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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2006年1月)
私の『タイムマシン』考
 今年は当地では、暖かで穏やかな正月を迎えることができた。日常とは少し異なる時間の流れを感じながら、静かな正月を過ごした。昔風に言うならば、また1歳年を重ねたことになる。私もいよいよ50代半ばだ。

 ごく幼い頃には、時間の観念はあまりなかったと思う。幼稚園や学校に通うようになって初めて、『時』というものを意識するようになったのではないだろうか。起きる時間、出掛ける時間、遊んでも良い時間の長さ等々。また、1週間単位で『時』を考えるようにもなった。

 小学生の頃、当時はもちろん週休2日制ではなかったので、土曜日になると、翌日は休みだと思うだけで心嬉しく楽しかった。けれども日曜日になると、次の日から長い1週間が始まると思って、少し気が重かったりした。小学生の私にとって1週間はとても長く、時間はゆっくりと流れているように思っていた。

 ところが学校生活も上に進むにつれ、時の過ぎる速度はだんだんと速まり、社会に出ればなおさらであった。小学生の頃に長いと感じていた1週間が、あっという間に過ぎるようになった。人生も半ばを過ぎる頃からは、1年さえ過ぎ去るのが早いと感じるようになっている。

 10代で漢詩の『白駒過隙』(人生とは、すき間からのぞいている前を白い馬がさっと走り過ぎて行くほどまたたく間であるの意)を習った時、実感はなかったが「そうか」と思って心に留めた。今は確かにしっかりと「そうだ」と実感している。しかしながら今感じているこの感覚も、さらに年齢を重ねていく内に、また違ったものになっていくのだろう。

 タイムマシンで過去から未来まで自由に行き交う話や、突如現在とは異なる時空間に放り出される話など、『時』の流れを題材にした小説や映画が多くある。時の流れに対して、人間は手も足も出ないのが現実だ。どうにもならないものだから、空想の世界の話が面白く人の興味を引くものになる。

 理論的なことは全く解らないが、私は、タイムマシンは空想上の機械で、人間が作り出し得るはずのないものだと思っている。であるから実際に時空間を移動できる訳ではないけれども、思考の上で似通ったことをしているのが人間だとも思っている。あの時にこのようにしていればとか、あのようにしなければと、過去に思いを馳せたり、できるものなら過去にさかのぼって、自分の人生をやり直してみたいと思う人がいる。また、これから先はどうなるのだろうと、未来を気にする人もいる。このような小さな思いが、言うなればタイムトラベルをしているのも同然のことではないかと考える訳だ。

 過去に対しても、未来に対しても、自分の生き方にまで影響するほど、もっと深く熟考していけば、その考え方自身が『タイムマシン』だ。たとえば失敗をして、結果が出てしまっているとしよう。過去にさかのぼって原因を追及し、解明していくことで、今後、改善や改良を行うことができる。失敗したままで終わらせてしまえばどうにもならないが、失敗を次に活かせば、失敗は失敗ではなくなる。言うなれば、過去をも変えることができるのだ。 

 また、未来にまで出掛けてその時代を実際に見てこなくても、現状をよく把握し分析をしていけば、未来を予測することができる。先を見るとか、先を読むという言葉が示す通り、自分の頭の中にタイムマシンを持つことができるのだ。現状を変えれば、それに伴って将来も変わる。今をどう生きるかによって、良くも悪くも未来はどうにでも変わっていく。

 与えられた時間の長さは個々に異なるが、流れの速さだけは、誰にも平等なのが時間だ。時間は取り戻せないが、頭の中にタイムマシンを持つことはできる。これからのために、今過ぎていく『時』を大事にしていきたい。

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