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しごと 〜現場の話を聞きました〜 (掲載:2009年8月)
カスタードクリームを冷やして仕上げる

 子どもがなりたい職業ランキングで、常に上位に位置しているのがパティシエ(洋菓子職人)。今回は、洋菓子の世界に入って約30年、ご自分のお店を持って12年目の『くるみの木みどり』(=四国中央市川之江町)の岸井康寿さんに、洋菓子職人さんの仕事についてお話を伺いました。


 〜店内に入ると、甘い匂いがあふれていました。『くるみの木みどり』は、カスタードクリームがたっぷりと入った大きなシュークリーム(商品名=ツマガリさん)が評判のお店。毎日午前中はシュークリームづくりにかかり、夏場は300個、冬場は800個ぐらいが出るのだそうです〜


●洋菓子職人を目指したきっかけは?
 実家が菓子屋をしていたこともあって、高校3年生で進路を決める時期になって、目指すことにしました。

●一人前の洋菓子職人なるまでの道のりは?
 地元の高校を出て、東京の専門学校へ2年行きました。それから神奈川の洋菓子店に就職して、そこで15年修業しました。
 就職して、お菓子作りの『いろは』から始まりましたね。ある時期は、下地までの作業だけをする訳です。1日中、クッキーの仕込みをしたり、伸ばしたりという仕事でしたね。ですから、パレットナイフとか(クリームの)しぼり袋などは、3年ほどは持ったことがなかったですよ。7年目でセコンドになって、その店のチーフになったのは10年目でした。

お店の看板お菓子「ツマガリさん」


 〜岸井さんは、そのお店で5年ほどチーフを務めた後、地元に帰ってお店を出す準備をすることに。その前に、尊敬する津曲社長(神戸の人気洋菓子店『ツマガリ』の社長・津曲孝氏)のもとへ挨拶に行ったところ、時間の許す限り研修をしていくようにと言われ、4カ月ほどの間、シュークリームだけを作って叩き込んだのだとか。それがお店自慢の商品『ツマガリさん』誕生のきっかけです〜


●岸井さんのモットーは?

 材料は良い物を選ぶに越したことはないのですが、地方では手に入らないものもある。炊きたてのご飯が美味しいように、一番美味しいのは、焼きたて、絞りたて、もぎたて。それを徹底しています。そこから遠ざかれば遠ざかるほど、美味しいものはできません。

種類豊富な焼き菓子のコーナー。これでもまだ一部

 お店を出した初めの頃は、自分が習得したことを表現していて、ちょっと押し付けで(菓子作りを)していたような所がありました。素材にはこだわりますが、考え方はこだわらないことに、今はこだわっています。

 〜お客さんのニーズに合わせたお菓子作りをしていると、徐々に商品の数が増えて、気付いたら焼き菓子の種類が80にもなっていました。誕生日とか記念日などの特別注文のケーキにも、できる限り応えているのだそうです。アニメの主人公をかたどったケーキや、顔写真を持ち込まれて作る場合もあれば、土地柄でしょうか、太鼓台を乗せたウエディングケーキを製作することも〜


●この職業に就いて良かったと思うことは?

 特注のウエディングケーキを作った方から、ケーキカットした時のアルバムを頂いたり、そんなふうに喜んで下さるのが嬉しいですね。また、記念日のケーキを人生の最後に召し上がってくれたとか、故人が好きだったとか聞くと、やっていて良かったというよりも、いい加減なことはできないという気持ちになりますね。

●これから洋菓子職人を目指す若い人たちに一言。

 好きなことはどんどん好きになるように頑張るといい。仕事となると、辛いことやしんどいことや、恥をかくこと、情けないことの方が多いんだけど、(前述のような)胸にジーンと来る嬉しいことがある。そのような心境になるには、何年かの修業が必要だけれど、苦しいことや辛いことを、明るく笑顔でできる人間はどんどん伸びる。手先、目先、口先だけではなく、やはり心の問題。好きで始めるのなら、前向きな取り組みをしたらいい。


 店名は津曲社長が付けてくれたのだそうです。『くるみ』は、娘さんの名前から、『みどり』は奥さんの名前から。ご長男は現在、東京でお菓子の修業中です。


取材協力: 【ケーキとクッキーの店 くるみの木みどり】
          四国中央市川之江町3115・1・1F   TEL:0896・57・0920

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