眠っているものの
掘り起こし
人を活かし
物を活かす |
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先日、『庚申庵(こうしんあん)』(=松山市味酒町)を訪ねてみました。この庵は、江戸時代の俳人・栗田樗堂(くりたちょどう)が1800年に建てた草庵で、近年に修復工事が施され、史跡庭園として市民に開放されています。JR松山駅にほど近い市街地であるにもかかわらず、築後200年を経た建物が、よくぞ今に残ったものであると思います。
同庵は愛媛県史跡であるのですが老朽化が激しく、放置されるに近い状態であったといいます。2000年にある女子大生が松山市に応募した政策論文がきっかけとなって、同市が庚申庵の修復と保護に乗り出し、多くの人がその歴史的・文化的価値を知るに至りました。江戸時代に作られた草庵や庭園が、現代の人々の憩いの場所になっています。200年も昔のものが、今の世の中に生きて働いているのです。
時間があったので畳に座ってくつろいで、ゆっくりと庭園を眺めておりました。そして「忘れられた物やどうにもならないと思われた物も、人を通じて、あるいは人が動くことによって、このように世に出てくることもあるし、人の役に立つこともあるのだな」と考えていました。
人であっても物であっても、世の中には、まだまだ役立つ働きができるにもかかわらず、表に出ることができていないものがあります。そのような環境にある人や物を組み合わせて、世の中に出ていくものにしていかなくてはと思うのです。
私が代表をしているNPO法人の会員さんの中に、家業の事業を拡張するために競売にかけられていた工場建屋を購入した人がいました。自社の工場として早く稼働させたいのに、屋内には前の所有者が残したままにした商品が大量に積み上げられていました。大きな段ボール箱の山が、広い工場内を占有しているのです。会員さんの会社では、それらの商品を処分することも検討していました。
しかしながら話を聞いてみますと、段ボール箱の中身のほとんどが、使えるものばかりのようです。順調にさえいっていれば、店頭に並んで日の目を見たであろうそれらの商品です。大量の資源とエネルギーを使い、時間と労力を使って製品として出来上がったものが、何らかの事情で埋もれたままになっているのです。世の中には、そのような状態に置かれたものがけっこう多いのだろうと想像をいたします。
処分するには、費用がかなりかかるでしょう。処分するとなればそれらの商品はゴミの山なのです。ゴミにしてしまえば、製品になるのに費やした資源もエネルギーも労力も時間も、無駄遣いをしたことにしかならないのですが、もしもそれらの商品を活かすことができれば、資源を活かし、過去に費やした時間や労力を有効に使うことになります。せっかく製品として生まれ出た物を、何とか世に出す方法はないものだろうかと考え、NPOとして協力を申し出でみてはどうかと提案をしてみました。
今、他のNPOに呼びかけるとか、あるいはインターネットを通して広く呼びかけるなどして、ここにこのような商品があることを知ってもらうことから始めています。商売として行うのではなく、ゴミとなって処理をされる運命にある物を活かしたいという思いと、少しは益を生み出して社会貢献活動に使わせてもらえたらとの願いを込めて、少しずつ活動を進めています。
そしてまたこの取り組みは、大量のちょっと訳ありな商品をいかにさばいていくか、それに携わってみようとするスタッフの技量の試し所にもなるのではないかと期待しています。NPO法人としての活動は、「することが目的ではなく、行うことの中で人が成長することが目的である」と私は常々思っています。役立つ活動を行うことで世の中に貢献し、役立つことのできる人を排出することで、さらに社会に貢献することになります。
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