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『松山鮓(ずし)』とは、松山地方に伝わる郷土料理で、松山では祝い事や訪問客を持てなすものとして食されてきました。エソやトラハゼなど松山近海でとれる瀬戸の小魚でダシをとった甘めの合わせ酢で寿司飯を作り、刻んだアナゴや季節の野菜をもぶす(混ぜ込む)ところに特徴があります。その上に、錦糸卵、季節に応じた瀬戸内の魚介類を盛り付けて完成となります。
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| 松山鮓 (鈴木弁当店製) |
▼文人たちの愛した味
明治25年8月、大学予備門の学生だった夏目漱石が松山を訪れ、子規の家に立ち寄った際に、母、八重がもてなしたのが『松山鮓』であり、それを食べた漱石はとても喜んだそうです。その場に一緒にいた高浜虚子が後に『子規と漱石と私』という書物で当時の様子を、「和服姿にあぐらをかいて、ぞんざいな様子で箸を取る子規の前で、極めてつつましやかに紳士的な態度であった漱石は、洋服の膝を正しく折って正座し、『松山鮓』を一粒も残さぬように行儀正しく食べていた」と振り返っています。その後、教員として再び松山を訪れた漱石が、最初に所望し食べたのが『松山鮓』であったそうです。
河東碧梧桐も自書のなかで、松山鮓を食べていたと記しています。また、子規もたいへん気に入っていたようで、松山鮓に関する句を3つ残しています。
「われに法あり 君をもてなす もぶり鮓」
「ふるさとや 親すこやかに 鮓の味」
「われ愛す わが豫州 松山の鮓」
子規にとって、松山鮓が母の味であり、ふるさとの味、忘れられない食べ物であったようです。松山市三津浜の松山市中央卸売市場水産市場の正門に子規の句碑が建っています。
▼駅弁として復活
2007年の夏目漱石『坊ちゃん』発表100年を記念して、JR松山駅構内にある鈴木弁当店の駅弁で、松山鮓が復活しました。また市内のお寿司屋さんや旅館、スーパーマーケットなどでも食べることができます。
ということで、JR松山駅構内の鈴木弁当店を訪れ、松山鮓を購入しました。駅員さんに言えば、電車を利用しない人でも弁当を購入するために構内に入ることができます。
駅弁のパッケージには、「うまいぞなもし」と書かれています。寿司桶の形をした容器を使っており、雰囲気が出ています。甘めの酢飯の上に、錦糸卵と刻み海苔、海老や穴子と季節の魚が盛り付けられており、松山鮓を一人前で再現したものです。具材は季節によって変わり、その日獲れたものを使用するそうです。パッケージの言葉通り、とても美味しかったです。
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鈴木弁当店 松山鮓
地元産の小魚でダシをとった甘めの合わせ酢が特徴。旬の魚介類をたっぷりのせた、漱石や子規も愛したふるさとの味です。
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鈴木弁当店の駅弁、松山鮓のパッケージ(拡大)。
漱石、子規、子規の母・八重、虚子が松山鮓を囲んでいます。
【鈴木弁当店】
伊予郡松前町浜752−6、電話=089・984・2100 |
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