また、日常生活においても、炊事・洗濯・入浴と、なくてはならない。そして、ありとあらゆる産業にとって必要とされるものだ。それらの水は、人が上手に水の性質やエネルギーをコントロールして、有効利用させてもらっているのだ。コントロールできなければ、水は人間にとって大きな脅威となる。

 『治水』という言葉があるように、古くから人は、水を治める努力を続けてきた。堅牢な護岸を築いても、絶対に大丈夫とは言い切れない。人間がいかにコントロールしようとも、自然はやすやすと超えていく。人間はまた知恵の限りを尽くして、それに対処していく。そのようにして、人は歴史を繰り返してきた。高い所から低い所へ流れるのは自然の法則であり、法則に則った治水でない限り、自然は必ずしっぺ返しをしてくる。

 私は若い人たちに、自然の成り立ちについてよく話をする。陰と陽、火、水、木、金、土の役割など、つまり陰陽五行説を私なりの解釈で話をする。その中でもよく『水』を取り上げる。『水は方円の器に従う』という格言があるように、水はどのような形の器にも合わすことができる。自然の中でも、池、湖、海、川というように、どのような形にもなる。つまり素直の代名詞とも言われるものだ。

 素直な人間は、勉強をしても仕事をしても成長が早い。素直な人間がチャンスを掴む。人の素直というのは、何にでもただ合わせるという意味ではなく、自分が教えを請う相手に素直に合わせてみようとすること、あれこれと余分な考えを挟まずに「はい」と受けて物事に取り組んでいくことである。

 一方、水は熱を加えられれば蒸気となって物を動かす力を持ち、落下のエネルギーは石をもうがつ。大きな力を秘めているのだ。水は、遮るものに出合った時、耐えて待っているだけではなく、この間に蓄えた力を持って障害を乗り越えようとする。人は、ここを学ばなければならない。

 障害に遭った時、耐えるだけではなく、『精進』、つまり努力をしなければならないのだ。水から学ぶことは多い。

ご意見、ご感想はこちら。

▲ページのTOPへ
これ以前の『自然花・れんげ草』
志あるところ 道は開かれる (2005-08)
厳しさと優しさの調和を図った育成を (2005-05)
物のそなえ、心のそなえ (2005-04)
青年のごとく熱き心で (2005-03)
人間が創り出していくもの (2005-02)
自然の厳しさと 恩恵の深さ (2005-01)
人は出会い 縁でつながり 愛で続く (2004-12)
親と子 師と弟子 (2004-11)
災害の中で見えたこと (2004-10)
災害について考える (2004-09)
子どもたちと過ごす暑い夏 (2004-08)
自然を賞(め)で 自然に学ぶ (2004-07)
便利なものが引き起こす不都合 (2004-06)
家庭の教育力・社会の教育力の回復を (2004-05)
甘えの体質を断ち切れるか (2004-04)
善の心を維持する努力 〜『善』が勝つか『悪』が勝つか〜 (2004-03)
人を思う心で 人に関心を (2004-02)
協調と調和 〜家庭の安定・社会の安心を求めて〜 (2004-01)
今からでも 大人にできること (2003-12)
『生涯学習』 …私の場合 (2003-11)
昨今の風潮に思う〜もう少し温かく もう少し優しく (2003-10)
整えたい 子どもらの環境 (2003-09)
▲ページのTOPへ
管理者:rinkun1@basil.ocn.ne.jp (C)Copyright  教育情報新聞社