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子どもをネット被害から守ろう
『青少年の非行問題に取り組む県民大会』開催

 7月16日 、いよてつ高島屋 ローズホール(松山市湊町)において「青少年の非行問題に取り組む県民大会」(主催=県、県教委、県警本部、県青少年育成協議会)が開催されました。同大会は、「青少年の非行問題に取り組む強調月間」(7月)の一環として、県民の非行防止意識の高揚を図るとともに、県民総ぐるみによる青少年の健全育成を強力に推進することを目的として、夏休み前のこの時期に行われているものです。

 開催にあたり行われた式典では、優良青少年団体5団体および優良青少年1人が、知事表彰を受けました。愛媛県青少年育成協議会会長が大会宣言を行うと、続いて、青少年の携帯電話やネットの利用に関して全国各地で啓発の講演を行っている磯野爽(さやか)氏による基調講演が行われました。最後に、愛媛県警察本部生活安全部少年課・少年事件課長補佐の石丸章司氏が、近年の具体的な検挙事例を挙げながら、現状の報告を行いました。
 子どもたちをネット社会の被害者にさせないためにと、現在の青少年を取り巻くインターネット事情や、今後必要な対策について語られる内容に、参加した約280名の人たちは熱心に聞き入っていました。


講師:磯野 爽(さやか)氏
警察庁少年事件有害環境対策検討委員会員
◎(財)インターネット協会
  レイティング・フィルタリング研究会委員
◎NPO法人IT技術国際交流協会副理事長 
などを歴任


 私が以前PTAとして携わった全国調査では、「子どもが好むテレビ番組」と「親が子どもに見せたくない番組」が一致し、今もその傾向は変わっていません。インターネットは、新聞やラジオといったこれまでのメディアとは大きく違い、あらゆる情報がフィルターを通さずに提供されています。各家庭にパソコンが入り、子どもたちが携帯電話を持つに至って、様々な問題が起きています。PTA出身の私のような者がお話しすることで、少しでも子どもの被害防止に役立てればと思います。
 演題に「ケータイ」とカタカタで書いたのは、「携帯」が国際用語になっているからで、それほど日本の携帯は有名です。世界で日本だけが特に普及率が高い訳ではありませんが、子どもたちが持っているというのが大きな特徴です。各地で行ったアンケートでは、現在中学生の約半数が携帯を持っており、持ち始めの時期が小学生へと移ってきています。


 携帯やインターネットでは、情報検索、情報発信、ゲームやショッピングなど、ありとあらゆる事ができます。そんな便利さの中にも、光と陰の部分があります。交通事故で社会的弱者である子どもやお年寄りが犠牲になるのと同じように、携帯やネットの陰の部分でも、弱者である子どもが犠牲になっているのです。
 携帯を持って最初に出会うのが架空料金請求。届いたメールのリンク先を何気なくクリックしたことで、出会い系サイトに強制的に入会させられたりします。いかにも本物のような請求文が届き、大人はこのような手には騙されなくなりましたが、子どもは意外と簡単に引っ掛かってしまいます。それは、「変な使い方をしたら取り上げるからね」と親から言われているので、相談せず自分で何とかしようとしてしまうからです。相手はプロですから、あの手この手で子どもを追い詰め、「今回は勘弁してやるから明日中に3万円払え」と払えそうな金額を払わせる、これが手口です。まずこういう危険性があることを覚えておいて下さい。 


 子どもが携帯を持ってしたがること、子どもたちの間で流行していることには、このようなものがあります。私は、親の側もどのようなものかを見てみて、実情を確かめてみてはと勧めています。

◎チャットや掲示板:ネット上でおしゃべりができる
チャットや掲示板で知り合うと、実際に会いたくなってくる。少女が大人に連れ回されるような事件は、チャットで知り合ったことから発展したケースが多い。いかがわしい大人が自分たちのやりとりを見ているかもしれないこと、ネットで知り合った人とは絶対に会わないようにと、子どもたちにはいつも言っている。また、掲示板に書き込んだ内容が、後々予想もしないところで問題にされる危険もある。一旦書き込んだデータはいつまでも消えない。
◎日記・ブログ:日記に対して、見た人が感想やコメントを入れられる
今、子どものいじめの多くが、誹謗中傷の書き込みをするという形で行われている。数年前に小学校で起きた同級生殺人事件は、ネットの日記に悪口を書いたのが発端。
◎プロフ:用意された項目に入力するだけで自己紹介ページを作成できるサイト
情報が悪用されることがあるので、本当の事を載せるのは危険。
◎オンラインゲーム
アイテムを友達間やネットで売買したりするゲームも出てきている。これが金銭トラブルやいじめの原因になることもある。
◎ファイル交換:著作物を、お金を払わずに自分のパソコンにダウンロードできる
パソコン内の全てのデータが公開されてしまうことがあり、子どもが家のパソコンでしていれば、仕事上のデータが流出して家庭崩壊にもつながりかねない。買ってもいない音楽CDが急に増えたら要注意。
◎出会い系サイト
見知らぬ男女が知り合うサイトで、援助交際の温床となっている。
◎その他にも、家出サイト、自殺サイト、薬物など、危険であるが子どもが見たがるサイトはたくさんある。


 インターネットの有害情報に接触しないために、携帯のアクセス制限契約や、パソコンのフィルタリングソフトというものがあります。今年2月から、18歳未満の子どもが使用する携帯には、原則アクセス制限がかけられるようになりました。これが唯一の安全対策であるのですが、それを子どもの求めに応じて外している親もいるのは驚きます。
 アメリカやヨーロッパでは、子どもに携帯を容易に持たせていません。理由は2つあり、1つは、危険サイトから安全が確保されていないこと。もう1つは健康を害することです。身体に悪いと言われている電磁波を若い時から毎日浴びて、将来公害病のような形で現れたら誰が責任を取るのですかと、ヨーロッパの親は国際シンポジウムで訴えていました。
 携帯の平均月額使用料は、約6千円。地球上には、5千円あれば一家がひと月もふた月も食べていける国がたくさんあります。そのようなお金をかけて子どもに携帯を持たせるメリットと危険を、親はちゃんと見きわめていますか?子どもに何かがあった時、それに対応できるだけの能力を持っていますか?
 携帯、ネット対策をどうしたらいいかと相談を受けた時に、私はよく「交通安全運動を見習いましょう」と言います。生まれた時から、親をはじめ地域の人や警察の人に交通ルールを教えてもらい、大人になれば免許を取って車の運転ができるようになります。今の状況は、無免許の子どもにポルシェを買って与えたようなものだと私は思います。
 皆さんが考えている以上に、子どもと携帯の関わりというのは深刻な問題です。社会全体で考えて1日も早く対策を取らなければいけないと認識して頂きたいと思います。


愛媛県警察本部生活安全部
少年課 少年事件課長補佐
石丸 章司 氏


 昨年1年間で、愛媛県内でどのようなインターネット犯罪を検挙したか、具体的な事例を挙げて説明します。
 出会い系サイトなどの有害サイトに関して検挙した事件は、24件28名。被害者は全て少年です。一番多い罪が「愛媛県青少年保護条例違反」で、相手が18歳未満であると知りながら不純な性行為をしたというもの。出会い系サイトの女性の書き込みに男性が反応し、約束をして会ってわいせつ行為に及んだのが発覚して捕まった、というのが典型的なパターンです。次に多いのが児童買春ですが、これも書き込みをするのが女の子で、代償を払うことを約束して会うのは非常に厳しい罰則があります。出会い系サイト規制法は、異性間の交際を要求する書き込みも禁止しています。
 インターネットや携帯の普及で、少年を取り巻く環境は変わってきました。青少年保護条例はもう30年以上も前からあるものです。携帯がなかった頃は紹介やナンパがきっかけでしたが、最近は全然違います。遠隔地の人とでも知り合うことができるので、出会いの場が広域になり、多くなったと言えます。


 出会い系で問題になるのが児童ポルノです。援助交際をした時の写真を撮っておいて、ホームページに載せたり脅しに使ったりした事件も発生しています。また、援助交際をしたことを知った男友達が、相手の男に対して「ばらされたくなかったら」と因縁を付けた恐喝未遂事件がありました。このような本体のインターネット犯罪に附随した犯罪も起こっているのが事実です。県内では発生していませんが、監禁され身代金を要求された事件、睡眠薬を飲まされ強姦された事件も起きています。


 講演にあったような危険性は、全て現実に事件として上がっています。犯罪から身を守るためには、一番には、まず見ないということ。興味があって見てしまっても、絶対に書き込まない。それを徹底する指導が必要です。最終的には、絶対に会わない。その自覚を持たせるしかありません。大人がすべきことは、携帯にフィルタリングを付けること。県警本部のホームページで、携帯やネット対策を説明した番組を配信しています。ぜひ一度見て頂きたいと思います。
 今は、出会い系に限らずゲームサイトで知り合って会う約束をした例も増えつつあります。親はインターネットや携帯に対する認識が薄く、危険性に疎いものです。私自身、少年犯罪を担当するようになって、携帯やネットの危険性を身を以って感じています。

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