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   ショートコラム (2010年2月)
『綸言
(りんげん)
   汗の如し』

 寒さ対策に、ちょっと奮発して高価な肌着を買いました。着込んでみると、それは暖かです。それを着たまま動き回っていると、うっすらと背中に汗をかき始めました。そして次第に身体が痒くなってきたのです。このような上質の物を着慣れていないので、身体が敏感に反応しているのかと思ったりしました。
『汗』に関することわざが何かあったはずだと思い、頭の中の引き出しをあれこれと開けてみる内に、思い出した言葉がありました。『綸言(りんげん)汗の如し』という言葉なのです。
 身体から出た汗は二度と体内には戻らないように、一度発せられた君主の言葉は取り消すことができない、という意味です。責任ある立場の人の発言は、「前言を撤回します」と言ったとしても、それで済まされるものではない場合も多く、その一言で、職を辞さざるを得ないこともある訳なのです。
 一般的な人間が出す言葉にも、同じ事が当てはまります。一度出した言葉は汗と同じで、元に戻すことはできません。何気ない一言で、人を傷つけることになったり、喧嘩になったりします。口に出してはいけない言葉があり、使い方を誤ってはいけない言葉があって、言葉遣い一つにしても、品性を備える必要があるなと思います。
 自分の思いのままに好き勝手に言葉を出していると、人が次第に離れて行きます。また責める言葉だけを発していては、相手から良いものは返って来ません。思い付きや感情のままに言葉を出すことは、くれぐれも自重しなければなりません。
 言葉の意味を考え、言葉の出し方を考えるのは大切なことです。自分の出した言葉で、苦労することのないようにと思います。 (T)


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