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【自然花・れんげ草】最新号
   社主コラム (2006年4月)
新入学の季節
懐かしき校庭の桜
 多くの人が花見を楽しみ、心を和ませた桜の季節が過ぎていこうとしています、。桜は、川沿いに、道路沿いに、神社仏閣にと植えられ、人々の目を楽しませてくれますが、桜が一番似合うのは、小学校の校庭かも知れないなと思っています。

 桜の花びらがちらちらと舞い散る中を、母親に連れられて行った小学校の入学式を、幾つになっても鮮明に思い出します。桜の木は校門のすぐ脇にあって、その隣には校訓を刻んだ大きな碑も立っていました。入学式の当日には、その前で集合写真を撮ったことを覚えています。最近は開花が早く、入学の日にはすでに桜が終わっていることが多かったようですが、今年は入学式が行われる日まで桜がもちました(当地では、あいにくの雨模様でありましたが)。

 今年もテレビのニュースでは小学校の入学式の様子を映し出していました。例年と異なり、新入学の子どもたちに防犯ベルが贈られたとか、子どもたち向けの防犯機能付き携帯電話の契約件数が伸びているとか、不審者情報配信のシステムが考えられているなど、子どもたちの安全確保や防犯に関する話題が続いていました。そのような時代になってしまったのだなぁと、つくづく感じました。

 我が家の子どもが小学生の頃には、交通安全はともかく、ほかのことで登下校の心配をしたことはほとんどありませんでした。年や地方の別なく、不審者が横行する今日です。先日、知人の青年が小学生に道を尋ねられて、それが結構遠いところだったものですから、親切心で車に乗せて連れて行ってあげたそうです。子どもは無邪気に「ありがとう」と言って車を降りたとのことですが、それを聞いた周囲の人たちは心配して、そんなことをして大丈夫だったかと真剣に尋ねてくれたそうです。本人も良かれと思って車に乗せたものの、不審者と間違えられるのではないかと途中でちょっと気になり始めて、内心ひやひやする思いになったと言います。

 子どもには、知らない人の車には絶対に乗らないようにと言い聞かせなければなりませんし、大人も簡単に善意で物事を行う訳にはいかない時代なのです。大人を安易に信用しないよう子どもに教えたり、知らない人にはあいさつをすることさえ禁ずる風潮が出てきています。安心して一人歩きができないような環境は、子どもの心に何を残していくでしょうか。大人のつくり出す環境によって、本来ならのびのびと育つ子どもらが、必ずしもそうなっていかないのは残念なことです。

 刑事責任云々は別として、精神を病んでいるとしか思えない人が引き起こす事件が後を絶ちません。精神を病む要因は何かを考えると、1つにはストレスが多い社会であるということと、もう1つには人がストレスに弱い精神になったことにあると思います。同じ事に対しても、ストレスと感じるかどうかは、人によって異なります。仮にストレスになる因子が多くあったとしても、ストレスに強い精神があれば感じない訳なのです。自分の思い通りにならなくても心を収めていくことができるか、すべきことを根気強く行っていくことができるか、これらのことが幼い頃から身に付いていれば、大人になっても大きなストレスを受けることにはなりません。

 社会の教育力の低下が、さまざまな事件の遠因になっていると考えられます。貧しかった時代は親兄弟や近隣が、力を合わさずには暮らすことはできませんでした。欲しい物があっても、もっと勉強をしたいと思っても、辛抱せざるを得ない時代がありました。豊かで便利にはなりましたが、人間同士のつながりが希薄になった現在では、社会の教育力が低下してしまったと言わざるを得ません。子どもたちの安全の確保はもとより、良き人間として成長していくよう導くのは大人の役割です。希望に満ちて学校へ上がった子どもたちが、元気に素直に育つことを願います。

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